事例内容 | 相談事例 |
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ハラスメント | ハラスメント |
問題社員 | 懲戒処分 |
事案の概要
当社の男性社員が取引先の女性担当者に対しセクハラをしたとして、当該女性から不同意わいせつ罪で被害届が出され、男性社員は警察の取り調べを受けています。また、当該女性から当社に対して損害賠償請求がされています。
それぞれの関係はどのような形で整理できますか。また当社としてはどのように対処したら良いでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
本件では、当該男性社員の刑事責任と民事責任のみならず、貴社の民事責任(使用者責任)が問題となります。
男性社員の刑事責任については、捜査機関(警察と検察)において、客観的な証拠を元に、当該女性の供述と貴社従業員の供述から、被害申告どおりの事実があったのかを捜査した上で、当該男性を逮捕・起訴をするかが決定されます。現状では任意の取り調べがなされている状況であり、女性と示談をすることにより、逮捕・起訴の可能性を減らすことができる可能性があります。
男性社員の民事責任については、当該女性に対する不法行為の成否が問題となります(民法709条)。この点は、裁判となった場合、証拠に基づいてどのような事実があり、それが違法なこういであったのか等が認定されることになります。
貴社の民事責任としては、貴社の従業員が事業の執行について不法行為をしたことが認められた場合は、原則として、貴社も「使用者責任」を負う可能性があります(民法715条1項本文)。貴社の責任と当該男性社員の責任は連帯責任となり、被害女性は貴社に対して損害の全額を請求することができます。なお、貴社が連帯責任として被害弁償をした場合は、当該男性社員に対し求償をすることが可能です。もっとも、従業員に対する求償については、被害弁償額の全額を求償できるとは限らず、使用者から従業員に対する求償は信義則上相当な範囲に限定される傾向にあることに注意が必要です。
貴社の今後の対応としては、当面は、被害女性との示談に向けた交渉への協力、当該男性に対する求償権を前提とする協議のほか、社内の対応として当該男性に対する懲戒処分や再発防止措置の策定なども必要になると考えられます。
特に、男性に対する処分と再発防止措置の策定は、被害女性との示談や和解の前提ともなり得るため、できる限り早急に取り掛かるべきと考えられます。
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