事例内容 | 相談事例 |
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労働 | 時間外労働 事業場外労働 労働時間 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
相談内容
相談された会社は、従業員が会社外部で働いている時間を把握していないとのことでした。
今後は、適切に賃金を支払うよう運用を改めるとのことで、このような外部での労働について、どのように賃金を支払えばよいか相談されました。
会社としては、手当として一定額を支払うか、事業場外みなし労働制の適用により8時間労働したものとみなすことで済ませたいとの要望がありました。
前提となる法制度・助言内容
従業員が外部で労働する際に、当該労働時間を把握するための方法としては、⑴タイムカード等の客観的な記録により確認する方法、⑵外部での労働に会社の上長が帯同し、労働時間を把握する方法、⑶従業員の自主申告等により労働時間を把握する方法等があります。
本件では、⑶を念頭に置きます。
会社としては、従業員の申告した労働時間を計算する手間を省きたいがために、一定額の手当を支払うことで賃金の支払いとしたいとの要望でした。しかし、手当として支給すると、残業代を計算する際の基礎賃金に含まれるおそれがあること、事業場外での労働といえども労働時間の状況の把握は必要とされていることなどから、希望に必ずしも適う対応とはならない旨をアドバイスしました。
次に、会社の就業規則には、事業場外みなし労働制の規定があったため、当該規定の適用により、8時間分の労働をしたものとみなし、一律に8時間分の賃金を支払うことで済ませたいとの要望がありました。
事業場外みなし労働制は、たとえ就業規則への規定がある場合であっても、労働時間の状況(詳細な時間数ではなく概ねの状況)の把握は少なくとも必要とされており、全く管理しなくてもよいわけではなく、裁判例において、業務内容が仔細に定められ裁量の余地が少ないような場合には、会社が実労働時間の算定把握が可能であったことを理由に適用を否定するものもあります。後日、紛争となった際に対応が必要となることを避ける希望があるのであれば、会社が従業員の外部での労働時間を算定したうえで、事業場外みなし労働制の適用しないという選択肢も考慮するよう助言しました。
最終的に、会社としては、実態調査等により従業員が適切な労働時間を申告しているか調査しつつ、働いた時間に応じた賃金を支払うこととして運用するという結論に至りました。
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