顧問弁護士とは|4つの役割や依頼するメリット、費用相場などを解説

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員
企業経営を行ううえで、顧問弁護士は心強いパートナーです。
法律の専門知識をわかりやすく教えてもらえるだけでなく、経営に関する幅広いアドバイスも受けられるためです。法的リスクを未然に防ぎ、安心して事業を進めることができます。
この記事では、顧問弁護士の役割や依頼するメリット、費用の相場、選び方のポイントまで詳しく解説します。「顧問契約を結ぶべきか迷っている」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、企業や個人事業主と顧問契約を結び、日常的に法的サポートを行う弁護士のことです。契約を結ぶことで、法律相談や契約書の作成・チェック、取引先とのトラブル予防など、経営に欠かせない幅広いサポートを受けることが可能です。
なお、顧問弁護士には特定の分野に特化した顧問があります。例えば、労務に特化した顧問として「労務顧問」という選択肢もあります。近年は、企業と従業員の間で発生する労働トラブルが増加しており、その内容もハラスメントや長時間労働、残業代請求など多様化しています。
こうした問題に適切に対応し、迅速に解決するのが労務顧問の役割です。労働トラブルが解消されれば従業員のモチベーションが上がり、生産性アップにもつながるため、企業にとってメリットとなります。顧問弁護士は、単なる法的支援にとどまらず、企業の健全な成長を支える重要なパートナーといえるでしょう。
顧問弁護士と単発の弁護士の違い
企業が弁護士に依頼する方法として、「顧問契約」と「単発契約(スポット契約)」の2種類があります。
単発契約の弁護士は、特定の事件や問題が発生した際に、その都度依頼を受けて対応します。例えば、契約上のトラブルや債権回収など、発生した問題を解決することが主な役割です。依頼をするまでは費用が発生しない(相談料が無料なこともある)ため、コストを抑えたい場合に選ばれることもあります。
一方、顧問弁護士は企業や個人事業主と顧問契約を結び、日常的な法的サポートを提供します。トラブル対応はもちろん、予防法務にも力を入れられる点が大きな特徴です。
顧問弁護士は企業の状況や業務内容を把握しているため、迅速かつ的確なアドバイスが可能です。毎月一定額の顧問料が必要ですが、法的リスクを事前に防ぎ、安定的な事業運営に資するというメリットがあります。
中小企業における顧問弁護士の必要性
中小企業には法務部がなく、法律面の対策があまいことも多いです。仮に法律に詳しい社員がいても、幅広い法律分野に精通した人材は少ないのが実状です。
この状況で法的トラブルが発生すると、人的にも時間的にも対応が後手に回り、結果的に裁判にまで発展するリスクが高まってしまいます。特に、残業代や長時間労働などの“労働トラブル”は中小企業でも発生しやすいため注意が必要です。
顧問弁護士がいれば、さまざまなトラブルに対して迅速かつ適切に対応することができます。
また「予防法務」として、トラブルが発生する前にリスクを摘んでおくことも可能です。これは、日頃から企業の状況を把握している顧問弁護士ならではのメリットでしょう。
顧問弁護士の4つの役割
顧問弁護士は、トラブルが起きたときだけでなく、日頃から企業を法的にサポートする頼れるパートナーです。対応できる業務は弁護士によって異なりますが、主な役割は次のとおりです。
- ①労務リスクを防ぐための体制づくりの提案
- ②就業規則や契約書の企業実態に合致したリーガルチェック
- ③トラブル発生時の迅速な対応
- ④会社経営や事業活動における法的アドバイス
①労務リスクを防ぐための体制づくり
企業経営において、労務トラブルは避けて通れない課題です。未払い残業代や不当解雇、ハラスメント、過重労働などの問題が起きると、企業の信用や業績に大きな影響を与える可能性があります。こうしたリスクを防ぐためには、顧問弁護士のサポートが不可欠です。
顧問弁護士は、企業の状況を日頃から把握し、トラブルを未然に防ぐ体制づくりを手助けします。例えば、就業規則の整備や労務管理体制の見直し、最新の法改正への対応など予防法務を徹底することで、トラブルの芽を早期に摘み取ります。従業員の過重労働を見逃しそうな場合には、法律違反にならないよう企業に注意を促すことも可能です。さらに、トラブル発生時には、顧問弁護士が迅速かつ的確に対応し、スムーズな解決へと導きます。
②就業規則や契約書のリーガルチェック
企業では、就業規則や雇用契約書など、多くの労務関係書類を作成しなければなりません。しかし、自社対応では記載漏れや法令違反のリスクがあり、古い就業規則のままでは現状の働き方と合わず、従業員トラブルを招くおそれもあります。さらに、障害者雇用を進める場合は、労働条件についての合理的配慮や職業生活相談員の整備など追加対応も必要になることがあります。顧問弁護士なら、就業規則等に不備がないかチェックし、適切に作成・修正することができます。
また、企業経営においては、顧客や取引先との契約書は欠かせません。契約書は法的に問題のないことに加え、取引リスクを避ける工夫も必要です。契約書と一言にいっても、不動産売買契約や事業者ごとに異なる商取引契約など種類が多く、専門性が高いため一般的な知識だけでは対応が難しい場合もあります。顧問弁護士なら、顧問企業の実態に沿うように、契約内容を精査し、リスク回避の条項を盛り込むなど、契約書の最適な作成・修正も可能です。
就業規則の作成方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
③トラブル発生時の対応
企業経営では、従業員との間でさまざまなトラブルが発生する可能性があります。例えば、従業員が遅刻や無断欠勤を繰り返す、ハラスメントが発覚する、従業員から未払残業代を請求されるといったケースです。こうした問題を放置すると、職場環境の悪化や法的トラブルに発展するリスクがあります。
顧問弁護士なら、問題社員への対応や懲戒規程の整備、ハラスメントやメンタル不調への早期対応、残業代請求への証拠準備、予防策の構築まで幅広くサポートすることが可能です。
さらに、不当解雇や安全配慮義務違反などの労使トラブルが起きた場合、企業の代理人として交渉や裁判手続きを行い、証拠集めや書類作成まで全面的に対応します。労働組合への対応や団体交渉のフォローも可能です。通常の弁護士はトラブル発生後に依頼するため準備不足になりがちですが、顧問弁護士は日頃から企業の状況を把握しているため、迅速かつ有利な解決が期待できます。
無断欠勤・無断退職する従業員への対応方法については、こちらの記事をご覧ください。
企業がとるべきハラスメント対応について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
④会社経営や事業活動における法的アドバイス
企業が安定した経営を続けるためには、法令遵守とリスク管理が不可欠です。
顧問弁護士であれば、会社法や労働基準法などの法令を確認し、違反によるトラブルを未然に防ぐことが可能です。株主総会や取締役会の適法な開催もサポートし、紛争のリスクを減らします。コンプライアンスが重視される現代では、わずかな法的ミスが企業の業績に影響するため、専門家の助言は重要です。
さらに、上場(IPO)を目指す企業には、上場に必要な体制や法的要件についてアドバイスし、スムーズな審査通過を支援します。海外進出を計画する場合も、現地での設立登記や税務登録、労働許可証の申請など複雑な手続きをサポートすることが可能です。さらに、M&Aでは法務デューディリジェンスや契約書作成、交渉などを通じて、トラブルを防ぎ最適な条件での合意を目指します。
IPO労務問題への対応については、こちらの記事をご覧ください。
弁護士によるタイ進出の法務サポートについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
弁護士によるM&Aサポートについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
顧問弁護士にかかる費用の相場
企業向けの顧問弁護士の費用は、5~10万円が相場となっています。ただし、大企業だと必要なサービスも増えるため、15万円以上となるケースも多いです。
また、現在は弁護士報酬が自由化され、事務所が独自に料金設定できるため、顧問料が安価な事務所から高額な事務所まで幅広く存在します。
しかし、2016年に弁護士報酬が自由化されるまでは「月額5万円以上」という弁護士会における基準があったため、これを基準とする事務所が多いようです。
顧問弁護士を依頼するメリット
法律に関する様々な問題について相談ができる
企業は、顧問弁護士に対して、日常的に法律相談をすることで、トラブルの発生を予防することができます。
例えば、就業規則や雇用契約書の内容をチェックし、法的な問題があれば速やかに修正を行うことができます。また、コンプライアンス違反が疑われる場合、有効な対策をとることも可能です。
これらの対応により、トラブルの原因をあらかじめ排除しておくことができます。
また、顧問弁護士は企業の内部事情に詳しいため、スポット的に相談する一般的な弁護士よりも具体的な回答が得られるでしょう。
なお、法律事務所によっては、経営者だけでなく労務問題を扱う実務担当者(人事部など)からの相談も受け付けています。
損害が最小限に抑えられる
顧問弁護士は初動対応が早いため、被害が拡大する前に問題を解決することができます。
一般的に、弁護士は多くの案件を抱えているため、トラブルが発生してから弁護士を探したとしても、相談の予約がとれないケースが多いです。
一方、顧問弁護士であれば、顧問契約を結んでいる企業からの相談は基本的に優先して対応するため、迅速に動くことが可能となります。
また、日頃から企業の状況を把握しているため、問題点を迅速に把握し、解決策を導きやすいというメリットもあります。
法務コストを削減できる
新たに法務部を設置するよりも、顧問弁護士と顧問契約を結ぶことで、コストを削減することができます。
法務部は直接利益を生むわけではないので、新たに法務担当者を採用するコストや人件費を考慮すると思ったよりも高額になります。
また、トラブルが発生したときにスポット的に弁護士に依頼する方法もありますが、その都度相談料が発生することも多いため、結局顧問弁護士に委託した方が安く済むのが一般的です。
企業の信頼性の向上につながる
顧問弁護士の存在を外部に示すことで、コンプライアンス体制が整備されていると対外的にアピールできます。
例えば、取引先に対しては「契約や債権管理に法的な問題がないこと」を強調できます。また、一般消費者に対しても「法律の規制やルールをしっかり守っている」とアピールすることができます。
また、求職者にとっても、コンプライアンス体制が整っている企業は安心感があるため、人材確保にもつながるでしょう。
法改正など最新の法的対応ができる
企業法務に関連する法律は頻繁に改正されるため、常に知識のアップデートが必要です。また、自社の業界に関係する法律だけでなく、労働基準法など雇用に関する法律に目を配ることも必須といえます。
しかし、法律の内容はややこしく改正点も多いため、経営者がこれらをすべて把握するのは困難です。
顧問弁護士がいれば、法改正の内容をわかりやすく教えてもらうことができます。また、改正後に不明点があれば気軽に相談できるため、手間と時間を大幅に削減できるでしょう。
顧問弁護士のデメリット
顧問弁護士には、ランニングコストがかかるというデメリットがあります。顧問料は基本的に毎月固定なので、あまり顧問弁護士を利用しない企業では費用対効果が悪くなってしまいます。
また、依頼する業務が一定の範囲を超えると追加料金がかかることもあるため、事前に確認が必要です。
そのほか、「弁護士との相性が合わない」と感じ、利用しづらくなるケースもあります。
これらのデメリットを防ぐには、契約を結ぶ前に、自社に適した弁護士を見極めることが重要です。
「必要なサービスがプランに含まれているか」「毎月の費用に無理はないか」などを基準に判断するのがポイントです。
顧問弁護士を選ぶ際のポイント
顧問弁護士を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 実績があるか
経験豊富な弁護士は、より良い解決策やノウハウを熟知している傾向があります。解決事例などが掲載されていれば、参考にしましょう。 - 専門性の高さ
労働問題や債権回収は“企業ならでは”の問題なので、企業法務に精通した弁護士でなければスムーズに対応するのは難しいといえます。 - 事務所の規模
弁護士の人数が多いと、扱ってきた案件も多く、経験豊富だと予想できます。また、事務員が多い事務所だと、弁護士が事務所に不在でも事務所内での情報共有が迅速に行われるためおすすめです。 - 親身になってくれるか
顧問弁護士とは長期的な付き合いになるため、相性はとても重要です。企業側の話をじっくり聞き、コミュニケーションをとりやすい弁護士を選びましょう。
弁護士法人ALGの労務顧問が選ばれる理由
人事・労務・労働問題に特化したリーガルサービス
弁護士法人ALGは多種多様な企業と顧問契約を結んでおり、幅広い知識と経験を有しています。また、これまで多くの事案を扱ってきたからこそのノウハウも備えています。
さらに、事業部制を取り入れ、「企業法務事業部」を設置しています。企業法務事業部に所属する弁護士は企業案件を中心に扱っているため、高い専門性を有しているのが特長です。
実務経験が多いため、クライアントのニーズに合わせた柔軟なサービスが可能となります。
経営者だけでなく実務担当者も気軽に相談可能
弁護士法人ALGの労務顧問は、経営者や社長だけでなく、人事部や労務部、管理部など「現場の労務担当者」の方も気軽にご相談いただけます。そのため、現場の声にしっかり耳を傾けることができます。
また、クライアントの労務状況を詳しく把握できるため、リスクの早期発見・予防につながります。
さらに、弁護士が労務担当者に直接アドバイスできるため、現場の負担軽減や効率化につながるでしょう。
豊富な実績と蓄積されたノウハウ
企業法務では、実績や経験の多さが強みとなります。さまざまな事案に触れることでノウハウが蓄積され、柔軟な対応が可能になるためです。
また、弁護士法人ALGの顧問先は不動産や人材、システム開発など実にさまざまなので、幅広い業界に精通しています。
さらに、事業部制によって「企業法務事業部」が企業案件を専門的に扱っているため、企業法務事業部には短期間で多くの企業法務案件の経験を積んだ弁護士が揃っています。また企業案件に特化しているため、最新の法律や法改正にもしっかり対応しています。
レスポンスの速さ・相談のしやすさ
労務問題は初動が重要になるため、弁護士法人ALGでは迅速な対応を常に意識しています。日頃から企業の状況をしっかり把握し、トラブルが起きた際もすぐに対応できるのが強みです。
また、複雑な労務問題を早く解決するには、弁護士の数も重要です。弁護士法人ALGは約100名の弁護士が在籍しているため、複数の弁護士が連携し、よりスピーディーな対応を実現できます。
また、労務問題に特化させたことで、人事部などの実務担当者が格段に相談しやすくなりました。日頃からささいな疑問や困りごとを共有いただくことで、トラブル防止にもなります。
事業の成功や円滑な経営へのサポート
弁護士法人ALGでは、企業に寄り添った対応や信頼関係を重視しています。
法律に沿った内容をただ伝えるのではなく、企業の現状や実態をしっかり理解し、最善と思われる解決策を共に考えていきます。
また、日頃からコミュニケーションをしっかり行い、トラブルの原因に早期に気付けるよう努めています。企業の状況を常に把握していれば、万が一トラブルが発生した際も迅速に対応することが可能です。
企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ
企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料※
企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)
会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません
※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。 ※無断キャンセルされた場合、次回の相談料:1時間10,000円(税込11,000円)
この記事の監修

- 弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)
執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。
近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある
