事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | 有期雇用 |
人事 | 採用 試用期間 |
相談内容
弊社のとある部門の管理職候補の応募に、59歳のエントリーがありました。弊社定年は60歳となっています。
今回の採用者に期待する職責としては課長ですが、勤まるかどうかは明らかでなく、本人としても、1年間の契約社員としての従事でも構わないとの意向です
しかし、管理監督者が有期かつ目標設定がないこと等の問題があると思われることから、可能であれば59歳のうちに正社員に転換したうえで、再雇用制度に載ってもらうのはどうかと人事部としては考えております。
その方法として、①入社当初は3ヶ月程度の有期雇用契約として雇用し、その際に正社員として採用するか見極め、正社員として登用可能となれば正社員として登用し、2026.3.31で定年退職し、再雇用制度に移行させる方法、又は②当初から正社員として雇用の上、2026.3.31で定年退職し、再雇用制度に移行させる方法を考えています。
弊社としては、①の方法が良いかと考えているのですが、法的な問題はあるのでしょうか。
前提となる法制度・助言内容
本件では、59歳の採用予定者について、定年後再雇用を利用させるため、最終的には、正社員として登用したいとのご事情があるとのことであり、その方法の1つして、3ヶ月程度契約社員として採用の上、正社員としての適格があると判断された場合には、正社員として登用するとの対応を検討しているとのことです。
ここで、判例上、「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である」と判断したものがあります(最高裁判所平成2年6月5日判決)。
そして、ご事情を拝察する限りでは、当該採用予定者について、契約社員としての期間の満了後、当然に契約を終了するのではなく、その後の正社員としての雇用を想定していることからすると、判例を踏まえれば、当初の契約社員としての雇用期間は、正社員としての試用期間であると判断される可能性が高いものと思料されます。この場合、本件採用予定者は、契約当初より期間の定めのない正社員として雇用されたものと取扱われることとなると考えられます。
したがって、①の方法を取ったとしても、結局は、②の方法をとる場合と実質的に同様の状況となる可能性は高いものと存じます。
とはいえ、当該採用予定者との共通理解のもでと紛争とならない限りでは2つの方法は形式上異なる上、前述の判例によると、①の方法を取ること自体が違法と認められる可能性は高くはないと考えられることから、会社としては、採用予定者を面談をして認識をすり合わせた上で、いずれの方法をとるかを判断していただくことが適当かと考えられます。
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