事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | 退職金 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
概要
当社は中退共に加盟しており退職金支払の一部が中退共から行われます。
しかしながら、若年層社員の自己都合退職では、中退共の支払金額が、当社の退職金規定を上回って支払われることがあり、その場合、中退共で個人の口座に入金された後、差分を当人の口座から戻してもらうという運用をしています。
これは、法律的に問題となりますでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
中小企業退職金共済法においては、中退共からの退職金の支給が受け取れる者について、その従業員(もしくはその遺族)と定められています(同法第10条第1項)。
つまり、従業員は、中退共からの退職金全額について受け取ることができる権利を得ているものであり、ご質問の運用は、その退職金の一部を、従業員から会社へ返還させる(実質的には贈与させる)ことをルール化しているものといえます。(中退共からの退職金について、その一部でも会社が取得する権利は元々ないということです。)
会社が、従業員に対して、中退共からの退職金の一部を返還させるという負担を負わせるには、実質的には退職金を一部放棄させるに等しい取扱いであることから、従業員からの「自由な意思」に基づく個別の同意が必要と考えられます。
かかる同意なく、従業員から退職金の一部を返還させていた場合、会社は、その退職金の一部を受け取る権利がなかったとして、従業員から返金を請求される可能性があります。
おそらく、中退共からの退職金の一部を、会社に返金する義務を負っていないことを知ったうえで、会社に退職金の一部を返金することに同意する従業員は、ほとんどいないであろうと考えられることから、これまで返金があった大半のケースにおいて、従業員からの返金が認められる可能性があります。
以上から、ご質問の運用については、退職金規程を上回った支給がないようにするよう、可能な限り早く変更すべきものと考えます。
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