事例内容 | 相談事例 |
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就業規則 | 就業規則 |
その他 | その他 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
相談内容
新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を取り入れている企業から年に1度実施する健康診断について相談されました。 具体的には、①在宅勤務の導入に伴い、年に1度実施している健康診断を、会社指定の医療機関ではなく、従業員の希望する医療機関で受診する運用に変更したいが注意すべき点はあるか、②健康診断を受診する費用を「月額●●円」の「●●手当」として賃金規程に新たに規定することをも検討しているが問題はないか、とのことでした。
前提となる法制度・助言内容
まず、事業主には、労働安全衛生法第66条により、労働者に対し、定期健康診断を受診させる義務が課せられています。 この定期健康診断の実施義務について、具体的な実施方法については法定されていません。 したがって、定期健康診断を実施する医療機関を会社指定とするか、従業員の選択制とするかは、会社が決めることができます。 その上で、ご相談された会社の就業規則では、定期健康診断につき項目はあるものの、その具体的な実施方法については規定されていませんでした。そのため、就業規則を変更する必要はなく、定期健康診断の実施方法につき従業員に周知することをアドバイスしました。
次に、健康診断の受診費用を「月額●●円」の「●●手当」として賃金規程に規定するとの点に関しては、その必要性がない旨をアドバイスしました。 その理由としては、「●●手当」として規定すると、割増賃金算定の基礎に含めなければならないとの解釈がなされ、無用な紛争を引き起こすおそれがある点にあります。すなわち、厚生労働省は、割増賃金算定の基礎に含めなくてよい手当として、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金を限定列挙しており、これらに含まれない手当は割増賃金算定の基礎に含めなければならない旨を記しています。したがって、健康診断の受診費用としての「●●手当」を月額●●円支払うとなると、割増賃金算定の基礎に含めなければならないとの無用の混乱を生むおそれがあったため、単に事後精算として支払うことで足りるとのアドバイスをしました。 もちろん、「●●手当」は労働と直接的な関係が薄い等として割増賃金算定の基礎に含める必要はないと争うことはできますが、紛争となるリスクを低減することを目的としたアドバイスになります。
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