事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | 残業代 |
人事 | 採用 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
事案の概要
今回、いわゆるアスリート社員を採用することになりました。
当該社員は、会社での勤務をせずに、終日、競技の練習に取り組むことになります。
このようなアスリート社員の労働時間はどのように算定するべきでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
ご質問のようなアスリート社員については、会社に出社せずに競技活動に専念する形を取ることも多く、一般社員のように、会社に対して労務を提供するわけではないため、労働時間をどのように算定するかが問題となります。
この点、労働基準法38条の2第1項は「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。」と規定しており、事業場外で活動するアスリート社員について、このみなし規定を適用し、所定労働時間労働したものと扱うことが考えられます。
もっとも、同項ただし書は、「ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。」と規定しており、アスリート社員が所定労働時間よりも長い時間、競技活動に専念することが常態になっている場合、同ただし書により、所定労働時間よりも長い時間が労働時間としてみなされてしまい、時間外割増賃金が発生してしまうおそれがあります。
この点、同条第2項が、「前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。」と規定しているため、労使協定により、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めるという方法で、予想外の時間外割増賃金が発生することを予防するという方法が考えられます。
アスリート社員の労働時間の算定の仕方については、雇用の段階で、アスリート社員との間で十分に協議し、契約書等により明確に定めることが望ましいと考えられます。
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