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自宅待機命令の有効性について

事例内容 相談事例
求職・復職 自宅待機
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

ある従業員について問題が多く、関係会社へ出向させることを検討している。
出向先の部署が決まるまでの間、当該従業員を自宅待機させたいが、そのような自宅待機命令は有効か。

弁護士方針・弁護士対応

裁判例等を調査し、次の対応を行った。
裁判例においては、自宅待機命令は、使用者が、労働契約上の一般的な労務指揮権に基づき、労働者の具体的就労義務を免除してその労務の受領を拒絶するものであって、通常は、労働契約の形成、変更等を伴わない単なる業務命令の一種であると考えられている(東京地判平成23年8月9日、静岡地判平成2年3月23日(東京高判平成2年11月28日)など)

また、就業規則に自宅待機命令に関する規定がない場合であっても、自宅待機命令は、雇用契約上の労務指揮権に基づく適法な業務命令であると解されている(東京地判昭和54年3月30日)。

そして、自宅待機命令は、労働者に就労請求権が認められるような例外的な場合を除き、昇給等において差別されるなどの特段の事情がない限り、労働者に法的不利益を与えるもの(その権利を奪い、義務を課すもの)とはいえない(東京地判平成23年8月9日)との判断も存在している。

したがって、上記各裁判例の判断に基づき、使用者の労働者に対する自宅待機命令は、労働契約法などの法律上の規定等に根拠が必要ではなく、原則として不利益処分には当たらないばかりか、労働契約上の一般的な労務指揮権に基づく業務命令として行うことができるもので、有効と判断される可能性がある旨助言した。

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