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パワーハラスメント該当性と適切な対応

事例内容 相談事例
ハラスメント ハラスメント パワハラ
問題社員 懲戒処分
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

当法人は学校法人なのですが、当法人に所属する学校の校長が、部下に当たる教職員に対してパワハラをしているという報告がされています。

報告によると、校長は「当該教職員に対して、普段から大声を上げたり威嚇的な話し方をする」「当該教職員に対してだけ厳しく問い詰める」「当該教職員にメールを送る際、当該教職員からの返信を無視して、繰り返し同じ文言のメールを送る」といった行為をしているとされています。

また、このような報告は2年前からされており、同時期から対応を始めているはずですが、当時の担当者はもう在籍していないため、実際にどのような対応がされたのかは分かっていません。現在は、当法人において、関係者にヒアリング等を実施しております。

このようなケースにおいて、どのように調査を進めて、指導や処分を決定すべきでしょうか。

弁護士方針・弁護士対応

一般にパワーハラスメントに該当するというためには、①優越的な関係に基づいて行われること、②業務上必要かつ相当な範囲を超えて行われること、③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害することの要件をみたす必要があると考えられています。

①については、加害者と被害者とは上司部下の関係にあるため、充足するものと考えられます。

②は、「社会通念に照らし、当該行為が業務上の必要性がない、又はその態様が相当でないものである」といえるかどうかによって判断します。指摘されている加害者の行為は指導や注意の一環として行われているものが多い印象であり、直ちに「業務上の必要性がない」ものとはいえないものが多いように考えられます。

もっとも、指導や注意の一環であっても、不必要に大声を出したり攻撃的な方法で行う場合には、「その態様が相当でない」といえる場合があります。他方、返信を無視して繰り返し同じメールを送付する行為は嫌がらせの目的でされていた可能性があり、その場合には「業務上の必要性がない」といえるものと考えられます。

③については、大声を上げる、威嚇的なしゃべり方をするといった行為の程度次第によっては、精神的に圧力を加えられ負担と感じるものと認められる可能性があります。

そのため、結論としては、ヒアリング等の調査の結果、加害者の行為が実際に行われていたということが確認できた場合には、パワハラに該当する可能性はあるものと考えられます。

もっとも、立証の問題は残るため、パワハラであるとして懲戒処分を行った場合に、それが違法であるとして提訴された場合には、証拠の収集状況次第では敗訴するリスクはあるため、調査は多角的かつ十分に行う必要があります。

このように、本件はパワハラとまでいえるか否かの判断が難しい事実関係であることや、懲戒処分をした場合の潜在的なリスクを踏まえると、懲戒処分ではなく厳重注意や警告といった指導を書面で行い、再発するか否かを見守るといった対応も考えられます。

仮に、懲戒処分をするということであっても、重い処分とするのは相当性に欠けるものと判断される可能性が高いため、戒告程度とするのが適切であると考えられます。

なお、懲戒処分をする場合、2年前の担当者がとった対応が分からないとのことですので、同一の行為に対して複数回にわたって懲戒処分をすることにならないよう留意しなければならず、状況が不明な場合は現在申告されている内容を基礎として処分の程度を決定すべきでしょう。

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