| 事例内容 | 相談事例 | 
|---|---|
| 雇用 | 未払賃金 残業代 | 
| 担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 | 
概要
令和元年以降、相談者が他会社から請け負っている自動車運搬業務の一部を相手方に委託していました。
委託の経緯としては、知り合いを通して相手方を紹介されて、相手方が音楽活動をしながら仕事をしたいと言っていたため、業務委託契約の形で相手方に自動車運搬の業務の一部を委託していたものです。
しかしながら、相手方が、令和7年6月、相談者に対し、代理人弁護士を通じて、依頼人と相手方の間に締結されている契約が雇用契約であることを前提に、未払賃金請求、地位確認請求等を行ってきたのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
そもそも、雇用契約における「労働者性」は、①労働が他人の指揮監督下において行われているか、②報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているか、の2つの要素によって判断されます。
この①②の基準は、総称して「使用従属性」と呼ばれるところ、この使用従属性が認められるかどうかは、⑴仕事依頼や業務指示等に対する諾否の自由の有無⑵業務遂行上の指揮監督の有無⑶拘束性の有無⑷報酬の労務対償性等の事情を総合考慮して判断されます(他にも、受注者本人に代わり他人が労務提供できるか、受注者が補助者を使うことができるか、という代替性も②の判断を補強する要素として考慮されます)。
本件では、依頼人から相手方に対する指示が、具体性を有するものであったため、⑵業務遂行上の指揮監督があったと認められるおそれも、小さくはありません。
しかしながら、会社の運送業務に従事していたトラック運転手が労働者性が争点となった事件において、「会社は、運送業務の性質上当然に必要とされる指示以外には、運転手の業務の遂行に関し特段の指揮監督を行っておらず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであったなど判示の事実関係の下においては、労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に該当しない」と示した判例があります(最一小判平成8年11月28日(療養補償給付等不支給処分取消請求事件))。
そのため、業務遂行の指示に一定の具体性があったとしても、当該具体的指示が、業務の性質上当然に必要とされるものに留まる(通常注文者に対して行う程度の指示に留まる)場合は、指示の具体性のみをもって労働者性が認められるとは限りませんので、他の考慮要素の事実も総合考慮して、労働者性は否定される可能性があると考えられます。
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