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私生活上で酒気帯び運転をした従業員に対する懲戒処分

事例内容 相談事例
問題社員 降格 諭旨解雇 懲戒処分 逮捕 私的行為
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

休日に飲酒運転をした社員について、適正な懲戒処分を確認したいとの相談がありました。

その社員は、休日に酒気帯び運転(人身・物損事故はなし)で免許停止となり、その翌日上司に報告することで事態が発覚したのですが、業務上、ほとんど毎日車を運転することや、社外的な影響を踏まえて、相談者はその社員に対して、懲戒処分を実施したいとのことでした。

本件について報道などはなかったとのことですが、社内の就業規則や入社時誓約書において飲酒運転は諭旨解雇または懲戒解雇とすると記載されていることから、妥当な懲戒処分の内容を確認したい。

弁護士方針・弁護士対応

労働者の職場外での私的行為を理由に懲戒処分をすることができるかについて、判例上、職務遂行に関係ない行為であっても、企業秩序に直接の関係を有するものや、企業評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められる行為については、企業秩序維持確保のために、これを規制の対象とすることが許される場合もあり得る、と考えられています(最高裁昭和49年2月28日労判196号)。

さらに、「大手の貨物自動車運送事業者が、同事業者のセールスドライバーであった者を、飲酒運転を理由に解雇した事案において、Yは、交通事故の防止に努力し、事故につながりやすい飲酒・酒気帯び運転等の違反行為があれば、事故を発生させたり報道された場合、行為の反復継続等の場合に限らず、社会から厳しい批判を受け、これが直ちにYの社会的評価の低下に結びつき、企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあることからすれば、被用者が上記違反行為を起こしたことをもって懲戒解雇とすることもやむを得ない」と判断した裁判例(東京地裁平成19年8月27日判決)があり、レピュテーションリスク・社会的影響の大きさ等については、本件においても参考となります。

相談者は名の知れた業界における大手企業であったことから、現時点では、本件に関する報道はなかったとしても、報道された場合の社会的影響は看過できないと考えられます。

ただし、裁判例の貨物自動車運送事業とは異なり、相談者は不動産管理を主たる事業としており、自動車運転に関わる違反行為がレピュテーションリスクや社会的影響の大きさには相違があるうえ、その他、裁判例より本件の方が情状が軽いと見受けられる事情(自ら報告したか否か)や、相談時点で刑事罰等が完全に確定していなかったこと等も併せて踏まえると、諭旨解雇よりも軽い出勤停止処分等の実施に留めることが妥当な対応であると考えられます。

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