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不当労働行為の支配介入について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

憲法により、労働者には「団結権」等が認められており、使用者がその権利を侵害することは許されません。他方で、使用者にも「言論の自由」、「施設管理権」等の権利が認められています。

では、どのようなケースが労働者の権利を侵害することになるのでしょうか。また、どのようなケースで使用者が有する権利が尊重され得るのでしょうか。

本ページでは、使用者が注意すべき【不当労働行為】の中でも「支配介入」に着目して説明していきます。早速、「支配介入」の根拠となる法規定からみていきましょう。

なお、【不当労働行為】の概要については以下のページで紹介していますので、併せてぜひご覧ください。

不当労働行為について

不当労働行為の支配介入について

労働組合法では、「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること(労組法7条3号)」を【支配介入】の不当労働行為として禁止しています。使用者の干渉により、労働組合が使用者と対等な交渉主体であるために必要な自主独立性、団結力、組織力を損なうおそれがあるためです。

もっとも、支配介入の成立に、使用者が労働組合の結成、運営を現実に妨害したかどうか、その結果は要しません。 なお、同じく労働組合法7条3号記載の【経費援助】に関する説明は、以下のページに譲ります。

経費援助について

支配介入の意思

支配介入の不当労働行為の成立には、組合の弱体化や反組合的な行為に対する積極的な意図の有無がなくとも、客観的にみてその行為が組合の弱体化や反組合的な結果を生じ得るという認識があれば足りるとされています。

つまり、“支配介入の不当労働行為をなそうとする意思”ではなく、“使用者がした具体的行為に対する意思”があったかどうかがカギとなります。

支配介入の態様

支配介入の不当労働行為に該当し得る態様はさまざま考えられます。以下がその一例になります。

労働組合の結成に関する支配介入

労働組合の結成に対する非難、組合脱退や不加入の勧告、結成大会参加の妨げや、労働組合結成の中心人物に対する威嚇あるいは懐柔、配転や解雇等の処遇といった行為が、労働組合の結成に関する支配介入に当たります。

労働組合の運営に関する支配介入

組合員の配転、解雇等の処遇、正当な組合活動、争議行為の妨害、組合幹部の買収や供応、組合分裂のための援助、別組合結成のための援助、役員選挙への介入といった行為が労働組合の運営に関する支配介入に当たります。

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使用者の意見表明と支配介入の関係

例えば、組合員に対するストライキの自粛要請等は、使用者の単なる意見表明に留まると認定され、使用者の「言論の自由」が尊重される可能性があります。しかしながら、ストライキへの参加等を理由に組合員に対して不利益取扱いをほのめかすような威嚇的な言動があれば、単なる意見表明の範囲を逸脱するとして「支配介入」の不当労働行為と認定される危険性が高いといえます。

このように、使用者の発言が憲法で保障される「言論の自由」として尊重されるのか、「支配介入」の不当労働行為に当たるのかどうかは、発言の内容、状況、その発言が組合活動に与える影響、発言から推認される使用者の意図等を総合的に考慮して判断されます。

使用者の施設管理権の行使と支配介入の関係

使用者には会社所有の施設を管理する権利(=施設管理権)があるため、施設利用の申出の拒否は可能であり、組合活動の場に会社施設を提供する義務はないといえるでしょう。

したがって、労働組合は原則的に使用者の同意なく会社施設を利用することはできません。使用者の同意なく組合活動のために会社施設を利用した場合、その組合活動は正当なものと評価されません。

しかし、組合の弱体化の意図をもって会社施設の利用を拒否する等、施設管理権の濫用に当たるような “特段の事情”が認められれば、「支配介入」の不当労働行為とみなされるケースがあります。

支配介入に当たらないとされた判例

【最高裁 昭和58年12月20日第三小法廷判決、全逓新宿郵便局事件】

事件の概要

①郵便局長の自宅にて、上級管理者や新人職員ら数名と歓談中に、他組合を「闘争主義者」等と非難したうえで、この日集まった上級管理者らで新たに結成する労働組合は「郵政省の正規の労働組合」である旨の発言をし、新規採用職員らに対し同組合への加入を促したこと、②局長室に別の新人職員を呼び出した際に、「組合に入るのは自由だが、いったん入るとなかなか出られないからよく考えて入るように」、「職場でも休憩室でも暗くなってしまうほどビラが貼ってある」といった発言があったこと、また、③局内施設の利用について無許可で開かれた職場集会に対し、局次長らが解散通告を行ったこと等が支配介入の不当労働行為にあたるかどうか争われた事案です。

裁判所の判断

裁判所は、郵便局長による①、②の発言が、対立する組合の結成が準備されている時期であったこと、同局長の自宅または執務室で特定の職員に対してなされたものであることについて、その妥当性が疑われることは否定できないが、いずれも新人職員らへの激励等の意図をもって招集した中での発言と認めた原審の事実関係に照らせば、①、②の発言のみをもって支配介入に当たるとまではいえないと判示しています。

また、労働組合が、使用者の許可を得ずに使用者の管理する施設を利用して行った組合活動は、使用者の施設管理権の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いて正当な組合活動にあたらず、使用者においてその中止、原状回復等必要な指示、命令を発することができると解すべきところであり、③の解散通告が不当に組合活動を妨害したことにはなり得ず、不当労働行為には当たらないとする原審の判断を是認しています。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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