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出張扱いとして応援業務に送り出しても良いか

事例内容 相談事例
人事 在籍出向
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

相談内容

現在、グループ会社で人員不足が発生していることに伴い、本社からの応援業務を検討しています。
応援業務の内容としては、グループ会社の従業員から指示を受けて、業務を行うことを想定しており、頻度としては、半年の間に、1人あたり6日程度の応援業務を行う予定です。

このような場合、単なる出張扱いとして社員を送り出すことに問題はありますか。

前提となる法制度・助言内容

まず前提として、本件のような場合には「出張」というより 「出向」(いわゆる応援出向)と評価される可能性が高いものと思われます。 そして、出向を行うにあたっては、労働者の承諾が必要と考えられていますので(民法625条1項)、法的には労働者の承諾があったか否かが問題になりうるものと考えます。

この点、就業規則等において、出向について詳細な規定がある場合には、個別的な同意は不要(包括的な承諾で足りる)との立場に立つ裁判例が多いところ、就業規則に出向規定がある場合でも、詳細な規定がないと労働者の個別的な同意が必要と判断される可能性が高いものと存じます。

したがって、事後的な紛争を予防する観点からは、たとえ、短期間の対応であるとしても、出向の対象となる労働者に対して、出向先、出向中の労働条件、出向期間・回数等について説明した上で、①出向について同意する書面を交わすか、あるいは、②メール等で承諾する旨の意思確認をしておくことが望ましいものと存じます。

また、法律関係を整理する観点からすると、出向元である貴社と出向先との間で出向契約を締結し、出向契約書を交わすことが運用としては望ましいものと存じます。(この場合、出向契約書には、出向期間、服務規律、懲戒処分の権限、給与負担等について記載することが一般的と思われます。)

なお、職業安定法44条の労働者供給に該当しないかについても問題となりえますが、ご相談内容によると、本件の応援業務は親会社の社員を子会社で働かせるものであり、名目は「現場研修」のようなものを検討されており、人件費の請求についても請求を予定していないとのことですので、社会通念上「業として行われている」と判断される可能性は低く、職業安定法44条の規制が及ぶと判断される可能性は低いものと考えます。

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