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固定残業代が無効だとして未払残業残業代を請求された事案

事例内容 解決事例
雇用 未払賃金 残業代 定額残業代 固定残業代
担当した事務所 ALG 福岡法律事務所
結果
  • 【依頼前・初回請求額】約400万円
  • 【依頼後・終了時】約300万円

概要

退職した従業員から、未払残業代を請求された事案です。ご依頼の企業は、固定の手当として残業代を支払う仕組みを採用し、採用時に労働者へ説明もしていたことから、労働者が納得していたと思っていました。ところが、退職した労働者から、固定残業代の定めが無効であると主張され、未払残業代の請求を受けたというものです。争点は、いわゆる定額(固定)残業代の定めの有効性です。

弁護士方針・弁護士対応

固定残業代を採用すること自体は適法なのですが、適切に定めておかないと、固定残業代の定めは無効となり、固定残業代として支給していた手当が、全て残業代算定の基礎賃金に含まれることになり、1円も残業代を支払っていないだけでなく、想定以上の未払残業代を支払わなければなりません。固定残業代の定めが有効として、残業代の支払がされていたというためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できることが必要であるとされており、この判別ができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることが必要です。そして、その判断には、当該労働契約に係る契約書等の記載内容のほか諸般の事情を考慮すべきであり、その際、当該手当の名称や算定方法だけでなく、同条の趣旨を踏まえ、当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け等にも留意して検討しなければならないと考えらえれています(国際自動車事件 最判令和2年3月30日判決)。具体的には、固定残業代についての労働者に対する説明内容・方法、固定残業代の額、固定残業時間数などが明確にされているのか、固定残業時間を超えた場合に不足分が支給されているのか、固定残業時間の長さ、基本給の額、他の従業員の賃金との比較などから、労働者が固定で残業代が支払われることを認識できる定めとなっているかどうか、実質的に残業代の支払いを潜脱ではないかなどが考慮されます。

本件では、まずは、就業規則の定め、労働契約書、労働条件通知書、賃金の支払い状況などを確認させていただいたところ、固定残業時間数すら明記されておらず、ざっくりと固定残業代●円としている程度でしたので、およそ通常の労働時間に対する賃金と時間外労働の対価としての賃金とが明確に区分されているとはいえませんでした。また、基本給を最低賃金に抑え、固定残業時間数が80時間程度になるような仕組みでしたので、実質的にも時間外労働の対価として支払われていると解釈するのは難しいと言わざるをえませんでした。

そこで、企業規模や財務状況などからできるだけ、金額を抑えた解決を目指すこととしました。

結果

交渉での解決は出来ず、労働審判となりましたが、約300万円で和解となりました。不用意に固定残業代を採用した場合には、想定以上の未払残業代が発生してしまい、突然、会社は多額の支出を余儀なくされてしまいますので、もし、固定残業代を採用されているのであれば、一度、適切な定めとなっているかどうか確認されることをお薦めします。

なお、平成29年職業安定法改正により、平成30年1月1日からは、求人募集の際には、「固定残業代を除く基本給」、「時間と金額を明記した固定残業代の内訳」、「固定残業代に含めた時間外労働を超えた時間外労働については、割増賃金(残業代)を追加で支給する旨」の記載が必要となっていますが、それ以前の労働契約に関しては、特に注意してください。

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