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介護休暇とは|条件・日数・給与や介護休業との違いなど

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

介護休暇とは、労働者が家族の介護や病院の付き添い、送迎などを行うために取得できる休暇です。育児休業などと同じく、「育児・介護休業法」で定められた労働者の権利となります。

本記事では、介護休暇の概要や取得対象者、労働者から取得の申し出があった場合の注意点などをわかりやすく解説していきます。

介護休暇とは

介護休暇とは、怪我や病気、障害がある家族の介護を行うため、労働者が取得できる休暇のことです。取得できるのは、2週間以上の常時介護を必要とする「要介護状態」の家族を持つ労働者となります。

介護休暇は「育児・介護休業法」で定められた制度なので、労働者から取得の申し出があった場合は必ず認めなければなりません。取得を拒否した場合、違法と判断されるリスクがあります。
なお、介護休暇は家族を直接介護する場合だけでなく、間接的に介護を手助けするときも取得できます。例えば、以下のケースでも取得可能です。

  • 対象家族の急な体調不良
  • 入院や通院の付き添い・送迎
  • 介護士やケアマネージャーとの面談
  • 保険など介護に関する手続き
  • 食事、入浴、排せつ、リハビリの介助
  • 日用品などの買い物
  • 書類の提出手続き

取得できる日数

介護休暇の取得可能日数は、以下のとおりです。

対象となる家族が1人の場合 1年度につき5日
対象となる家族が2人以上の場合 1年度につき10日

年度の始期は就業規則の定めに従いますが、定めがない場合は4月1日から翌年3月31日までを1年度とするのが一般的です。
年度ごとに管理が必要なので、適切な時期に忘れずに付与するようにしましょう。

時間単位での取得

介護休暇は、1時間単位で取得することが可能です。

時間単位で取得した場合、取得時間が「1日の所定労働時間」に達するごとに、1日分の休暇を取得したものとみなします。
例えば、所定労働時間が8時間の場合、1日分を1時間×8回、2時間×4回などと分割取得することも可能です。
そのため、使用者は“取得日数”だけでなく、“取得時間数”も個別に管理する必要があります。

パートタイムなど日によって労働時間が異なる場合は、「1年における1日の平均所定労働時間」を1日分とみなします。所定労働時間に端数が生じた場合、端数は1時間に繰り上げなければなりません。
例えば、平均所定労働時間が6時間15分の場合、15分を繰り上げて「7時間」が1日分となります。

中抜けへの対応

時間単位の介護休暇は、「育児・介護休業法施行規則40条1項」によって以下のように定められています。

一日未満の単位は、時間(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものとする。

よって、勤務時間の途中で一度外出し、用事が済んだら再び戻るいわゆる「中抜け」まで認める義務はありません。

ただし、厚生労働省の指針では、法律のルールにとらわれず、介護休暇取得日に「中抜け」を認めるなどの配慮をすべきとされています。中抜けを認めることで、労働者はより柔軟に休暇を取得できるため、仕事と家庭の両立を図りやすくなるでしょう。

介護休暇を利用する条件

介護休暇を取得するには、以下の3点について一定の基準を満たす必要があります。

  • ①要介護度
  • ②対象となる労働者
  • ③対象となる家族の範囲

労働者から介護休暇の取得の申し出があった場合、これらの要件を満たすかどうかしっかり確認しましょう。

要介護度

介護休暇は、2週間以上の常時介護を必要とする家族がいる場合に取得できます。「常時介護が必要な状態」とは、以下2つのうちいずれかに該当するケースをいいます。

  • ①介護保険制度の要介護状態区分において「要介護2」以上であること
  • ②厚生労働省が定めた一定の基準を満たすこと(歩行、食事、意思伝達を自力でできるかどうか)

ただし、②の要件を厳守すると不用意に介護休暇の取得を妨げるおそれがあるため、実際に取得を認めるかどうかはケースごとに判断する必要があります。

例えば、「出産後の娘をサポートするために介護休暇を取得したい」という申し出があっても、要介護の要件を満たさないため基本的に取得を認める必要はありません。

「要介護状態」の判断基準は、以下のページでご覧いただけます。

対象となる労働者

介護休暇を取得できるのは、対象家族を介護するすべての労働者です(日々雇用は除きます)。
パートやアルバイト、契約社員なども取得可能ですし、性別も問いません。

ただし、「労使協定」を締結すれば、以下の者は取得対象から除外できます。

1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

※日々雇用:1日限りの雇用契約または30日未満の有期契約で雇われている労働者

対象となる家族の範囲

介護休暇の対象となる家族の範囲は、以下のとおりです。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

なお、以前は“同居及び扶養”も要件のひとつでしたが、現在は削除されているため、同居していない家族の介護でも取得可能です。

介護休暇中の給与の扱い

介護休暇を取得した日の給与については、無給としても問題ありません。法律上、休暇取得日の給与支払いまでは義務付けられていないためです。

もっとも、給与の支払いの有無については使用者の裁量に委ねられるため、一部有給などとする企業も多くみられます。
介護休暇を有給にすることで、労働者のモチベーションアップや企業イメージの向上、助成金の受給といった様々な効果も期待できます。

なお、介護休暇は就業規則上の「絶対的必要記載事項」に該当するため、事業主は以下のような事項を必ず就業規則に記載しなければなりません。

  • 介護休暇を取得する条件
  • 取得期間や取得日数
  • 申請方法
  • 退職金の算定における取扱い など

介護休暇の申請方法

介護休暇の申請は、当日の電話やメールでも可能とされています。介護は家族の体調などにより急遽必要になることもあり、事前申請が難しいケースが多いためです。

法律上申出書の提出は義務付けられていませんが、対象家族や取得時間など確認すべき点が多いため、労働者には書面で申請してもらうのが一般的です。
ただし、提出は後日出社した際に求めるなど、柔軟な対応が求められます。

申出書には、以下のような事項を記載してもらうのが一般的です。

  • 労働者本人の氏名
  • 介護する対象家族の氏名及び続柄
  • 介護休暇の取得希望予定日と終了予定日(時間単位で取得する場合は、取得開始時間)
  • 対象家族が要介護状態にある事実

申出書は厚生労働省がフォーマットを公開しているため、以下のページでご確認ください。

要介護状態を証明する書類の提出

事業者は、労働者に対して「家族が要介護状態であること」を証明する書類の提出を求めることが可能です。ただし、証明書類は医師の診断書に限らず、労働者はできる範囲で書類を揃えれば良いとされています。

事業者は、必要な情報がわかる書類であれば提出を認めるなど、柔軟な対応が求められます。
また、書類は事後提出も可能とされているため、書類がすぐに提出されないことを理由に申請を拒否することはできません。

介護休暇と介護休業の違い

「介護休暇」と「介護休業」の主な違いは、以下の5つです。

  • 取得可能日数
  • 給与
  • 申請方法
  • 対象労働者
  • 労使協定で除外できる労働者の範囲
介護休暇 介護休業
取得可能日数 1年度に5日間(対象家族が2人以上であれば10日間) 通算93日まで
要介護者1人につき、通算書類を限度として3回まで分割取得可能
給与 支払義務はない 支払義務はない(一定の要件を満たすと、休業前の賃金の67%に相当する「介護休業給付金」を申請できる)
申請方法 事業主へ申し出 開始日の2週間前までに事業主へ申し出
対象労働者 原則としてすべての労働者(日々雇用される労働者は除く) 対象家族を介護する労働者
※契約期間に定めがある場合
→取得予定日から起算して、93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者
労使協定で除外できる労働者の範囲 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 ●入社後1年未満の労働者
●申し出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
●1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

つまり、「介護休暇」は短期間で柔軟に休みを取れる制度である一方、「介護休業」は一定期間まとめて仕事を休める制度です。介護の状況などに応じて、適切な制度を選択してもらいましょう。

「介護休業」の詳細は、以下のページでも解説しています。

介護休業制度の正しい知識と会社が取るべき対応

介護休暇の申請があった際の注意点

介護休暇を取得したことによる不利益取扱いの禁止

介護休暇を取得したことを理由に、労働者を不利益に取り扱うことは禁止されています。例えば、以下のような対応は不利益取扱いとみなされる可能性があります。

  • 解雇
  • 降格や減給
  • 人事考課でのマイナス評価
  • 本人の希望に反して、一方的に時間外労働や深夜労働を制限すること

介護を容易にするために企業が講ずべき措置

事業者は、介護を行う労働者が安心して働けるよう、以下4つのうち1つ以上の措置を導入する必要があります。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤の制度
  • 介護費用の助成措置など

これらの措置は、利用開始から3年以上の期間内に、2回以上は利用できるようにしなければなりません。

所定外労働・時間外労働・深夜労働の制限

要介護状態の家族を介護する労働者から請求があった場合、使用者は所定外労働、時間外労働、深夜労働を免除しなければなりません。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、請求を拒むことが可能です。

所定外労働・時間外労働・深夜労働の制限については、以下のページで詳しく解説しています。

育児・介護休業法|所定外労働・時間外労働・深夜業の制限について
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※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。 ※無断キャンセルされた場合、次回の相談料:1時間10,000円(税込11,000円)

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、企業法務担当執行役員を務め、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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