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障害者の特性と雇用における配慮

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

"多様性"が認められる社会をつくるうえで、障害者雇用の促進は、企業に与えられた大きな課題となっています。

もっとも、障害には種類があり、それぞれ異なる「特性」を有します。
事業主は、その「特性」を正しく理解したうえで、障害者を雇い入れ、継続して雇用できるような職場環境を整備しなければなりません。

本ページでは、障害の種類ごとの特性や、事業主が行うべき雇用における配慮、障害特性に応じた雇用支援施策などについて解説していきますので、ぜひご一読ください。

障害者の特性と合理的配慮の提供義務

障害者を雇用する企業には、障害者雇用促進法により、障害者に対する「合理的配慮」の提供が義務付けられています。わかりやすくいえば、障害をもつ従業員が職場で働く際に何らかの支障がある場合には、改善するために必要な支援策を講じることが企業に求められています。

同じ障害の部位や等級であっても、障害者一人ひとりの状況や職場環境などによって、必要な配慮は変わってきます。そのため、職場で働く際に支障となっている事情や希望する配慮事項等を従業員に確認し、本人のプライバシーにも配慮した上で、適切な支援策を決める必要があります。

例えば、「車いすを利用する人に合わせて、机や作業台の高さを調整する」「知的障害者に対し、イラストや図を活用した業務マニュアルを作成する」などが例として挙げられます。

ここでは、主な障害の特性、特性ごとに考えられる雇用上の配慮の例について紹介していきます。

障害者雇用における"合理的配慮"の提供や、プライバシーに配慮した情報の把握・確認について知りたい方は、以下の各ページをご覧ください。

障害者雇用の合理的配慮
プライバシーに配慮した障害者の把握・確認

視覚障害の特性

視覚障害は、生まれつきよりも事故や病気等に起因するケースが圧倒的に多く、大きく以下の4種類に分けられます。

視力障害 全く見えない「全盲」、眼鏡等の矯正があっても視界がぼやける「弱視」など
視野障害 視野の中心部分が見えない、一部分しか見えない、望遠鏡を通しているように見えるなど
色覚・光覚障害 色の区別がつかない、特定の色が見えないなど
光覚障害 明るい場所から暗い場所(またはその逆)へ移動した際にうまく物が見えない、光が非常にまぶしいなど

視覚がどのくらい活用できるかによって仕事への影響の程度も異なり、拡大鏡等の補助具があれば読み書きができるという方もいれば、音声や点字など視覚以外の感覚を頼りにして情報を得る必要がある方、また、移動の際には白い杖や盲導犬が必須という方もいるでしょう。

雇用における配慮

視覚障害者は集中力や聴覚、触覚が優れていることが多く、それが強みとなります。
実際、視覚障害者が最も多く従事しているのは、「あん摩マッサージ指圧師」や「鍼灸師」です。

また、PCの音声読み上げソフトやブラインドライター、拡大読書器といったツールを活用すれば、PCを活用した職務も可能です。例えば、データ入力、録音タイピング、翻訳、エンジニア、プログラマーなどが挙げられます。

なお、視覚障害者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • 職場内のレイアウトを改善・工夫し、転倒防止のために通路に物を置かないようにする。
  • 通路が入り組んでいたり狭くなっていたりする場所は共有し、慣れるまではほかの従業員が付き添う。
  • 情報の読み上げができる音声ソフトや、点字表現、文字の拡大機能に対応したパソコン等の補助ツールを導入する。
  • 通勤の負担軽減、従業員の安全確保のために、一般的な通勤時間を避けられるよう就労時間を設定する。

聴覚障害の特性

聴覚障害は、大きく以下の2種類に分けられます。

  • ろう者(全く聞こえない方)
  • 難聴者(聞こえにくい方)

難聴者のなかでも聞こえ方の程度は個別に異なります。また、話し言葉を習得する前に失聴し、手話を第一言語とする方を「ろう者」、話し言葉を習得後に失聴した方を「難聴者」、あるいは「中途失調者」と分類するケースもあります。

外見からは気付きにくい障害ですが、会話や周囲の音から情報を得ることが難しく、補聴器等を用いても生活における不便が解消できないケースも少なくありません。
コミュニケーションは、手話・筆談・口話(読唇術の一種)など、自分に合った方法を場面に応じて使い分けることが通例です。

雇用における配慮

聴覚障害者は、周囲の音が大きな環境でも、音に惑わされず集中できる方が多いため、集中力や正確性が求められる業務に向いているといえます。また、口頭でのコミュニケーションがある程度可能な場合は、人と接する仕事にも従事可能です。
聴覚障害者に向く職種として、事務職やデータ入力、企画職、WEBデザイナー・WEBライター、エンジニア、プログラマーなどが挙げられます。

なお、聴覚障害者に対し、企業が配慮すべき事項として、以下が挙げられます。

  • メールや筆談ボード、コミュニケーションカードなど、視覚を用いて正確な情報をやりとりできるようなツールを活用する。
  • 音声を文字化できるツール、手話通訳を導入する。
  • 危険を報せるサイレンや緊急性のある放送などが鳴った場合に、フラッシュライトや電光掲示板等、視覚でも確認できるよう工夫をする。
  • 口語等を用いる際には、表情や口元が見やすいよう、また、話すスピードや声量などに配慮する。

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肢体不自由の特性

肢体不自由とは、病気や怪我などによって、手や足、体幹部分に機能障害があり、立ったり座ったりといった動作や歩行での移動、物を持ち運ぶ作業など、日常生活において必要な基本的動作に不自由が生じている状態を指します。

例えば、義手・義足等の福祉用具を使って生活していたり、移動に車いす、杖を要したりする方などが考えられます。

雇用における配慮

肢体不自由といっても障害の種類や重さは、障害者ごとに異なるため、どのような仕事が向いているとは一概にいえません。しかし、事務職やコールセンター、通訳・翻訳、エンジニア、在宅ワークなど、座ってできる業務であれば、肢体不自由者であっても従事しやすいものと考えられます。

なお、肢体不自由者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • 通勤に困難が生じる場合には、在宅勤務、時差出勤、駐車場を確保して車通勤を許可するなどの対応を検討する。
  • スロープの設置、手すりの取り付け、通路幅の確保、自動ドアの導入、トイレのバリアフリー化など、車いす等の福祉用具を使用する方の移動をスムーズにするための環境を整備する。
  • 掲示物や机の高さ調節、備品の配置等、障害の特性に合わせて作業場周りの工夫をする。

内部障害の特性

内臓障害は、字のごとく内臓機能に関する障害を指します。外見からはわかりにくいため、周囲から“障害者である”と認識されず、理解を得づらいといった特徴があります。

主に想定されるのは、次項以降で説明する次の4つの内臓機能障害になります。

  • 心臓機能障害
  • 腎臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • 膀胱・直腸機能障害

また、上記のほか、肝臓・小腸・免疫機能障害などもこれに該当します。

主な内部障害

心臓機能障害

心臓機能障害とは、全身に必要な血液を送り出すポンプの役目を果たす心臓の機能に障害があり、日常生活が制限されていることをいいます。
不整脈や狭心症、心筋梗塞、心筋症などは心臓機能障害の代表的な疾患です。

激しいスポーツ、あるいは重い荷物の上げ下げといった日常的な動作など、心臓に負担がかかった場合に、息切れや悪心が生じる、健常者に比べて疲れやすいといった症状が現れます。

低下した心臓機能をサポートするため、ペースメーカーや人工弁を植えこんでいる方もいます。

腎臓機能障害

腎機能障害とは、腎臓の働きが悪くなり、老廃物や余分な水分等を排泄できなくなり、体の中にそれらが溜まってしまう障害をいいます。免疫力が低下しているため、風邪や感染症にかかると重症化しやすい傾向にあります。

病気等により腎臓の機能が通常の25~30%以下に低下すると腎不全となり、10%以下になると人工透析を行い、腕の血管から血液を機械に通して、老廃物や水分を除去することが必要となります。

人工透析は定期的な通院が必要であり、週2~3回の通院、1回あたり4~5時間拘束されることが通例です。また、人工透析は生涯にわたって継続しなければなりません。

呼吸器機能障害

呼吸器機能障害とは、肺や気管支などの病気が原因で、肺活量が著しく低下し、日常生活に支障が出る障害をいいます。この障害の原因となる病気として、肺気腫や気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核後遺症などが挙げられます。

呼吸器機能の低下によって、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が困難になり、体が酸素不足の状態になることから、日常の動作だけでも息苦しくなるといった症状が現れます。重症の場合は、人口呼吸器やチューブ等を使用して生活する方もいます。

咳や息切れが慢性的にあり、風邪や肺炎に陥りやすいため、室内温度や湿度、タバコの煙などに注意する必要があります。

膀胱・直腸機能障害

膀胱・直腸機能障害とは、何らかの病気の影響で膀胱や直腸の機能が低下し、自分自身で排便や排尿等の排泄行為をすることが難しい状態をいいます。
そのため、自分で望まないときに尿や便が出る、望むときに尿や便を出せないことが生じるため、本人にとって大きなストレスになることがあります。

膀胱・直腸の摘出や部分切除の手術を受けていて肛門から排泄できない場合は、膀胱・直腸機能のサポートをする人工肛門や人口膀胱といった「ストマ」を造設している方もいます。ストマを付けた方を「オストメイト」といいます。病気の管理やストマ管理のために、定期的な通院が必要となります。

雇用における配慮

内部障害を持っている方に向く業務として、デスクワークの仕事が挙げられます。
例えば、事務職や経理、プログラミング、エンジニア、Webデザイナー、電話やオンライン等によるインサイドセールス、在宅ワークなどが一例です。このような業務は基本的に座った状態で行えるので、身体への負担も少ないものと考えられます。

なお、内部障害者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • 透析治療を要する腎臓機能障害をもつ従業員には、定期的な通院のために勤務時間の調整、自身でバッグ交換ができるような清潔な部屋の提供をする。
  • 内部障害者は長時間仕事を行うと身体に大きな負担がかかるため、フレックスタイム制や時短勤務、テレワークなどを採用する。
  • 心臓・呼吸器機能障害等をもつ従業員には、肉体的な負担が大きい業務を命じないよう留意する。
  • オストメイト用のトイレを設置する。

精神障害の特性

精神障害は、統合失調症や、うつ病、躁うつ病、アルコール・薬物中毒、アルツハイマー病など、さまざまな精神疾患が原因となり、体調・感情のコントロールができず、程度は異なるものの、仕事や日常生活に支障をきたしてしまう状態となるのが特徴です。

ここでは、「統合失調症」と「うつ病、躁うつ病」をピックアップし、それぞれの特性について説明していきます。

主な精神障害

統合失調症

統合失調症とは、思考や気持ちを上手くまとめることができず、自閉や幻聴といった症状が起こる病気をいいます。

会話や主張に一貫性がなくなる、周囲への興味関心がない、感情表現が乏しい、自分の殻に閉じこもるなどコミュニケーションや臨機応変な対応が難しい方や、幻覚や幻聴、妄想など、実際にはないものが現実的に見えたり聞こえたりする症状がある方など、その症状はさまざまです。

発症の原因は不明ですが、100人に一人弱がかかる比較的一般的な病気です。薬物療法や精神リハビリテーションなどの治療によって、改善を図ることが可能です。

うつ病、躁うつ病

うつ病とは、気分が強く落ち込み、活力が出ないといった症状が現れる気分障害をいいます。
憂うつな気持ちや意欲の低下、ネガティブな考えが現れるだけでなく、不眠や食欲低下、疲れやすい、だるさといった症状が現れます。

一方、躁うつ病とは、気分が盛り上がり活動的な躁状態と、気分が落ち込み無気力となるうつ状態を繰り返す病気です。別名、双極性障害とも呼ばれています。躁状態のときは、ハイテンションとなり、周囲の誰かれ構わず話しかけたり、ほとんど眠らずに動き回ったりと活動的になります。

いずれも明らかな発症の原因は分かっていませんが、感情や意欲を司る脳の機能に何らかの不調が生じているものと考えられています。薬物療法で改善しますが、うつ状態においては、特に自殺の企図に注意しなければなりません。

雇用における配慮

精神障害の症状によって適する業務は異なりますが、精神障害者には、基本的にマイペースで仕事ができ、対人コミュニケーションが少ない業務が向くものと考えられます。例えば、事務職や研究職、エンジニア、在宅ワークなどが挙げられます。

精神障害者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • 統合失調症である従業員には、ストレスや環境の変化に弱い点に配慮した対応に努める。
    一度に多くの情報が入ると混乱するため、伝える情報はメモに書く等してゆっくり具体的に伝える。症状が強い時には休養をとらせ、医師への受診を促す。
  • うつ状態の従業員には無理をさせず、休養をとらせる。自傷行為や自殺を図る可能性もあるため、自殺などを疑わせる言動があった場合は、早急に医師等に相談するよう本人や家族に促す。
  • 躁状態の従業員には、金銭の管理、安全の管理などに十分注意し、会社だけでは対応が困難な場合は専門家に相談する。

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知的障害の特性

知的障害とは、知的機能がほかの同年代の方と比較して緩やかなペースで発達していることをいいます。
例えば、複雑な会話の理解、自分の考えを伝える、突発的な物事に対する判断、文章の読み書き、計算等が苦手な傾向にあります。

生活の全般について介助者等の支援が必要なケースや、勉強や仕事の場面、他者とコミュニケーションをとる場面において時折その特性が出るというケースなど、個人差が出る障害です。

雇用における配慮

知的障害者は、教えられたことを忠実に守る傾向があるため、得意分野については本領を発揮し、質の高い成果を生み出す可能性があります。向いている業種としては、工場で製品の組み立てなどを行う「製造業」、店舗のバックヤード業務といった「販売業」、福祉や介護などの「サービス業」、「清掃業」などが挙げられます。

一方、仕事の指示内容を理解するまでに時間がかかるため、煩雑な工程の業務や複雑な計算を要する業務は向かないものと考えられます。

知的障害者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • 少ない業務量からスタートし、本人の習熟度に合わせて徐々に増やしていく。
  • あいまいな表現を避け、分かりやすく具体的な言葉を使って説明する。
  • 指示の内容確認がしやすいよう、専属の担当者を付けて、マンツーマンで業務指導を行う。
  • イラストや図、写真などを用いてマニュアルや業務指示書を作成して説明する。

発達障害の特性

発達障害とは、生まれつき脳機能の発達の程度に障害があることで、生活するなかで適応が難しい場面が生じる状態のことをいいます。特性の現れ方はさまざまですが、ここでは、以下の3つに該当する特性について説明することとします。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

主な発達障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、自閉症、アスペルガー症候群などの総称となっています。特性の代表的な例としては、対人関係の構築が苦手でコミュニケーションをとることが難しい、興味や関心がパターン化していてこだわりが強い、特定の行動に没頭するなどがあげられます。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、「多動性」「衝動性」「不注意」の3つが主な特性といえます。

「多動性」:落ち着いていられず、必要以上に動き回ってしまう。
「衝動性」:思いついたことを、考えるよりも先に行動してしまう。
「不注意」:集中力が長続きせず、うっかりミスが多い。

学習障害(LD)

学習障害(LD)は、全般的な知的機能の発達に遅れはないものの、学習に必要な基礎的能力の中で、特定分野のみ困難を伴う状態をいいます。「話す」「聞く」「読む」「書く」「計算・推論する」といった特定のことに対して極端な苦手意識を感じるのが主な症状です。

「文字は読めるが言葉にできない」「計算ができない」「会話が聞き取れない」など学習能力に極端な遅れが見られるのが通例ですが、「大勢の話声がすると耐えられない」「香水の匂いが我慢できない」など敏感な感覚を持つ方もいます。

雇用における配慮

発達障害者は、興味のあることに集中力を発揮したり、発想力が豊かであったりする場合が多いため、仕事や環境が合えば、大きな成果を生み出す可能性があります。
向く業務としては、事務職や経理職、ITを活用した業務、デザイナー、イラストレーター、研究業務などが挙げられます。

一方、電話応対や接客、営業など、相手の気持ちを汲み取りながら行う業務は向かないものと考えられます。

発達障害者への雇用における配慮の例として、以下が挙げられます。

  • イラストや写真を多く活用したマニュアルを作成し、伝えたい内容を視覚的に説明する。
  • 感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温などの調整を行う。
  • ADHDの従業員については、注意が散漫しない座席の位置に座らせ、定期的にストレスケアなどを行う。
  • LDの従業員については、得意な部分を積極的に用いて情報を理解し、表現できるようにする。苦手な部分については、業務の量・質を適切に調整し、柔軟な評価をする。

障害特性に応じた雇用支援施策

ハローワーク等を中心とした各機関では、障害者雇用の拡充を図るべく、障害者の特性に応じた雇用支援施策が講じられています。ここでは、「精神障害者」、「発達障害者」を対象とした支援施策について紹介します。

精神障害者を対象とした支援施策

障害者雇用率制度における精神障害者の特例
精神障害者の雇用率が低いことから、障害者雇用率の算定に際し、短時間労働者である精神障害者のカウント方法を、一定の場合に、通常0.5人から1人に引き上げる特例です。

精神障害者雇用トータルサポーターの配置
ハローワーク等の窓口に、専門的な知識を有する「障害者雇用トータルサポーター」を設置し、精神障害者にコミットした相談支援および事業主への意識啓発等を行います。

精神障害者等ステップアップ雇用奨励金
常用雇用を目指す精神障害者のために、一定期間の中で徐々に就労時間を延ばしつつ、所定の労働時間まで働けるよう訓練する制度を活用する事業主に対し、奨励金が支払われます。

精神障害者雇用安定奨励金
精神障害者が継続して働きやすい職場、相談体制等を整備している事業主に対して奨励金が支払われます。

精神障害者に対する総合的雇用支援
地域障害者職業センターにおいて、専任の精神障害者担当カウンセラーのもと、主治医と連携して雇入れや継続雇用などに関する多岐にわたる支援が行われます。

医療機関等との連携によるジョブガイダンス事業
精神障害者の就労に向けて適切な支援が行われるよう、ハローワークが医療機関に対し、精神障害者の就職活動に関するガイダンスなどを行います。

職場支援従事者配置助成金
ハローワークなどの紹介を受けて65歳未満の精神障害者等を継続雇用し、かつ職場支援従事者を導入している事業主に対して助成金が支払われます。

発達障害者を対象とした支援施策

若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム
コミュニケーションに不安がある発達障害者に対し、ハローワークが地域障害者職業センター、発達障害者支援センターなどの専門支援機関に誘導したり、これらの機関を介さず個別相談・支援をしたりします。

発達障害者の就労支援者育成事業
支援者側及び障害者雇用を検討する事業主に対し、講習会や実習を通して、発達障害者の就労支援に関するノウハウを伝える、雇用機会を創出するといった取り組みを行います。

発達障害者雇用開発助成金
職業生活上の課題を浮き彫りにするため、ハローワークの紹介によって発達障害者を雇用し、対象者の雇用管理について把握、報告する事業主に対して助成金が支払われます。

発達障害者に対する職業リハビリテーション支援技法の開発及び地域障害者職業センターにおける試行実施
障害者職業総合センターで、発達障害者の職業リハビリテーション支援技法を開発し、その蓄積したデータをもとに、地域障害者職業センターで専門的支援を試行します。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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