過重労働とは?基準やリスク、企業がとるべき対策などを解説

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「忙しいから仕方ない」と残業を放置していないでしょうか。長時間労働が続くと従業員の疲労がたまり、いわゆる過重労働の状態に陥るおそれがあります。

過重労働は、従業員の健康を損なうだけでなく、労災認定や損害賠償請求など、企業にとって大きなリスクにつながります。こうしたトラブルを防ぐためには、早めに対策を講じることが重要です。

この記事では、過重労働の基準や企業が負うリスク、過重労働を防ぐための対策について解説します。

過重労働とは?

過重労働とは、長時間の残業や休日出勤、不規則な勤務などが続くことにより、従業員の心身に大きな負担がかかっている状態をいいます。

過重労働は労働時間の長さだけで判断されるものではありません。業務が一人に集中している、強いプレッシャーのもとで働いている、厳しい叱責を受けながら勤務しているといった状況も、過重労働に当たる可能性があります。

過重労働について、法律上の明確な定義は設けられていません。ただし、厚生労働省は、時間外・休日労働が月100時間を超える場合や、2~6ヶ月平均で月80時間を超える場合は、健康障害のリスクが高まるとしています。そのため、この基準を超える長時間労働が続いているときは、過重労働の状態にある可能性が高いと考えられます。

日本における過重労働の現状

日本では働き方改革の影響により労働時間は徐々に減少しているものの、世界的に見ると依然として長時間労働者の割合が高い状況です。

厚生労働省の「令和5年版過労死等防止対策白書」によると、週49時間以上働く労働者の割合は15.2%で、男性では21.8%に上ります。つまり、日本人男性の約5人に1人が長時間労働をしている計算になります。

この割合は、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどの先進国と比べても高い水準にあり、日本では今なお長時間労働を前提とした働き方が根強く残っている状況です。

特に医療・介護業界や運送業、建設業など人手不足が深刻な業界では、一人ひとりの負担が大きくなりやすく、残業や休日出勤が日常化しているケースがみられます。

過重労働と長時間労働の違い

過重労働と長時間労働は似た言葉ですが、同じ意味ではありません。
長時間労働とは、その名のとおり労働時間が長い状態のことです。法律上の明確な定義はありませんが、一般的には36協定で定める時間外労働の上限である「月45時間」を超える残業が、一つの目安とされています。

一方、過重労働とは、長時間労働や業務量が多すぎることなどにより、従業員の健康に悪影響を及ぼすおそれがある状態をいいます。労働時間の長さだけでなく、業務量や責任の重さ、ストレスなどを含めて総合的に判断されるものです。

例えば、残業時間が多くなくても、クレーム対応に追われている、厳しいノルマを課されているなどの状況では、過重労働と判断される可能性があります。

過重労働の基準

過重労働かどうかを判断する際には、いくつかの目安となる基準があります。
代表的なものとして、「過労死ライン」「時間外労働の上限規制」「長時間労働者への面接指導の基準」があげられます。

これらの基準を超える状態が続くと、過重労働と判断される可能性があるため注意が必要です。以下でそれぞれの基準について解説します。

過労死ライン

過労死ラインとは、厚生労働省が定めた、脳・心臓疾患や精神障害などを発症するリスクが高まるとされる残業時間のことです。具体的には、発症前1ヶ月に100時間を超える時間外労働、または発症前2〜6ヶ月の平均で月80時間を超える時間外労働が該当します。

この水準を超える長時間労働が続き、脳・心臓疾患などを発症した場合は、業務との関連性が強いとして、労災認定される可能性が高くなるため注意が必要です。

もっとも、労災認定では残業時間だけでなく、深夜勤務や連続勤務、勤務間インターバルの短さ、身体的負荷なども考慮されます。企業は労働時間だけでなく、働き方全体に目を配り、過重労働を防ぐことが重要です。

過労死ラインや労災認定の基準についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

時間外労働の上限規制

2019年4月の労働基準法改正により、時間外労働に法律上の上限が設けられました。これにより、企業は従業員に無制限に残業を命じることができなくなっています。

基本的に時間外労働の上限は、月45時間・年360時間です。さらに、繁忙期などに対応するために特別条項付き36協定を締結した場合でも、以下の制限が設けられています。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、2~6ヶ月平均で80時間以内
  • 月45時間を超える時間外労働は年6回まで

これらの上限規制に違反すると、過重労働による健康障害のリスクが高まるだけでなく、行政指導や刑事罰を受ける可能性があります。労働時間を適切に管理し、法令違反とならないよう注意しましょう。

時間外労働の上限規制についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

長時間労働者への面接指導が必要な基準

時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積がある従業員から申出があった場合、企業には医師による面接指導を実施する義務があります。また、研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度の対象者については、時間外・休日労働が月100時間を超えた場合、申出の有無にかかわらず面接指導を行わなければなりません。

こうした制度を適切に運用するには、従業員の労働時間を正確に管理することが重要です。月80時間を超える時間外・休日労働が発生している従業員に対しては、医師の面接指導が受けられることを案内し、健康障害の防止につなげましょう。

過重労働に関する法改正の影響

2019年から順次施行された働き方改革関連法により、現在では長時間労働を放置することが許されない時代になっています。

特に大きな変更点は、時間外労働の上限規制が法律で明確に定められたことです。従来は行政指導が中心でしたが、一定の上限を超える長時間労働をさせると、企業に罰則が科せられる可能性があります。

さらに、年5日の有給休暇の取得や労働時間の客観的把握義務、勤務間インターバル制度なども導入され、企業に求められる労務管理の水準は大きく引き上げられています。特に自己申告だけで労働時間を管理している企業は、法令違反を指摘されるリスクがあるため注意が必要です。勤怠管理を徹底し、過重労働が発生しにくい職場を整備しましょう。

過重労働がもたらすリスクとは?

過重労働は従業員の心や体に大きな負担を与えるだけでなく、企業経営にも悪影響を及ぼします。ここでは、過重労働を放置することで生じるリスクについて解説します。

従業員に健康障害・精神障害が生じる

過重労働による最も大きな問題は、従業員の健康に悪影響を及ぼすことです。

長時間労働や休日出勤などが続くと、十分な休息や睡眠を確保できず、疲労がたまっていきます。その結果、慢性的な疲労感や睡眠不足、集中力の低下、体調不良などが生じやすくなります。また、厳しいノルマや強いプレッシャーが続くと、精神的な負担が大きくなり、メンタル不調につながるおそれもあるでしょう。

従業員に「眠れない」「仕事に行くのがつらい」「気分の落ち込みが続く」といった症状が見られる場合は、過重労働が原因となっている可能性があるため注意が必要です。

労災・過労死のリスクが高まる

過重労働を放置すると、従業員の健康に深刻な影響を及ぼし、労災や過労死につながるおそれがあります。

長時間労働や強いストレスが続くと、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの脳・心疾患を発症するリスクが高まります。また、精神的な負担が積み重なることで、うつ病などのメンタルヘルス不調を招き、最悪の場合には自ら命を絶つ事態にもなりかねません。

こうした健康被害が業務との関連で発生したと認められた場合は、労災認定を受け、従業員本人や遺族から損害賠償を請求されるおそれもあります。長時間労働を放置せず、速やかに対策を講じることが重要です。

企業のイメージや生産性が低下する

過重労働の影響は、従業員の健康だけにとどまりません。企業イメージや生産性の低下につながるおそれもあります。

近年はSNSの普及により、労働環境に関する情報が広く共有されるようになりました。労災認定や行政指導を受けたことなどが公表されれば、「ブラック企業」という印象が広まり、採用活動や取引先との関係に悪影響が及ぶ可能性があります。

また、疲労が蓄積すると集中力や判断力が低下し、ミスやトラブルが増えやすくなります。その結果、やり直しやクレーム対応に時間を取られ、かえって業務効率が悪くなることも少なくありません。

離職率の上昇によりコストが増加する

過重労働が続くと従業員の離職につながり、人材の確保や育成にかかる負担が増えるおそれがあります。「このままでは働き続けられない」と感じて退職を選ぶ従業員が増え、特に経験やスキルを持つ人材ほど流出しやすくなります。

また、従業員が退職すると、その業務を残った社員が引き継ぐことになり、一人ひとりの負担はさらに増えます。その結果、新たな退職者が出るという悪循環に陥ることも少なくありません。

さらに、人材不足をカバーするためには、新たな人材の採用や教育が必要となり、多くの時間や費用がかかります。

時間外労働の上限に違反した場合の罰則と法的リスク

時間外労働の上限規制に違反すると、企業は刑事罰や行政指導の対象となるだけでなく、損害賠償請求を受けるおそれもあります。

労働基準法違反に対する罰則

時間外労働の上限規制に違反した使用者には、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法第119条)。

労働基準法には違反行為者だけでなく事業主にも刑罰を科す両罰規定が設けられています。そのため、違法な残業を命じた管理職などだけでなく、長時間労働を把握しながら改善措置を講じなかった会社の代表者なども処罰の対象です。

さらに、違反が発覚すると、労働基準監督署による行政指導や是正勧告を受けることがあります。是正勧告に従わないなど悪質な場合には、企業名が公表されるケースもあるためご注意ください。

労災や過労死に対する損害賠償請求

長時間労働によって従業員が精神疾患を発症したり、脳・心疾患や過労死に至ったりした場合、企業は損害賠償を請求されるおそれがあります。企業には、従業員が安全かつ健康に働ける環境を整える「安全配慮義務」が課されているためです(労働契約法5条)。

実際に、長時間労働と健康被害との関連が認められたケースでは、企業に数千万円規模の損害賠償が命じられた事例もあります。さらに、裁判対応による時間的・金銭的負担に加え、企業イメージの低下を招くおそれもあるため、長時間労働の防止が不可欠です。

過重労働を防止するために企業がとるべき対策

過重労働を防ぐためには、労働時間の管理や健康管理、職場環境の改善などを総合的に進めることが必要です。ここでは、企業が取り組むべき過重労働対策について解説します。

過重労働による健康被害を防ぐための対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

社内の意識改革を行う

過重労働を根本から改善するには、まず職場全体の意識を変えることが必要です。

「残業が多い人ほど評価される」「早く帰るとやる気がないと思われる」といった風土があると、長時間労働はなかなか解消されません。特に管理職が常に遅くまで働いている職場では、部下も帰りづらくなり、長時間労働が常態化しやすくなります。

そのため、経営層や管理職が、率先して長時間労働の削減に取り組むことが大切です。「必要のない残業はしない」「効率よく働くことを重視する」という意識を社内に浸透させましょう。

従業員の労働時間を正確に把握する

過重労働を防ぐためには、従業員が実際にどれだけ働いているのかを正確に把握することが重要です。労働時間を適切に管理することで、長時間労働が続いている従業員を速やかに発見でき、業務量の調整や人員配置の見直しなどにつなげることができます。

なお、自己申告だけによる勤怠管理では、従業員が本当の残業時間を申告しづらく、実態を正確に把握できないおそれがあります。そのため、タイムカードやPCのログデータ、勤怠管理システムなどを活用し、客観的な記録に基づいて労働時間を管理することが大切です。

業務の見直しと適正な人員配置を行う

過重労働は、従業員個人の努力だけで解決できる問題ではありません。業務の進め方や人員配置を見直すことも欠かせません。

業務量が多すぎたり、仕事が特定の従業員や部署に集中していたりすると、長時間労働が常態化しやすくなります。そのため、まずは業務内容を洗い出し、不要な会議など、削減できる業務がないかを確認しましょう。

また、業務手順をマニュアル化することで、特定の担当者しか対応できない状態を防ぎ、負担の偏りを軽減できます。さらに、必要に応じて人員補充や配置転換を行い、企業全体で業務を分担する体制を整えることも大切です。

人事・評価システムを見直す

人事・評価制度の見直しも、過重労働を防ぐために欠かせない取り組みです。

長時間働くことが評価される職場では、過重労働につながるおそれがあります。そのため、人事評価では労働時間の長さではなく、成果や業務の効率性、チームへの貢献度などを重視する仕組みを整えることが大切です。

限られた時間の中で成果を上げた従業員が正当に評価されることで、無理な残業が減るとともに、生産性の向上も期待できます。また、管理職についても、部下の残業時間の削減や有給休暇の取得促進、働きやすい職場環境づくりなどを評価項目に盛り込むとよいでしょう。

健康診断・ストレスチェックを実施する

過重労働による健康被害を防ぐためには、健康診断やストレスチェックを定期的に実施することが必要です。健康診断は事業者に実施義務があり、常時50人以上の労働者を使用する事業場ではストレスチェックも義務づけられています。

長時間労働が続くと、脳・心疾患やうつ病などの健康障害を引き起こすおそれがあります。健康診断やストレスチェックを活用することで、こうした心身の不調をいち早く発見し、早めの受診や業務負担の軽減などにつなげることが可能です。従業員の健康を守るためにも、継続的に健康管理を行いましょう。

法律で義務付けられた健康診断やストレスチェックについては、以下のページで詳しく解説しています。

医師・産業医による面談を実施する

長時間労働が続いている従業員や、健康診断・ストレスチェックで健康上の不安がみられる従業員には、医師・産業医による面談を行いましょう。特に時間外・休日労働が月80時間を超えた従業員などから申出があった場合には、企業に医師による面接指導の実施義務があるため注意が必要です。

面談では、心身の健康状態や疲労の蓄積状況、業務負担などを専門的な視点から確認します。そのうえで、必要に応じて休養の確保や労働時間の短縮、業務内容の調整などを行い、健康障害の予防につなげることが大切です。

長時間労働者への面接指導制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

衛生委員会・安全委員会を活用する

過重労働を防ぐためには、衛生委員会や安全委員会を活用し、職場全体で問題点を共有しながら改善を進めることが重要です。衛生委員会は常時50人以上の労働者を使用する事業場で設置が義務づけられており、安全委員会も一定の業種では設置が求められます。委員会は毎月1回以上開催しなければなりません。

企業は、委員会を通じて長時間労働の実態や従業員の健康状態を把握し、労働時間の削減や職場環境の改善に取り組む必要があります。従業員の意見も取り入れながら、自社の実情に合った対策を進めていきましょう。

企業に求められる安全衛生管理体制については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

過重労働による損害賠償責任が問われた裁判例

事件の概要(令和3年(ワ)第21009号 東京地方裁判所 令和5年3月23日判決)

居酒屋を運営するY社で働いていた従業員Xが、33歳で急性心不全により死亡したことについて、遺族が「過重労働が原因だった」として、Y社と代表取締役に損害賠償を求めた事案です。

Xは店長として調理や仕込み、接客などをほぼ一人で担当しており、午前10時頃から深夜1時過ぎまで働く日もありました。遺族はこのような長時間労働によってXは健康を害したと主張し、Y社側の安全配慮義務違反などを理由に提訴したものです。

裁判所の判断

Y社にはタイムカードがなく、勤怠管理も十分に行われていませんでした。しかし裁判所は、LINEのやり取りや売上報告メール、病院のカルテなどをもとに労働時間を認定し、Xの時間外労働は発症前1ヶ月で約147時間、直前6ヶ月も毎月100時間を超える状態だったと判断しました。

そのうえで、代表取締役はXの長時間労働を把握しながら、労働時間の削減や人員補充などの措置を講じていなかったとして安全配慮義務違反を認定しました。そして、過重労働と死亡との因果関係を認め、Y社と代表取締役に約6,030万円の損害賠償を命じました。

ポイント・解説

この裁判例は、長時間労働を放置せず、労働時間を適切に管理することの重要性を示しています。

本件ではタイムカードがありませんでしたが、LINEなどの記録から長時間労働が認定されました。企業の対策としては、タイムカードや勤怠管理システムなどを活用して労働時間を正確に把握し、長時間労働が発生していないか定期的に確認する必要があります。また、仕事が特定の従業員に集中している場合には、増員や業務分担の見直しを行い、負担が偏らない体制を整えることも欠かせません。

よくある質問

過重労働の具体的な定義や基準はありますか?

過重労働に法律上の定義はありませんが、判断の目安となる基準はいくつかあります。
代表的なものが、医師による面接指導の対象となる「月80時間超えの時間外・休日労働」です。この水準を超える状態が続くと、過重労働と判断される可能性が高くなります。

過重労働が発生する原因としてどのようなことが考えられますか?

人手不足の職場では一人ひとりの業務負担が増えやすく、長時間労働が常態化しやすくなります。また、「残業する人が評価される」といった職場風土や、人員配置・業務分担が適切でないことも、過重労働を招く大きな要因といえるでしょう。

36協定を締結していれば、長時間労働は問題になりませんか?

長時間労働が問題にならないわけではありません。
36協定を結んでいても時間外労働には法律上の上限があり、これを超えると違法となり罰則の対象となります。また、上限内でも従業員が健康を害した場合には、安全配慮義務違反を問われる可能性があります。

36協定の締結方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

従業員が過重労働状態にあるかどうかを把握する方法はありますか?

過重労働を把握するには、労働時間と健康状態を継続的に確認することが大切です。勤怠システムやPCの使用履歴などにより長時間労働の有無を把握し、ストレスチェックや健康診断、定期的な面談を通じて、疲労の蓄積や心身の不調のサインを見つけましょう。

過重労働によりメンタル不調になった場合、会社の責任はどこまで問われますか?

企業は安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。長時間労働を把握していながら、業務量の見直しなどの改善措置を講じず、その結果として従業員がうつ病を発症した場合、慰謝料などの支払いを命じられるおそれがあるため注意が必要です。

長時間労働が業務上やむを得ない場合でも会社の責任は問われますか?

繁忙期や人手不足などの事情があっても、会社の責任が免除されるわけではありません。長時間労働によって健康被害が生じた場合は、損害賠償責任を負うおそれがあります。また、残業時間が法定の上限を超えれば、労働基準法違反となる可能性もあります。

裁量労働制を導入した場合、過重労働対策は不要でしょうか?

過重労働対策は必要です。裁量労働制を導入していても、企業には労働時間の把握や健康確保措置を講じる義務があります。これらの対策を怠ると、長時間労働による健康被害が生じたときに、安全配慮義務違反を問われるおそれがあるため注意しましょう。

裁量労働制を導入するときの注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

テレワークやフレックスタイム制の導入によって、過重労働リスクは軽減されますか?

一定の効果は期待できますが、それだけで過重労働を防げるわけではありません。仕事と私生活の境界が曖昧になり、かえって長時間労働につながることもあります。勤怠管理を徹底し、従業員ごとの労働時間や業務負担を適切に管理することが重要です。

フレックスタイム制の時間外労働について理解を深めたい方は、以下の記事をご覧ください。

役員から過重労働で訴えられる可能性はありますか?

役員は基本的に労働基準法上の労働者に当たりませんが、実態として従業員と同様に働いている場合は労働者性が認められることがあります。その場合は、過重労働による健康被害を理由に、労災の申請や損害賠償請求が行われる可能性があるためご注意ください。

過重労働を防ぐためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

長時間労働を放置すると、従業員の健康を損なうだけでなく、労災認定や損害賠償請求、企業の信用低下など、経営に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

しかし、過重労働の原因は人手不足や業務量の偏り、人事評価制度の問題などさまざまであり、一つの対策だけで解決できるとは限りません。そのため、自社の課題を正しく把握し、実情に応じた対策を講じることが大切です。

弁護士法人ALGでは、企業側の労務問題に豊富な経験を持つ弁護士が多く揃っています。長時間労働対策や就業規則の整備、損害賠償請求への対応など幅広くサポートすることが可能です。過重労働によるトラブルを未然に防ぐためにも、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆弁護士

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、企業法務担当執行役員を務め、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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