会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません 会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

人事・労務・労働問題を法律事務所へ相談するなら会社側・経営者側専門の弁護士法人ALGへ

労働組合の意義

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「会社と対等な立場で話し合いができる」「労働者の権利を主張することができる」など、労働組合の存在は、会社と比べて立場の弱い労働者にとって、大きな力になっています。

労働組合の存在によって、労働者は給与などの労働条件や、職場環境の改善を図ることが可能となります。その結果、仕事へのモチベーションがアップし、労働者にやりがいを持って働いてもらうことができれば、企業にとっても大きなメリットになることでしょう。

本記事では、なぜ労働組合が必要なのか、その意義や役割、労働組合の結成により受ける労働者側のメリットと企業側のメリット、団体交渉への対応と注意点などについて解説していきますので、ぜひご一読下さい。

労働組合とは

労働組合とは、労働者が団結して、給与や労働時間などの待遇や職場環境の改善を図り、より働きがいのある職場を作り上げるために組織する団体をいいます。
労働組合が目的を達成するために必要な権利は、労働三権として、憲法28条により保障されています。
労働三権とは、以下を指します。

●団結権
労働者が労働組合を結成する権利。労働組合に加入する権利。

●団体交渉権
労働組合が会社側と労働条件などを交渉し、文書などで約束を交わせる権利。

●団体行動権
労働条件等の改善が交渉により進展しないときに、一斉に仕事を放棄して、団体で抗議できる権利(ストライキ権)

この労働三権を具体的に保障するため、「労働組合法」などの法律が規定されています。
労働組合法は、労働組合と会社で取り決めた事項を、労働協約として結ぶ権利を認めています。
また、労働組合に関わったことを理由に、会社が労働者を解雇したり、その他不利益な取扱いをしたりすることを、不当労働行為として禁止しています。

労働組合の詳細については、以下のページをご一読下さい。

労働組合とは|労働組合の種類や労働組合法について

労働組合の意義

経済的に弱い立場にある労働者であっても、集団で活動・交渉することにより、会社と対等な立場に立つことが可能となります。
賃金や労働時間など職場が抱える様々な問題を会社側に伝えて、より良い労働条件へと改善し、働きがいのある職場環境を整備する。これが労働組合の意義であると考えられます。

もっとも、これは会社の発展があってこその労働条件・職場環境の改善であるため、会社も労働組合も目指すゴール地点は同じといえます。労働組合と聞くと、会社と対立しているイメージを持つ方が多いかもしれませんが、会社の発展のためには、会社と労働組合との協力が欠かせません。

また、労働組合の存在は、会社経営においてもメリットがあります。労働組合との交渉によって、会社側は経営上の問題を早期に把握できるため、結果として生産性の向上を見込むことが可能です。

労働組合の役割

労働組合の役割、つまり労働組合の活動によって実現できることの具体例として、以下が挙げられます。

  • 組合員の不満や要望などを会社側に伝えやすくし、職場の風通しを良くする
  • 賃金や労働時間、職場のルール等を会社との話し合いで決められるようにし、労働条件を改善する
  • 仕事の成果や働きぶりが公正に評価され、納得して働ける職場環境に改善する
  • 経営に関する情報を入手しやすくし、透明性を高める
  • 不当な解雇やリストラを防止し、雇用の安定化を図る
  • 労使トラブルが起きた場合に、労働者を全面的にサポートする
  • 倒産や会社売却など万が一の際に、労働者を守る盾となる
  • 各種共済制度の利用を可能にする
  • 同業他社の経営状況や労働条件などについて情報交換を行う

労働組合の結成による労働者側のメリット

労働組合の結成によって、労働者が受けるメリットとして、以下が挙げられます。

●不利益な取り扱いに対抗できる
労働組合には団体交渉権や団体行動権が保障されているため、不当な理由による解雇や減給、一方的なリストラ、ハラスメントなど不利益な取り扱いを受けた場合は、労働組合全体で対抗し、会社に誠実な対応を要求することが可能です。

●会社に要望を通しやすくなる
労働組合に加入すると、会社と対等に交渉できるため、賃金や職場環境などの改善要望を会社側に通しやすくなります。また、ある労働組合が労働者の過半数で組織されている場合には、会社は就業規則を作成・変更する際に、その労働組合の意見を聴取する必要があるため、労働者に不利益な規定が設けられることを防ぐことが可能です。

●相談窓口として活用できる
ハラスメント被害や職場トラブルが生じた場合に、労働組合に相談をすれば、今後の対応の助言を受けることが可能です。また、職場環境等の改善について、労働組合を介して会社に要望を伝えることもできます。

労働組合の結成による企業側のメリット

労働者が労働組合を結成して活動することには、労働者だけでなく、企業側にもメリットがあります。
企業の受けるメリットとして、以下が挙げられます。

  • 労使トラブルを回避できる
  • 生産性向上につながる
  • コンプライアンス強化ができる

以下で詳しく見ていきましょう。

労使トラブルを回避できる

会社は労働組合を通じて、労働条件や職場環境への不満や要望など、労働者の生の声を集めることができるため、職場で起きている問題をいち早く把握することが可能です。
その結果、労働者の要望を反映させた会社運営ができるようになるため、労使トラブルを未然に回避することが可能となります。

また、労働組合の存在は、不当な減給や解雇、ハラスメントなどの一定の抑止力となります。労働者への不当な取り扱いが減ることで、健全で働きやすい職場が作られること、職場のモラルアップが期待されます。

生産性向上につながる

労働者の代表である労働組合と会社が協力して、より良い労働条件や職場環境を作り上げることは、労働者に働きがいや安定、安心感などをもたらします。働きやすい職場環境になれば、労働者のモチベーションもアップするため、離職率の低下が見込めます。

また、モチベーションアップや離職率の低下は、長期的に見ると、生産性の向上、業績アップへとつながることも期待されます。さらに、会社と労働者間で情報を共有することで、業務の無駄を減らし、仕事の効率を上げることも可能です。

コンプライアンス強化ができる

労働者が抱える問題の中には、パワハラやセクハラ、長時間労働など、コンプライアンス(会社が法令や社会的ルールを遵守すること)に関わるものが少なくありません。
働き方改革が進められている昨今、コンプライアンス違反は会社として重大な問題です。コンプライアンスに関する問題が改善されずに、そのまま放置されると、社会的信用を失い、会社のイメージダウンや利益の喪失を招くおそれがあります。

しかし、労働組合があれば、労働組合を通じて、組合員が抱える問題意識や労働者からみた会社の問題点をいち早く把握し、これらの問題に迅速に対応することが可能です。結果として、コンプライアンスの強化が図れるというメリットがあります。

団体交渉への対応と注意点

労働組合が結成されると、ある日突然、団体交渉の申し入れを受ける可能性があります。

労働組合が要求する事項は、解雇の撤回や未払い残業代の支払いなど様々です。組合との話し合いには気が進まないかもしれませんが、会社には団体交渉に誠実に応じるべき法的義務(労働組合法7条2号)が課されています。

労働組合との話し合いに誠実に応じないと、不当労働行為と判断されて、労働委員会からの救済命令や罰則を受けたり、損害賠償責任を追及されたりするリスクがあるため注意が必要です。

ただし、労働組合の要求が、団体交渉を義務付けている義務的団交事項(報酬や労働時間、休息、安全衛生、労災の補償など)に当たらない場合などには、会社は団体交渉を拒否することができる場合があります。そのため、そもそも応じるべき団体交渉なのか、要求にどこまで従うかの見極めが必要となります。これらの判断には難しい点が多々あるため、お困りの場合は、弁護士などの専門家に相談することを推奨します。

団体交渉に対する対応方法について知りたい方は、以下の記事をご一読下さい。

団体交渉とは|進め方ややってはいけない対応など
ちょこっと人事労務

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料

企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

0120-336-709

平日 9:00~19:00 / 土日祝 9:00~18:00

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。 ※無断キャンセルされた場合、次回の相談料:1時間10,000円(税込11,000円)

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます