運送業における労務問題
「従業員の労働時間はどう管理したらいいの」
「従業員が過労で倒れてしまった」
「退職した従業員から高額の未払賃金を請求されてしまった」
運送業においては、実働時間が長時間に亘りやすく、健全な労働環境によらなければ労働災害等の人的被害が生じるリスクがあるなどの特性から、労働基準法上、労働者の労働条件を改善するために別途改善基準が定められています(自動車運転者の労働時間等の改善の基準)。
改善基準においては、運送業務に従事する者の労働時間につき、拘束時間(始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間も含む。)の合計時間。)は原則13時間以内、休息期間(勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働時間の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間。)は原則8時間以上という基準が定められています。
それだけでなく、バス、タクシー、トラックの業種ごとに、拘束時間の延長制限、休憩等の取扱い、休日の取扱いなどの基本事項についての基準が設けられているほか、バスやトラックについては、休息期間の分割、2人常務の取扱い、隔日業務に関する特例などが、タクシーについては、ハイヤー運転手や車庫持ち等の運転手の特例などが、業種独自の基準として定められています。
このように、運送業における労務管理は非常に複雑で徹底することが難しいです。しかし、運送業において労働者を適切に管理することは、通常の労働者に対するそれにも比して重要といえます。適切な労務管理を徹底できなければ、未払賃金が発生し得るだけでなく、労働者の心身に過度な負荷がかかることで労働災害が生じるリスクがあるほか、場合によっては交通事故によって運転手のみならず第三者への人的被害が生じることにもなりかねません。
弁護士に依頼をすることで、改善基準に基づく適切な労務管理の実現がより容易になります。
当事務所では、各業種に特有の基準も踏まえつつ、事業者ごとの事業形態や業務特性に即した適切なリーガルアドバイスを提供致します。また、弊所は、交通事故に精通した弁護士をそろえた交通事故事業部もありますので、事業活動において生じた交通事故に関しても、弁護士へ依頼いただき、解決へ導くことも可能です。
運送業における労務管理は、未払賃金の防止という事業者にとってのリスクヘッジにも繋がりますが、何より人命を守ることにも繋がりますので、ご不安な点がございましたら、ぜひ、お問い合わせください。