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整理解雇の4要件と実施手順|人員整理が無効とならないために

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

新型コロナウイルスや物価高など、昨今の情勢により、急激に経営状況が悪化した会社は少なくありません。手を尽くしても経営を立て直せなければ、「整理解雇」などの人員削減手段を選択せざるを得ないこともあるでしょう。

しかし、会社の一方的な都合で行う「整理解雇」は、通常の解雇以上に手続きの適正性等が求められます。そのため、手続き等に不適正・不合理な部分があると疑われる場合には、解雇の無効を主張されて裁判を起こされたり、損害賠償金を支払わなければならなくなったりする可能性があります。

そこで、今回は「整理解雇」に焦点を当てて、その判断基準をはじめ、適正に実施するための手順などについて詳しく解説していきます。

整理解雇の定義

整理解雇とは、会社の人員整理のために行う解雇です。会社の資金繰りが悪化し、支店や部門を閉鎖することになり、経営上人員を削減する必要性が生じたときに行われます。一般的に、同時期に大人数の労働者を解雇することになります。

なお、次の表にまとめたとおり、解雇の種類には整理解雇を含めて3種類あります。

普通解雇 労働者が労働契約の内容を守らないこと等を理由とする解雇
懲戒解雇 就業規則に規定されている懲戒処分の中で最も重い処分として行われる解雇
整理解雇 使用者側の経営不振等の事情により、人員を削減するために行う解雇

整理解雇は、労働者に問題があるために行われる普通解雇や懲戒解雇とは異なり、使用者の経営上の理由に基づく解雇である点に特徴があります。

終身雇用をはじめ、長期雇用が一般的な日本で安易に整理解雇を認めると、労働者の生活が損なわれてしまうおそれがあります。そこで、過去の裁判例により、整理解雇に解雇権濫用法理を適用する際の判断要素が整理され、通常の解雇よりも厳しい4つの要件が設定されました。

整理解雇とリストラの違い

リストラとは、会社が周囲の環境の変化に柔軟に対応し、経営の効率化を図って事業を再構築することで、正式にはリストラクチャリングといいます。リストラの主な手法には、「経営資源の集中投下」「事業展開の再編成」「収益が見込めない事業の縮小」の3つがあります。

リストラと整理解雇は混同されがちですが、会社が経営を再建させるために行う整理解雇は、あくまでリストラの人員整理手段のひとつでしかありません。
リストラの人員整理手段には、整理解雇以外にも「希望退職者の募集」「有期労働契約の雇止め」といったものがあります。

整理解雇の4要件(要素)

客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当だと認められない解雇は、使用者が権利を濫用したものとして無効になります(労働契約法16条)。このルールを「解雇権濫用法理」と呼びます。

詳しい説明をご覧になりたい方は、下記の記事をご覧ください。

解雇権濫用法理について

整理解雇も解雇である以上、解雇権濫用法理が適用されます。しかし、会社の一方的な都合で行う整理解雇に対しては、通常の解雇よりも厳しく適用する必要があります。

この点、裁判例は、有効な整理解雇の要件として、通常の解雇の有効性の判断基準より厳格な4要件(人員削減の必要性解雇回避努力人員選定の合理性解雇手続の相当性)を確立しています。

なお、近年の裁判例では、4つの要件を必要条件として求めずに、4つの要素を検討・総合考慮して解雇を認めるケースが多いです。

人員削減の必要性

有効な整理解雇をするためには、まず「人員を削減する客観的な必要性」が認められなければなりません。この「必要性」については、経営を続けるうえで、人員を削減しなければ倒産が避けられないとまではいかないものの、会社の経営状態がひっ迫している程、整理解雇の有効性が認められやすくなります。

また、使用者は労働者に対して、具体的な経営指標や数値を活用しながら「どれくらい経営状況が悪化しているのか」「どれくらいの規模の人員削減が必要なのか」を示したうえで、人員削減の必要性を説明しなければなりません。

なお、一般的に裁判所は、整理解雇に関する経営判断を含めて、経営者の判断を尊重する傾向にあると考えられています。ただし、使用者が財務状況を正確に把握・予測できていない場合や、人員削減を決定した後に新入社員を採用するなど、明らかに矛盾する行動をとっている場合には、整理解雇の有効性を否定する可能性が高いでしょう。

解雇回避努力

次に、「労働者の解雇を回避する努力を十分に尽くすこと」も求められます。
つまり、整理解雇による人員削減は、労働者にとってより負担が小さい解雇以外の手段によって経費を削減するなど、解雇を回避するべく最大限努力していなければ認められません。具体的には、下記のような手段を尽くしたかどうかが判断されます。

  • 役員報酬の削減
  • 新規採用の中止
  • 保有資産の売却
  • 希望退職者の募集
  • 配置転換・出向
  • 一時帰休
  • 助成金の利用

なお、整理解雇を回避するためにどういった手段をどのように試みるかは、会社の規模や事業内容、それらに伴って労働者に求められる技術や資格など、多くの要素を考慮しなければならず、使用者の裁量は広いと考えられています。

一般的には、「使用者がとった手段と手順が整理解雇を回避するための真摯かつ合理的な努力かどうか」という観点で評価される傾向にあります。

また、解雇回避努力を尽くしたかどうかは、裁判所が整理解雇の有効性を検討するうえで、特に重要な判断材料とされています。

人員選定の合理性

さらに、「客観的で合理的な基準を公正に適用して解雇する労働者を選定」したかどうかも、整理解雇の有効性を判断する際に特に重視されます。つまり、基準を設けることなく使用者が一方的に人員を選んで行った整理解雇や、「誠実・勤勉でない社員」といった抽象的な基準によって人員を選んだ整理解雇などは無効になります。

客観的で合理的な基準といえるかは、勤務地・所属部署・担当業務・勤務成績・会社に対する貢献度・年齢・家族構成といった客観的な事情を判断材料としているか、労働者の労働能力、解雇が与える生活への影響、労働者間の公平などを考慮しているかどうかがポイントとなります。

また、実際の運用でも公正さが求められるので、整理解雇の対象として選ばれた人員が、この基準を公平に運用して選ばれたと認められる必要もあります。

解雇手続きの相当性

整理解雇が認められるためには、「解雇手続きが相当」だといえなければなりません。具体的には、使用者が、労働者又は労働組合に対して経営状況・整理解雇の必要性・時期・規模・方法などを誠実に説明し、理解を得る努力をする必要があります。

なお、通常の解雇や人員整理について協議を義務とする条項が労働協約にあるかどうかに関係なく、使用者は整理解雇について誠意をもって説明し、労働者と協議・交渉しなければなりません。

解雇手続きの相当性は、整理解雇の有効性を判断するうえでかなり重視されるので、労働者の理解を得るための手順を踏まない整理解雇は、他の要件を満たしていても無効と判断されるケースが多いです。

整理解雇を適正に実施するための手順

整理解雇は、事前にしっかりと準備したうえで、適正な手順に沿って慎重に進める必要があります。
正しい手順で実施しないと、後々大きなトラブルに発展してしまう可能性があるので、以下、整理解雇を適正に実施するための手順を確認していきましょう。

整理解雇の方針・基準を決定

まずは整理解雇の方針・基準を決めます。具体的には、主に下記の事項を決定する必要があります。

  • 整理解雇の対象とする人数
    売上と比べてどれくらい人員が過剰なのかを見極め、解雇する人数を決定します。
  • 解雇日
    いつ解雇するのかを明確にします。
  • 対象者を決定する基準
    解雇が労働者に与える経済的な影響を考慮しつつ、経営の再建を図る必要があることを念頭に置いたうえで、解雇の対象となる労働者を決定する基準を決めます。
  • 除外事項
    基準を機械的に適用すると、経営の再建に欠かせない人材まで解雇の対象になってしまう可能性があるので、「ただし、業務遂行上特に必要な者は除外する」といった条件を設けるべきでしょう。
  • 退職金の取扱い
    整理解雇の場合、通常は退職金規定などで定めているとおりに退職金を計算しますが、会社の都合でする解雇であることを考えると、一定の優遇措置を講じることが望ましいでしょう。何らかの優遇措置を講じる場合は、優遇の内容を明確にします。
  • 整理解雇に関する協議の方法
    労働者への説明義務を尽くして、解雇手続きの相当性を確保するためにも、あらかじめ労働者との協議方法を決めておくと良いでしょう。

解雇する従業員の選定

次に、整理解雇の方針・基準をもとに、実際に「誰を解雇するか」を決めます。その際には、客観的・合理的な選定基準を公正に運用しなければなりません。

実際にどのような基準であれば、有効な選定基準と認められるのか、具体例をみてみましょう。

【有効な選定基準となるものの例】

  • 勤務態度(欠勤・遅刻の回数、協調性の有無など)
  • 会社への貢献度(勤続年数、勤務成績、資格の有無など)
  • 年齢
  • 家族構成

【有効な選定基準とならないものの例】

  • 性別
  • 抽象的なもの
    (「誠実でない社員」「勤勉でない社員」を解雇の対象とする基準など、抽象的な基準は認められません。ただし、社内人事評価を考慮基準の1つとすることは可能であると考えられます。)

従業員や組合との協議

整理解雇を実施する前に、解雇の対象となる従業員(労働者)や労働組合に対して、経営状況や整理解雇が必要である旨を説明し、理解を得る努力をする必要があります。

その際には、決算資料などを開示して経営状態が悪化していることを客観的に示して、整理解雇の必要性の理解を求めましょう。また、整理解雇の規模・時期・対象者の選定基準などについてもできるだけ詳細に説明し、丁寧な話し合いを心がけましょう。

労働者・労働組合との協議の内容は、整理解雇の有効性を判断する際にかなり重視されます。そのため、例えば、労働者が1回の説明で納得せず再度の説明を求めているにもかかわらず、説明の機会を1回しか設けていない場合や、解雇の2~3日前に交渉の場を設けただけの場合は、労働者の理解を得る努力が不足していると判断され、整理解雇が無効となる可能性が高いでしょう。

解雇予告・解雇予告手当の支払い

使用者が労働者を解雇するときは、解雇する日の30日以上前に予告(解雇予告)するか、予告できない場合には労働者に30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります(労基法20条1項)。

解雇予告は、口頭で解雇の意思と解雇する期日を伝えるだけでも有効です。しかし、後のトラブルを防止するためにも、「整理解雇通知書」を作成して労働者に交付し、いつ解雇予告を行ったのかを証明する証拠として残しておくことをおすすめします。

整理解雇通知書には、「解雇すること」や「解雇の期日」に加えて「解雇の理由」を明記しておくのが望ましいでしょう。

下記の記事では解雇予告制度の概要を紹介しているので、併せてお読みいただけばより理解を深めていただけます。

従業員への解雇予告|解雇予告手当や通知書について

整理解雇の実施

整理解雇の対象となる労働者に書面で解雇辞令を交付し、労働契約を終了させます。
口頭で解雇する旨を伝えるだけでも解雇は成立しますが、将来的にトラブルに発展することを防ぐためにも、書面を交付して証拠を残しておくことをおすすめします。

また、整理解雇の対象者が有給休暇を利用しているといった理由で出社していない場合は、自宅に郵送しましょう。取りに来ないからといってそのまま放置するようなことは、トラブルを防止するためにも避けるべきです。

退職の手続き

整理解雇したら、下記のとおり、解雇した労働者の退職手続きを行います。なお、必要な手続きは普通解雇の場合と変わりません。

  • 就業規則等に従い退職金を支払う
  • 本人に離職票を交付し、年金手帳を返却する
  • 本人と、本人の住所地の市区町村に源泉徴収票を送付する
  • ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書を提出する
  • 年金事務所に厚生年金・健康保険被保険者資格喪失届を提出する

整理解雇は会社都合退職となるか?

整理解雇は、会社の事情を原因とする退職である会社都合退職となります。なぜなら、労働者を解雇しなければならない状況を作った会社側に、退職の原因があるとされるからです。

なお、会社都合退職の場合、会社はキャリアアップ助成金やトライアル雇用助成金などの助成金を受け取ることができません。

だからといって、助成金を受け取るために、労働者に自己都合退職にするよう迫るのは違法です。また、労働者に自己都合退職を強制して助成金を受け取ることは不正受給に当たるので、その後の助成金の受給が制限されるなどのペナルティを受けてしまいます。

整理解雇時の退職金の支給義務

就業規則などで退職金の支払い条件が明確に定められており、かつその条件を満たしている場合は、整理解雇を行うケースであっても退職金を支払う必要があります。

逆にいえば、退職金の支払いについて何の決まりもない場合は支払う必要はありません。そもそも、退職金に関する規定や合意がない限り、使用者に「退職金を支払わなければならない義務」はないからです。

また、整理解雇の対象者に対して、退職金を優遇して支払わなければならないという法律の規定もありません。

しかし、整理解雇は会社の勝手な都合で退職を強いるものであるため、できるだけ優遇措置を講じて解雇の有効性を担保するべきだと考えられます。具体的には、下記のような措置を講じると良いでしょう。

  • 対象者全員に一律に一定額を上乗せする
  • 労働者の年齢や勤続年数に応じた金額を上乗せする
  • 対象者全員にそれぞれの退職金の一定割合を上乗せする

退職金に関する詳しい説明をご覧になりたい方は、ぜひ下記の記事をご参照ください。

退職金制度

解雇理由証明書の交付義務

解雇理由証明書とは、解雇事由について具体的に記載された書面です。

使用者は、解雇した労働者から請求された場合、解雇理由証明書を作成して交付しなければならないという義務を負っています(労基法22条2項本文)。整理解雇のケースも例外ではないので、労働者から請求を受けたら、解雇理由証明書を交付する必要があります。

適正な手順を踏んで行った整理解雇でも、いい加減な解雇事由を記載するなど、解雇理由証明書をずさんに作成すると、不当解雇だとして訴えられてしまう可能性があるので気をつけましょう。

解雇理由証明書を作成するうえで注意すべきポイントや、退職証明書との違いなどは、下記の記事でご紹介しています。

退職証明書・解雇理由証明書について

会社解散、倒産に伴う整理解雇について

会社解散・倒産に伴って整理解雇をする場合には、整理解雇の4要件を満たす必要はありません。会社が存続するなか、人員削減措置として行う整理解雇とは状況が違うからです。

しかし、解雇予告をする義務は免除されませんし、労働協約で解雇に関する協議をする約束をしている場合には、話し合いの場を設ける必要があります。また、客観的にみて合理的・相当でない解雇を無効とするルールである、解雇権濫用法理(労基法16条)も適用されます。

とはいえ、会社の解散・倒産に伴う解雇は、そもそも「客観的・合理的理由があり、社会通念上も相当だと認められる解雇」に当たると考えられるので、有効とされるのが基本です。

ただし、解散に至るまでのいきさつや、解雇せざるを得ない事情、解雇の条件などを説明せずに行った整理解雇は、たとえ会社の解散などに伴うものでも「社会通念上相当と認められない解雇」と判断されるでしょう。

したがって、このような配慮に欠ける整理解雇は、解雇権濫用法理に該当する例外的なケースとして無効になる可能性があると考えられます。

整理解雇に関する裁判例と解説

整理解雇が有効となった裁判例

まず、「半日パート」の廃止に伴う整理解雇が有効とされた裁判例をご紹介します。

【前橋地方裁判所 平成14年3月1日判決(厚木プラスチック整理解雇事件)】

<事案の概要>

原告は、平成3年9月頃に、午前中の3時間45分のみ働く契約期間を定めないパートタイマー(以下、半日パートとします)として被告会社に雇用されました。

しかし、生産ラインの機械化によって人員が余剰になることを理由として、平成9年10月17日に、被告会社は原告を含む半日パート全員に同年12月15日をもって退職してもらいたい旨を通告しました。

原告は、被告会社に対して引き続き働きたい旨を申し入れたものの、折り合いがつかないまま同年12月15日に解雇を通知されたため、解雇の有効性を争って裁判所に訴えを提起しました。

<裁判所の判断>

下記のように、整理解雇の4要件を満たすことを確認し、解雇は有効だと判断しました。

・人員削減の必要性
⇒半日パートを職種として廃止する方針には合理性があり、半日パート労働者の人員を削減する必要性があったと認められる

・解雇回避努力
⇒職務内容などから考えて、原告をアルバイトや準社員などに配置転換することは難しい以上、任意の退職に応じなかった原告を解雇することはやむを得ない

・人員選定の合理性
⇒半日パート労働者全員に退職勧奨を行っている以上、人選に誤りはないといえる

・手続きの相当性
⇒被告はできる限り誠意をもって原告に対応したといえる

<ポイント>

本判決は、整理解雇の4要件のひとつである「人員選定の合理性」の判断にあたって、正社員や準社員等と半日パート労働者の取扱いに差を設けることを認めています。
そこで、非正規社員の整理解雇に関する事案を検討する際の参考になると考えられます。

整理解雇が無効となった裁判例

次に、旅行事業部の廃止に伴う整理解雇が無効とされた裁判例をみてみましょう。

【東京地方裁判所 平成14年7月9日判決(国際信販事件)】

<事案の概要>

原告は、個品割賦事業部と旅行事業部で構成される被告会社に平成10年8月に雇用され、旅行事業部で働いていました。

しかし、平成11年9月20日、被告会社は旅行事業部の廃止に伴い、同年11月30日に会社都合により旅行事業部の全員を解雇する旨を通知しました。そして、同年10月7日、「解雇通知書」というタイトルの書面によって、整理解雇する旨を再度通知しました。

これに対して、原告が解雇の有効性を争って裁判を起こしました。

<裁判所の判断>

下記のように、整理解雇の4要件を満たすことを確認したところ、本件解雇は客観的・合理的を欠くもの解雇権の濫用に当たるため無効だと判断しました。

・人員削減の必要性
⇒人員削減をすべき旅行事業部を廃止する高度の必要性は認められない

・解雇回避努力
⇒原告に対して配置転換を提案したことはなく、人件費や諸経費の削減のために努力した形跡もないので、解雇を回避するための努力を十分に尽くしたとはいえない

・人員選定の合理性
⇒原告だけ他の労働者よりも先に解雇するなど、原告を他の労働者と同等に扱う意思があったとはいえない

・手続きの相当性
⇒原告や労働組合との間で、本件解雇について十分な説明や協議をしたとはいえない

<ポイント>

本判決は、前項で紹介した「厚木プラスチック整理解雇事件」と同様に、時給社員と正社員の取扱いに差異を設けることが認められる可能性を示唆しています。

そのうえで、解雇回避努力が不十分なことを理由に解雇の有効性を裁判所が否定したことから、整理解雇にあたっては、解雇回避に向けた努力を始め、解雇に至るまでのプロセスが非常に重要なことがわかります。そのため、整理解雇をする際には、弁護士と相談しながら検討する必要性が高いといえるでしょう。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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