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会社分割における7条措置(労働者の理解と協力を得る努力)について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

会社分割は組織再編の1つで、自社の事業を他社に譲り渡す手法です。組織のスリム化や経営の効率化を図れるというメリットがあります。
また、基本的に労働者との雇用契約もそのまま引き継がれるため、手続きの手間を省けるのも特徴です。

ただし、会社分割は労働者への影響も大きいため、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)において、一定の保護手続きが定められています。この手続きの中では、いわゆる7条措置をはじめ、分割会社においては適切な手順で手続きを実施する必要があります。
また、7条措置の実施時期や項目も定められているため、漏れなく把握しておくことが重要です。

本記事では、会社分割における7条措置の概要や注意点などを解説します。組織再編を成功させるため、ぜひご確認ください。

会社分割において労働者の理解と協力を得る努力(7条措置)

組織再編にあたり、分割会社は、労働者の理解と協力を得るよう努めなければなりません(労働契約承継法7条)。例えば、会社分割の背景や承継対象者の判断基準などを説明し、労働者の納得を求めます。

この手続きは7条措置と呼ばれ、定められた手順と時期に従って実施することが必要です。
また、会社分割の場合、「労働契約が承継される者」と「分割会社に残留する者」に分けられますが、7条措置はこれらすべての労働者が対象となります。

なお、7条措置では必ずしも労働者の合意を得る必要はありませんが、労働契約の承継の効力にもかかわるため重要な手続きです。また、比較的早い段階で実施する必要があるため、迅速な対応が求められるでしょう。

では、7条措置の概要を具体的にみていきます。

「そもそも労働契約の承継とは?」「労働契約の承継の全体像を知りたい」という方は、以下のページをご覧ください。

会社分割における労働契約の承継について

7条措置の趣旨

7条措置では、分割会社で働くすべての労働者に対し、組織再編の説明・協議を行う必要があります。これは、会社分割が全労働者に何らかの影響を及ぼすことを踏まえ、労働者を保護するためのルールです。

また、7条措置を定める労働契約承継法は、労働契約の承継に関する特例を定め、労働者の保護を図るための法律です。具体的には、会社分割の通知方法を定めたり、労働者に「移動」又は「残留」の選択肢を与えたりしています。
なお、7条措置の他にも、労働者保護の手続きとして、承継対象者との個別協議も定められています。

対象労働者

7条措置の対象は、分割会社が雇用するすべての労働者です。承継会社に移動するか、分割会社に残留するかは関係ありません。また、正社員・契約社員・パート・嘱託職員などの雇用形態も問いません。

もっとも、1人1人と個別に話す必要はなく、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合と協議すれば足りるとされています。
ただし、7条措置は事業場単位で実施するため、各事業場に過半数労働組合があることが前提です。

労働組合が労働者の過半数を組織していない場合

労働組合の組織率は減少しつつあるため、過半数労働組合がない事業場も多いのが現状です。その場合、7条措置は以下の方法で実施します。

  • 事業場の労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、協議を行う
  • 複数の労働組合があり、いずれも過半数に満たないときは、それぞれの労働組合と協議を行う

なお、労使が対等な立場に立ち、誠実に協議できることが明らかであれば、その他の方法でも問題ありません。

例えば、ユニオンショップ協定がある会社の場合、協定を締結した労働組合の代表者と会社の代表者が全社的に協議するという方法があります。
また、全社的な労使協議会が設けられている場合、そこで協議することも可能です。

※労働組合に加入しない者や脱退した者、除名された者の解雇を義務付ける協定のこと

理解と協力を得るよう努める事項

7条措置では、以下の事項について説明・協議を行います。

  • 会社分割に至った背景や理由
  • 会社分割後における、分割会社及び承継会社の債務履行の見込みについて
  • 「承継事業に主として従事する労働者」の判断基準
  • 労働協約の承継に関する事項
  • 会社分割手続き中に発生した労働問題の解決方法

特に、債務履行の見込みについては配慮が必要です。

労働者は、会社分割によって「給与が下がるのか」「賞与は支給されるのか」など様々な不安を抱きます。
そこで、分割後も問題なく債務を履行できる旨を伝え、労働者を安心させると良いでしょう(債務履行の見込みがない場合、そもそも会社分割を行わないのが一般的です)。

もっとも、これらは協議事項の例にすぎないため、実態に即して変更することも可能です。

労働関係上の問題の例

分割手続きを進める中で、以下のような労働問題が浮上することがあります。

  • 「承継事業に主として従事する者」の判断基準における意見の相違
  • 福利厚生の取扱い
         
    • 承継会社でそのまま引き継ぐのが難しい福利厚生がある場合、その代替措置など
    •    
    • 労働条件ではなく、会社が恩恵的に提供していた福利厚生の取扱い
    •    
    • 分割会社以外の第三者(業者など)が実施している福利厚生の取扱い

7条措置では、これらの解決方法についても協議することが重要です。

7条措置が必要と認められる事項

7条措置の協議事項は、前述のような厚労省が公開している指針がありますが、その他、分割会社がその雇用する労働者に理解と協力を得ることが必要と認められる事項についても協議することが重要です。

例えば、会社分割までのスケジュールや分割後における労働者の個人情報の取扱い等についても説明することがよいでしょう。
会社の実態に応じて、必要な協議事項を漏れなく協議できるようにするべきです。

7条措置を実施する時期

7条措置は、遅くとも承継対象者との個別協議(5条協議)の開始前までに着手しなければなりません。
というのも、5条協議は7条措置の内容を踏まえて行うものであり、2つは密接に関連しているからです。

また、5条協議の開始期限は以下のとおりです。

  • 株式会社株主総会を要する場合、分割契約等を承認する株主総会の日の15日前
  • 株式会社株主総会が不要な場合、分割契約等を締結又は作成した日から2週間
  • 合同会社の場合、分割契約などを締結又は作成した日から2週間

なお、7条措置の協議が難航した場合、複数回にわたって協議が行われる可能性もあります。

合意の要否

7条措置では、必ずしも労働組合等の合意を得る必要はないとされています。労働者の理解や協力を得ることは努力義務であり、合意できないからといって会社分割が無効になるわけではありません。
ただし、十分な説明・協議を行わないと、後の個別協議でトラブルになりかねないため、真摯に臨むことが重要です。

労働組合法上の団体交渉権との関係

7条措置を実施しても、労働組合の団体交渉権は維持されます。したがって、分割会社は、7条措置を行ったことを理由に、労働条件に関する団体交渉の申入れを拒否することはできません。
また、団体交渉の申入れがあった場合、分割会社は誠実に対応することが求められます。

なお、団体交渉に応じるべき使用者は、必ずしも労働契約上の雇用主とは限りません。

この点、過去の裁判例では、労働者の労働条件を実質的に支配・決定できる立場にあれば、使用者にあたると判断されています。
よって、会社の代表や事業主だけでなく、支店長や工場長など現場の責任者も使用者になり得ます。

7条措置を実施しなかった場合

7条措置を行わなくても、罰則を受けることはありません。これは、7条措置が「労働者の理解と協力を得るよう努める」という努力義務に留まるからです。

また、7条措置の規定に違反した場合も、それだけで会社分割の効力が否定されるわけではありません。
過去の裁判例では、7条措置の不履行によってその後の個別協議(5条協議)に支障が出た場合に、5条協議義務違反の有無を決定するための一事情となるにすぎないと判断しています。

労働者保護ための手続き

労働者の保護手続きには、7条措置の他にも5条協議2条通知があります。
5条協議は、会社分割によって他社に移る労働者を対象に、労働契約の承継について個別協議を行います。

また、分割会社は本人の意見を踏まえて労働契約の承継の有無などを判断する必要があります。

2条通知は、分割会社の労働者に会社分割の要綱を知らせる手続きです。通知時期や通知事項は規定されているため、正しく理解しておく必要があるでしょう。

5条協議と2条通知は、それぞれ以下のページで詳しく解説しています。

会社分割における労働者との協議(5条協議)について
労働者及び労働組合への通知

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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