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争議行為の正当性 | 4つの判断要素

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

本記事においては、争議行為に正当性が要求される趣旨は何か、またどのような要件を満たした場合に争議行為の正当性が認められるのかという点につき、解説いたします。この点、争議行為の正当性については、主体、目的、開始時期・手続、態様の4つの側面から判断されますが、本記事では、このうち主体及び目的について詳しく解説いたします。

争議行為の「正当性」

争議行為に対する法的保護は、争議行為が「正当なもの」である場合に限って認められます(労働組合法1条2項、8条)。このことは、本来、争議行為は刑事責任ないし民事責任を問われ、あるいは懲戒処分の対象となり得る行為であるところ、労働法制上は違法性が阻却され、適法なものと評価される余地があることを意味します。

正当性の否定と民事又は刑事責任の成立について

争議行為に正当性がないと認められた場合でも、そのことから直ちに組合員ないし労働組合に対して、民事ないし刑事上の責任が認められるわけではなく、単に、争議行為の適法性が否定されるに過ぎません。従って、刑事責任においては刑罰法規の構成要件該当性や有責性の要件が、民事責任(損害倍書責任)においては故意過失や因果関係の要件が、それぞれ認められない限り、組合員ないし労働組合はこれらの責任を負うことはありません。

争議行為の主体による正当性

争議権は、しばしば経済的に劣位に置かれる労働者が、団体交渉において要求を貫徹し、労働条件の対等な決定を実現するために設けられた権利です。このような争議権の趣旨からしますと、争議行為の正当な主体となり得る者は、団体交渉の主体となり得る者か否かによって判断されるものと考えられます。

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争議行為の目的による正当性

政治スト

労働組合が政治的な主張や立法政策の要求の為に行うストライキ(いわゆる「政治スト」)は、その要求が使用者との団体交渉において実現できる性質のものではないと考えられますし、そのような要求は表現の自由を行使する集会、デモ、宣伝活動等の争議行為とは別途の一般的な組合活動によって実現すべき事柄であることからすると、一般的に正当性を否定される争議行為であると考えられます。

同情スト・支援スト

他の労働者の労働争議を支援する目的で行われるストライキ(同情スト・支援スト)は、支援対象となる労働者がどの使用者に雇用されているかによって、正当性の判断が異なると考えられます。対象労働者とストライキを行う労働者を雇用する使用者が同じであれば、使用者に対してストライキによる圧力を掛けて問題解決を図ることも可能であるため、目的における正当性が認められる余地があります。他方で、対象労働者とストを行う労働者が異なれば、ストによって問題を解決できないことから、目的における正当性は認められないと考えられます。

経営・生産・人事に関する要求

経営・生産・人事に関する要求貫徹のために争議行為が行われた場合、その正当性は、要求にかかる事項が義務的団交事項に該当するか否かによって判断されます。この点、要求事項が義務的団交事項に該当する場合、争議行為によって使用者に圧力を掛けた上で団体交渉において有利な結論を得ることも可能であることから、目的における正当性が認められる余地があります。

その他

抗議スト

使用者の団体交渉拒否や組合切り崩しなどの不当労働行為に抗議して行われる「抗議スト」については、労使関係の運営や労働条件に関する事項について支配権を有する使用者に対して、要求を貫徹するために行われるストライキであるという性質から、目的において正当性が認められると考えられます。

団体交渉のルールに関するスト

団体交渉の新方式やルール設定を要求するストライキについては、当該要求が義務的団交事項に該当する場合には、目的において正当性が認められると考えられます。裁判例においても、集団交渉を要求するストライキが適法と認められた事例があります(全自交一関支部事件、盛岡地裁一関支部昭和55年4月4日判決)。

争議行為の手段・態様・開始手続等の正当性

争議行為の正当性の判断にあたっては、その手段・態様や、開始時期、手続等についても考慮要素となります。手段が消極的行為(ストライキや怠業)を越えて、実力行使等の積極的行為に至った場合には、正当性が否定される場合が多いといえますし、仮に争議行為の手段が消極的行為に留まるとしても、何ら予告なくストライキを行うなどして使用者に著しい損害を与えた場合には、やはり正当性が否定されると考えられます。

団体行動権 争議行為の手段・態様・開始手続等の正当性
ちょこっと人事労務

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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