団体交渉は弁護士に依頼した方がいい?メリットや費用を詳しく解説

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

団体交渉においては、企業が対応を怠ったり違法な対応をしてしまった結果、企業側が不利な立場に追い込まれるケースも多く見受けられます。団体交渉は適切に対応しないと、不当労働行為という違法行為につながりかねないため、専門的な知識と経験を有する弁護士の関与が必要不可欠です。

弁護士に依頼をすれば、リスク対策と妥当な解決を期待することができます。

ここでは、団体交渉で弁護士に依頼するメリットや弁護士費用などについて詳しくご紹介します。

団体交渉で弁護士に依頼する5つのメリット

訴訟などの法律手続きで代理人になれるのは、弁護士だけです。団体交渉がこじれて労働委員会の審査や裁判に発展する可能性を考えると、交渉段階から弁護士に頼んでおく方が安心で、メリットも大きくなります。

企業が団体交渉を弁護士に依頼するメリットとして、以下の5つがあげられます。

  • ①迅速な対応と最良の解決策を提案してもらえる
  • ②不当労働行為や法的リスクを事前回避できる
  • ③弁護士が同席することで冷静な話し合いが期待できる
  • ④交渉中止や和解の落としどころを判断できる
  • ⑤交渉後の紛争対応までサポートしてくれる

①迅速な対応と最良の解決策を提案してもらえる

団体交渉を申し入れられた企業は、まず労働組合の要求を拒否するか、譲歩するか判断を迫られます。さらに、提示された要求のすべてが団体交渉の対象になるわけではなく、どの事項に交渉義務があるのかを見極めなければなりません。

弁護士に依頼すれば、要求内容を法的に整理し、応じるべき点と拒否できる点を判断したうえで、速やかに最適な対応方針を提案してもらえます。回答書の作成や必要資料の準備、交渉の進め方まで具体的なアドバイスが得られるため、誤った判断によるトラブルを防ぐことが可能です。

また、正式な申入れがなくても、突然の面談要請など団体交渉の予兆が現れたら弁護士に相談することをおすすめします。事前準備を効率的に進められ、団体交渉開始後も落ち着いて対応できます。

団体交渉を申し入れられた場合の初動対応・協議事項などについては以下の各ページもご覧ください。

②不当労働行為や法的リスクを事前回避できる

団体交渉への対応は、ひとつ判断を誤るだけで、不当労働行為と評価されるおそれがあります。
例えば、組合からの質問に「また今度」と先延ばしする、「検討中です」と繰り返すだけで具体的な説明をしない対応は、悪意がなくても不当労働行為とみなされる可能性があります。

不当労働行為が認定されると、労働委員会から救済命令が出されるだけでなく、労働審判や訴訟でも裁判官の不利な心証につながりかねません。こうしたリスクを避けるために有効なのが、弁護士のサポートです。弁護士であれば、企業の対応が誠実交渉義務に反しそうな場合はその場で指摘できるため、不当労働行為に当たるリスクを未然に防ぐことができます。

団体交渉でやってはいけない対応について詳しく知りたい方は、こちらの解説をご覧ください。

③弁護士が同席することで冷静な話し合いが期待できる

団体交渉の場に弁護士が同席することで冷静な話し合いが期待できます。

団体交渉にまで至っている以上、すでに労使関係が平穏な状況にないケースも多いです。企業側が単独で出席すると、労働組合に対して感情的に対応してしまう可能性もあります。第三者である弁護士であれば、適切・冷静な協議を行うことができます。

④交渉中止や和解の落としどころを判断できる

団体交渉について豊富な知識と経験を有する弁護士に依頼すれば、交渉中止や和解の落としどころを適切なタイミングで判断してもらうことができます。

団体交渉においては誠実交渉が義務となっているため、交渉を拒否したり、打ち切ったりするのにも不当労働行為と見なされないよう交渉プロセスが重要です。また、団体交渉の長期化は企業側への不利益も大きく、弁護士の法的な見解をもとに和解の落としどころを見出してもらうことが必要となります。

企業側に求められる誠実交渉義務について詳しく知りたい方は、以下の解説をご覧ください。

⑤交渉後の紛争対応までサポートしてくれる

団体交渉がこじれて労働委員会の審査や裁判に発展したとしても、弁護士であればそのまま代理人として対応できます。交渉の経緯を把握しているため、証拠の整理や主張の組み立てがスムーズに進み、企業の負担を抑えられます。

また、交渉後のトラブルを避けるには、合意内容を正確に反映した合意書を作成することが不可欠です。不備があると再び紛争になる危険があります。弁護士であれば、文面が法的に適切かチェックし、必要に応じて文案を一から作成するため、合意後のトラブルを防げます。

団体交渉を弁護士に依頼する際の費用

弁護士法人ALGでは団体交渉の弁護士費用を以下のように設定しております。
費用に関してご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。

団体交渉の弁護士費用 団体交渉の弁護士費用

弁護士に依頼した場合の団体交渉の流れ

弁護士に依頼した場合、団体交渉は大まかに以下のような流れで進みます。

  1. 法律相談
  2. 団体交渉申し入れ書の精査(事実関係の確認等)
  3. 団体交渉開催に向けた日程調整等を行う
  4. 団体交渉に向けた下準備(証拠を集め、主張を整理)
  5. 団体交渉の開催(交渉期日での合意の試み)
  6. 労働組合との和解による紛争終結(合意書作成)
  7. 和解に至らず交渉が決裂した場合には、裁判所や労働委員会などを通した紛争調整手続きに移行

弁護士が対応すれば、企業は事実関係の整理や方針決定に集中でき、交渉や書面作成は弁護士が担うため、負担やリスクを大きく減らせます。一方、弁護士に依頼しない場合は、企業がすべて自力で行わなければなりません。

なお、弁護士に団体交渉を依頼した場合、解決までの期間はケースごとに異なります。
初回で合意できれば約2ヶ月、難航すれば半年以上かかることもあります。

団体交渉の具体的な進め方については、こちらの解説をご覧ください。

団体交渉を弁護士に依頼する際によくある質問

団体交渉に弁護士のみを出席させることは可能ですか?

団体交渉に弁護士だけを出席させることは可能ですが、会社側の決定権限を持つ担当者が同席しないと、誠実に交渉していないと評価されるおそれがあります。

弁護士は法的サポートには優れていますが、賃金や業務内容など、会社内部の判断が必要な場面では限界があります。そのため、企業側の代表者や担当者も同席することが望ましいでしょう。

法的判断やリスク管理は弁護士が担い、企業側は事実説明や最終判断を行うことで、誠実交渉義務を守りつつ円滑な話し合いが可能になります。

恫喝まがいの団体交渉を受けたとき、弁護士に対応してもらうことは可能ですか?

恫喝まがいの団体交渉を受けたとき、弁護士に対応してもらうことは可能です。
恫喝まがいの行為を放置すると、その後の不当な要求につながるおそれがあります。すぐに弁護士に対応を依頼して、組合等と適切な交渉を行う環境をつくりましょう。

具体的な対応策等については、こちらをご参照ください。

団体交渉申入書の回答書の作成方法についてもアドバイスしてもらえますか?

もちろんアドバイスできます。
回答書には、団体交渉に応じる意思、要求への回答、交渉の日時・場所・参加者に関する回答などを記載する必要があります。これらの内容は、今後の交渉の流れに大きく影響するため、非常に重要です。

弁護士であれば、社内調査やヒアリングを通じて事実関係を整理し、法的に問題のない適切な回答書の作成をサポートできます。

トラブルを避けるためにも団体交渉については弁護士にご相談ください

団体交渉の申入れに対して対応を誤ると、不当労働行為と評価され、企業に大きな不利益が生じるおそれがあります。そのため、早い段階で労働問題に詳しい弁護士に相談し、適切な対応方針を整えることが重要です。

弁護士であれば、交渉を有利に進めるための戦略立案だけでなく、回答書や合意書の作成、交渉後のトラブル対応まで、企業を一貫してサポートできます。また、団体交渉がいったん解決しても、企業では日々多くの労務問題が発生するため、継続的に助言を受けられる顧問契約の活用も非常に有効です。

弁護士法人ALGには、企業側の労働問題に豊富な経験を持つ弁護士が多数在籍しております。団体交渉や労務管理でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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執筆弁護士

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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