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「年俸制の勤務医から時間外割増賃金を請求された」

労働基準法第37条1項は、時間外、休日及び深夜勤務について政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない旨を規定しています。

労働基準第37条ではこのように規定されていますが、高報酬である勤務医から時間外割増賃金を請求された場合に、割増賃金を支払われなければならないのでしょうか。

この点が問題となった最高裁判決として以下の事例があります。

最二小判平成29年7月7日では、被告とされた医療法人では時間外規程の定めがあり、時間外手当の対象となる時間外勤務は勤務日の午後9時から翌日の午前8時30分まで及び休日に発生する緊急業務に要した時間とし、通常業務の延長とみなされる時間外業務は時間外手当の対象とならないことや当直・日直の医師には別に定める手当を支給すること等が定められていました。勤務医と医療法人の雇用契約では、上記時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金について年俸に含まれることが合意されていました。このことからすると、時間外規程で支給される時間外手当以外は年俸で補われるように捉えられますので、問題はないようにも思えます。

しかし、最高裁は、勤務医と医療法人との間には時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていないとし、合意によっては勤務医に支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできないとし、勤務医に時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできないとしました。

この判決から、高報酬で年俸制を採用している医師であっても、その業務の裁量の有無を問わずに、残業代や深夜割増賃金を年俸に含めて支給していることが認められるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とが判別できること、及び割増賃金に当たる部分について法定計算額以上であることを遵守しなければならないことになりました。

今後は、各病院の勤務医への報酬等につき、年俸制であれば安心というわけではなく、最高裁判旨の趣旨に沿っているか否かを確認する必要があると考えられます。

このような年俸制の採用以外にも、病院クリニックにおいて生じやすい、深夜労働に関する留意事項や、医師との契約形態に関するご相談など、幅広くお受けすることが可能です。

また、医療事業部においては、病院クリニックにおいて生じる、患者とのトラブルに関する助言、相談も可能であり、医療に関する悩みについても相談を受ける体制が整っていますので、ぜひ、ご相談ください。

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