事例内容 | 相談事例 |
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問題社員 | 企業秩序維持 競業 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
概要
入社時に競業避止義務を定める誓約書を取得し、退職後の競業企業への就職などについて、違反者に対する制裁として賞与の返還義務などを定めています。
競業企業へ就職したことを把握した際に、不誠実な対応をする従業員に対しては、定められた制裁を実行していくことを検討していますが、その方法として、①賞与の返還請求等を行うこと、②競業会社へ在籍確認のための書面を送付すること、③身元保証人へ連絡することなどは適切でしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
競業避止義務の設定に当たっては、その拘束期間、地域的な制限の範囲、制限に対する対償の有無などを総合考慮の上、その有効性が判断されることから、如何なる範囲においても有効になるわけではないことには留意する必要があります。
一方で、競業避止義務の設定自体が有効である場合には、それに対する制裁の定めも有効となりえます。ただし、賞与を返還対象とすることは必ずしも適切ではありません。過去の裁判例では、退職金について一部の不支給が認められた事例は存在するものの、既に受けた労働の対価である賞与を減額したら返還を求めることは、賠償予約の禁止や賃金全額払いの原則との関係でも問題があります。
したがって、まずは、制裁の対象については、功労報奨の趣旨を含んでいる退職金に限定する方が適切でしょう。
競業企業に在籍確認を実施することについては、競業企業内において誓約違反の事実が伝播されると考えられることから、従業員に対する名誉棄損等を引き起こすおそれがあるため、適切とは言い難いところです。また、身元保証人に対しても、名誉棄損等になる可能性があるため、その可能性を低減させるためには、不特定多数へ伝播する可能性がないように配慮しつつ通知する必要があるでしょう。
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