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業務開始前のラジオ体操の労働時間該当性について

事例内容 相談事例
労働 労働時間
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

ある従業員から、始業時間前にラジオ体操を行っているがこの時間は労働時間に該当しないのか、との指摘を受けた。
対応を検討しているため、考え方を教えてほしい。

弁護士方針・弁護士対応

終業前の準備行為が全て労働時間に該当すると思われているようですが、そうとは限りません。
就業時間前の準備時間が労働時間に該当するか否かを判断した判例として、三菱重工業長崎造船所事件(最判平成12年3月9日)があります。

当該判例は、「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する」と述べ、使用者からの義務付けがあり、労働者が行うことを余儀なくされたか否かを基準としています。

近年でも、静岡地裁沼津支部令和2年2月25日が、「労働基準法上の労働時間に該当するか否かは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり,使用者の指揮命令下にあるか否かについては,労働者が使用者の明示又は黙示の指示によりその業務に従事しているといえるかどうかによって判断されるべきである。そして,終業時刻後のいわゆる居残残業と異なり,始業時刻前のいわゆる早出残業については,通勤時の交通事情等から遅刻しないように早めに出社する場合や,生活パターン等から早く起床し,自宅ではやることがないために早く出社する場合などの労働者側の事情により,特に業務上の必要性がないにもかかわらず早出出勤することも一般的にまま見られるところであることから,早出出勤については,業務上の必要性があったのかについて具体的に検討されるべきである。」と判断しており、事案の実情に照らして判断される傾向があるといえます。

早出残業に関する裁判例に照らしても、使用者からの義務付けがあったか否かの考慮要素として、当該作業が就業規則に定められているか否か、明示的な指示があったか否か、当該作業を行わなければ懲戒処分・減収・不利益処分を課せられた否かという点等が挙げられるため、これら事情の有無を確認して判断していくことになります。

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