事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | 普通解雇 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
事案の概要
当社は、業界経験者を中途採用したところ、能力不足であったため、解雇をしましたが、正直、”能力不足”と証明できるだけの証拠は乏しい状況でした。その後、当該労働者から、当該解雇が不当解雇にあたるとして、未払賃金や慰謝料を請求されたため、当社は弁護士の意見も踏まえて解雇を撤回しました。
しかし、当該労働者は「不当解雇をした社長は信用できない」等と主張して、出社を拒否してきています。どのように対処すべきでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
本件では、解雇撤回後に復職しないことを理由とする二次的解雇の有効性が問題となります。
東京地判令元.5.17は、被告会社において財務部長の地位にあった原告労働者が、被告会社から解雇されたところ (1次解雇)、被告会社が解雇を撤回し、出社を命 じる旨の通知をしたが、原告がその後度々の要請に応じず2週間程度の期間、欠勤を継続したことを理由として被告会社が原告を再び解雇した(2次解雇)という事案です。
当該事案において、裁判所は、被告会社は1次解雇の意思表示を撤回し出社命令を発して労務提供を促していたものであって、被告会社において受領拒絶の態度を改め、以後労務が提供されれば確実にこれを受領すべき旨を表示したものと評価するに足り、労務提供義務は客観的に履行可能となったものといえるとして、労務提供義務が労働契約の本質的な義務であることを踏まえ、2次解雇を有効と判断しました。
本件においても、貴社としては、単に解雇を撤回して出社命令をするということを超えて、「労務提供義務は客観的に履行可能となった」といえることが、二次的解雇の有効性を判断する上で重要と考えられます。
たとえば、当該労働者に対して、解雇に至った理由及び解雇撤回に至った理由について説明をしたうえで、解雇の元になった原因・理由を除去して説明すること、未払賃金が生じている場合にはこれを支払うこと、労働条件や具体的な勤務内容についても当該労働者にわかるように伝えることや、今後不当又は不合理な処遇を行わない旨の連絡を労働者側にすることなどが、有効な対応となる可能性があります。
これらの対応をしたうえで複数回出社を促しても労働者が出社を拒んだ場合に、労務提供義務違反があったとして普通解雇(2次解雇)の措置を行うことが適法・有効に行えるものと考えられます。
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