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就業規則への休職規定|休職期間中の取り扱いなど

休職期間の計算方法についてYouTubeで配信しています。

私傷病休職制度を設けており、休職期間を3か月としています。休職の対象となった従業員が、休職期間について労働日でカウントして欲しいと言ってきました。就業規則上、どのようにカウントするかについて規定はないところ、労働日でカウントしないといけないのでしょうか?といった質問例を設けました。

動画では、この質問例について回答し、その理由を解説しています。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

休職とは、労働契約は維持されたまま、労働者が一定の期間労働義務を免除されることをいいます。労働者から申し出があり会社がこれを認めることによって休職させるケースもあれば、会社からの命令によって労働者を休職させるケースもあります。

この記事では、休職期間中の労働者の扱い等、休職に関する問題点について解説します。

就業規則における休職規定の必要性

休職制度について法律上の定めはなく、制度を設ける義務はありません。そのため、休職事由や休職期間等については、基本的に企業が自由に決めることができます。

ただし、休職制度の規定がない場合であっても、病気になった労働者をすぐに解雇できるわけではありません。治癒する可能性の有無や治癒に必要な期間等について十分に検討する必要があります。そのため、休職制度を設けないと、解雇トラブルが発生しやすくなるリスクがあります。

休職制度を設けるときには、就業規則に休職に関する手続き等についての規定を設けることが推奨されます。

休職制度の要件に関する規定

休職制度の要件に関する規定として、次のような項目を定めるようにしましょう。

  • ①休職対象者
  • ②休職事由
  • ③休職の要件に関する規定例

これらの項目について、次項より解説します。

休職対象者

休職制度の対象となる労働者が正社員のみであるか、契約社員やパート・アルバイト等の非正規労働者も含めるのかについては、労働時間や勤続年数等を考慮する制度を定める必要があります。

非正規労働者であっても、正社員と同じように働いているのであれば、なるべく休職を認めることが望ましいでしょう。

なお、有期雇用契約を行っている労働者について、雇用期間を超えるほどの期間について休職を認めてしまうと、契約を更新することになってしまうリスクがあるため注意しましょう。

休職事由

休職制度の要件として、どのような事由が休職事由になるかを具体的に明記することが望ましいです。
主な事由として、次のようなものが挙げられます。

【私傷病休職の場合】
●業務外の傷病により、欠勤が連続して○ヶ月に達し、さらに療養が必要なとき
●業務外の傷病により、過去〇ヶ月の間に通算して〇〇日以上の欠勤があり、さらに療養が必要なとき

【出向休職の場合】
●出向先で勤務するため、出向元の業務を行わないとき

【組合専従休職】
●労働者が組合の業務のみを行うことになったとき

【その他の場合】
●労働者が刑事事件で起訴されたとき
●労働者が地方議会の議員等の公職に就任したとき

休職の要件に関する規定例

就業規則(例)
(休職の要件)第○条

  • 労働者が業務外の傷病等により、欠勤が連続して1ヶ月に達し、又は過去3ヶ月のうち30日に達し、さらに療養が必要なときには、会社は休職を命じることができる。
  • 労働者が業務外の傷病等により、労務提供が不完全と認められ、すぐに改善できないと会社が判断したときには、会社は休職を命じることができる。
  • 労働者が出向先で勤務するため、出向元の業務を行わないときには、会社は休職を命じることができる。
  • 前3項のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるときには、会社は休職を命じることができる。

休職期間に関する規定

休職制度を設けるときには、どの程度の期間について休職させるのかを定める必要があります。
休職期間は、ほとんどの会社が3ヶ月~3年程度としており、そのうちの多くの会社が2年以下としています。

休職期間を定めるときには、自社の規模や労働者の人数等を考慮して決めます。休職期間の長い労働者がいるときに、代替となる労働者が少ない場合には、1年を超えるような休職期間は設定しない方が良いでしょう。

また、入社して間もない労働者が休職するような事態を想定して、勤続年数に応じて休職期間を延ばすことが望ましいでしょう。

休職期間については、以下の記事でも詳しく解説しているので併せてご覧ください。

休職期間の決め方|平均期間や期間満了後の対応など

休職期間・欠勤期間の通算

休職期間が連続していなくても、通算してカウントするための規定を設けるようにしましょう。これは、労働者が休職期間の満了を防ぐために出勤してから、再び休職する等の事態を防止するためです。

1日でも出勤するとリセットされるような規定にしてしまうと、うつ病の労働者などがいつまでも休職することを認める結果になり、会社の負担が重くなってしまいます。そのため、通算した休職期間が一定の期間に達した場合には、自然退職となるような規定を設ける必要があります。

休職期間の延長の有無

特別な貢献のあった労働者や特別な事情のある労働者のために、休職期間を延長する規定を設けることが望ましいでしょう。

休職期間を延長できる規定がなければ、延長することができなくなるおそれがあります。また、規定がない状態で期間を延長すると、休職期間の延長に関するルールが“なあなあ”になってしまい、今後、休職期間の延長に関しトラブルになるリスクがあるため注意しなければなりません。

延長を認めるための規定は、「会社が認めたとき」だけ延長できるものにしましょう。

休職期間に関する規定例

就業規則(例)
(休職期間)第○条

  • 労働者が休職の要件を満たしたときには、以下の期間を上限とした休職を命じることができる。
    • ①勤続10年以上の従業員…1年
    • ②勤続10年未満の従業員…6ヶ月
    • ③勤続5年未満の従業員…3ヶ月
    • ④勤続1年未満の従業員…1ヶ月
  • 休職期間は、労働者が休職を申し出た日又は会社が休職を命令した日から開始する。ただし、連続する休職期間及び近接する休職期間については通算する。
  • 会社が特に認めた場合は、休職期間の延長を認めることがある。延長期間は原則として1ヶ月とし、最大で6ヶ月まで延長できるものとする。

休職期間中の取り扱いに関する規定

休職期間中の労働者に関する取り扱いの規定について、次項より解説します。

休職期間中の過ごし方の制約

会社としては、休職期間中の労働者の過ごし方に関して、ある程度の制約を設けたいと考えられる場合もあるでしょう。特に、業務外の傷病による長期欠勤、つまり「私傷病休職」期間中である場合には、殊更に厳しい制約を課すことを考えられるかもしれません。

しかし、労働者には私生活の自由があるため、休職中の過ごし方について、会社が厳しい制約を課すことはできません。

とはいえ、労働者が遊びまわってしまうと、十分に心身が回復せず職場復帰が遠ざかってしまいます。さらに、「ずる休み」であると他の労働者に誤解されることにもなりかねません。

このような事態を避けるためにも、就業規則等に「休職中の過ごし方」について明確な基準を設けておき、休職前に、「休職の目的」とともに当該労働者と使用者間で十分に共有しておくことが必要でしょう。

私傷病に関する説明は、下記の記事をご覧ください。

従業員の私傷病による休職・復職について

休職期間中の報告義務

休職している労働者に対しては、会社の近況を伝える等の十分な情報提供を行うことで、休職者の疎外感や孤独感を軽減できます。
しかし、休職者に対して報告義務を課すと、大きな負担をかけてしまうおそれがあります。報告義務を就業規則等に定めることは有効ですが、なるべく負担とならない方法を模索することが大切です。

休職中の報告に関しては、事前に連絡方法やその頻度を取り決めておくと良いでしょう。
連絡方法としては、体調の良いときに対応できるように、なるべくメールにすることをお勧めします。頻度については、1ヶ月に1回程度とすれば合理的な頻度だと認められるでしょう。

また、複数の人からの接触がストレスになる場合もあるため、連絡窓口は一本化すると良いでしょう。

なお、たとえ善意であったとしても、過度な応援等、復職を過剰に迫る行為は違法とされるおそれがあるため、控える必要があります。

休職期間中の賃金

休職は法令に基づく制度ではないため、会社には、休職中の社員に賃金を支払う義務はありません。したがって、賃金の有無や金額等については、会社が自由に決めることができます。

なお、休職制度を導入する場合、「休職に関する事項」について就業規則等に明記しなければならないので、賃金支払の有無や金額等については、あらかじめ定めておく必要があります。

就業規則等に「賃金を支払う」と規定すると、会社は賃金の支払義務を負ってしまうため、規定を設ける際には慎重に判断しましょう。

また、休職の要件を満たしていない労働者に対して会社が休職命令を発令した場合には、会社の責任で休業したことになるので、平均賃金の6割以上の賃金を休業手当として支払わなければなりません(労働基準法26条)。

その他賃金についての詳細は、下記の記事で詳しく説明しています。

会社都合の休業による休業手当の支給義務

休職期間中の社会保険料・税金

休職中の“雇用保険料”と“所得税”は、無給であるならば、たとえ傷病手当金等を受け取っていたとしても支払う必要はありません。

これに対して、社会保険料は、休職期間中も支払う必要があります。休職中の保険料額は、休職前の標準報酬月額に基づいて計算されるため、休職の前後で金額が変わることはありません。
また、休職により無給になったとしても、住民税の支払い義務がすぐになくなるわけではありません。

休職期間を無給にすると天引きで徴収できないため、次のいずれかの方法をとる必要があります。

  • 会社の口座に毎月振り込んでもらう
  • 傷病手当金の受取口座を会社の口座にして相殺する

社会保険料の労働者負担分の徴収方法については、あらかじめ就業規則等に明記しておく等の方法で、事前に労働者と取り決めておく必要があります。

休職期間中の取り扱いに関する規定例

就業規則(例)
(休職期間中の取り扱い)第○条

  • 休職期間中の労働者は、医師の指示を守り、心身の回復のため療養しなければならない。
  • 労働者は定期的に、療養の状況や現在の心身の状態等について会社に報告しなければならない。
  • 休職期間は、無給とする。
  • 休職期間は、勤続年数に通算しないものとする。
  • 休職期間中の健康保険料、厚生年金保険料、住民税等のうち、通常であれば労働者の給与から控除されるものについては、会社が請求した金額を期限までに支払うものとする。ただし、傷病手当金の受取口座を会社の口座にした場合には、振り込むべき金額を相殺した上で労働者に支払うものとする。

復職に関する規定

休職した労働者の復職に関する規定について、次項より解説します。

復職の可否の判断

復職の可否を判断するときには、当該労働者の主治医や産業医の判断を参考にします。また、労働者本人の意思も確認する必要があります。

主治医等が復職をしても問題ないと判断した場合に会社が独断で復職を認めないと、不当解雇とみなされるおそれがあります。また、軽易な業務であれば復職可能な場合には、なるべく配転等によって対応することが望ましいでしょう。

ただし、自社には存在しない業務のみ行うことができるとされた場合等では、復職を認めなくても良いケースがあります。

復職後の取り扱い

復職した労働者は、基本的に元の職場に戻します。ただし、最初は時短勤務にする方法や、残業等を免除する方法、フレックスタイム制を適用する方法等、心身の負担を軽くするための対策を検討しましょう。

また、元の職場が心身の負担の大きな職場であった場合には、負担の軽い職場に配転することが望ましいでしょう。

復職に関する規定例

就業規則(例)
(復職)第○条

  • 休職している労働者が復職を希望するときには、書面により会社に申請しなければならない。
  • 復職を申請した労働者は、主治医等の診断書を会社に提出しなければならない。
  • 主治医等の診断書が提出された場合であっても、会社の判断により産業医への受診及び会社から主治医に対する面談実施に関する協力等を命じる場合がある。この場合、従業員は正当な理由なく受信、協力等を拒むことはできない。
  • 復職後の業務は、原則として休職前の職務と同じとする。ただし、会社の判断により、異なる業務や職場への配転を命じる場合がある。
  • 主治医や産業医の判断及び社内の業務の状況等により、業務への従事が困難だと会社が判断したときには復職を認めない場合がある。

休職期間満了後の退職・解雇に関する規定

休職期間が満了しても復職することが難しい労働者について、就業規則等に規定を設けていれば、退職や解雇とすることの可能性を検討します。

このとき、就業規則の規定に、休職期間満了により退職すると定められていれば、労働者は自然退職となります。これに対し、休職期間満了により解雇すると定められていれば、1ヶ月以上前に解雇予告をするか、1ヶ月分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

解雇予告をせず、解雇予告手当を支払わなかった場合には、不当解雇として争われるリスクが生じるため注意しましょう。

休職期間満了による退職や解雇については、以下の記事でも解説しているため併せてご覧ください。

従業員の休職に伴う復職・退職・解雇に関する注意点

退職・解雇に関する規定例

就業規則(例)
(自然退職)第○条

  • 休職期間が満了した労働者が復職できないときには、休職期間満了日をもって当然に退職するものとする。
  • 休職期間を通算した結果として休職期間満了となった場合にも、当然に退職するものとする。
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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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