事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | 普通解雇 |
問題社員 | 懲戒解雇 |
事案の概要
とある従業員(A氏)を能力不足を理由に懲戒解雇しました。
懲戒解雇から数週間経った後、A氏の代理人弁護士から「能力不足は貴社の就業規則の懲戒事由に規定されていない。A氏に対する懲戒解雇は無効である」という旨の書面が届きました。
たしかに本人のいうとおり、能力不足は懲戒事由として規定されておらず、とA社に対する懲戒解雇は無効となってしまうおそれがあるように思います。
もっとも、当社としては、A氏は普通解雇事由には当たると考えています。
この場合、「あれは普通解雇でした」と事後的に主張することはできるのでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
懲戒解雇をした後、事後的に普通解雇としての効力も併せて主張することを「懲戒解雇の普通解雇への転換」などということがあります。
たとえば、使用者が行った懲戒解雇が無効と判断された場合に、当該懲戒解雇の意思表示は普通解雇の意思表示を包含するものであったとして、普通解雇としては有効であると主張する場合がこれに当たります。
これについて、「使用者が、懲戒解雇の要件は満たさないとしても、当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており、懲戒解雇に至る経緯に照らして、使用者が懲戒解雇の意思表示に、予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には、懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されていると認めることができる」旨判示した裁判例(さいたま地裁平成17年9月30日判決)ある一方、むやみに転換を認めると、解雇処分を受けた労働者の地位が不安定となることを理由に、転換を否定する裁判例が多い傾向にあります。
したがって、懲戒解雇から普通解雇への転換は許されないと判断される可能性が相当程度高いでしょう。
以上のような状況への対策としては、主位的に懲戒解雇の意思表示をしつつ、予備的に普通解雇の意思表示を行っておくことや、バックペイが増えうるというリスクはあるものの、事後的に普通解雇をやり直すといった手段が考えられます。
解雇の判断を誤ると、重大なトラブルや最終的な損失の拡大につながることが容易に予想されます。
従業員の解雇をお考えの方は、解雇事由の有無や適切な手続などについて、労働問題に強い弁護士に相談することをご検討ください。
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