事例内容 | 相談事例 |
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人事 | 減給 |
問題社員 | 降格 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
相談内容
相談者である会社が、事業失敗に伴い、採用当初からWebサイトのデザイナーとして専門的に働いてもらう予定であった社員の所属部署を解散することになり、同社でWebデザイナーとして任せられる仕事がなくなってしまいました。そこで、会社は、当該社員に対して、別の未経験業務を任せる職種変更を命じる予定ですが、変更先が未経験業務なので、当該社員の等級を引き下げ、給与も下がる予定です。 そこで、会社の事業失敗に伴う降格に法的問題がないか、相談がありました。
前提となる法制度・助言内容
降格の有効性が問題になる場合、2つのレベルの問題があります。1つ目は法的根拠があるか、2つ目は権利濫用にあたらないかです。
1つ目の法的根拠は、例えば、就業規則に降格の規定があるか、あるとして、その就業規則の規定に基づいて行われているか、という問題です。今回の相談では、正に就業規則に基づくものとして、この点の問題はなさそうでした。
2つ目の権利濫用は、①降格の原因が社員にあるか、②会社の業務上、降格の必要性が大きいか、③社員の不利益の程度は大きくないか等を検討して、会社が人事権を濫用するものといえないか、という問題です。その他、不当な目的がないかを検討しなければならない場合もあります。
今回の事業失敗に伴う部署解散は、①降格の原因が社員側にはなく、しかも給与の低下という③社員の不利益の程度も少なからずあります。一方、当該社員に採用当初から専門的に行わせる予定だったWebデザインの業務がなくなり、未経験業務に職種変更せざるを得ない以上、②会社の業務上の必要性も小さいものではありません。
しかしながら、賃金は最も重要な労働条件でもあることから、厳格な判断もなされることから、裁判に備えるのであれば、不利益緩和措置を行うことも重要であり、職種変更後1年間は給与を据え置く等の代替措置をとったうえで、当該社員の同意を得るべきである旨助言しました。
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