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介護休暇と介護休業の違いや対象となる労働者について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

近年の日本では、「介護離職ゼロ」を目指して幾度も法改正が行われており、平成22年6月の改正によって介護休暇制度が新設されています。
介護休暇制度とは、家族の介護等をするための休暇であり、より使いやすくするために改正されました。

本記事では、介護休暇の概要や介護休業との相違点、利用条件、時間単位での取得について等を詳しく解説していきます。

介護休暇とは

介護休暇とは、要介護状態の家族の介護のために、一日又は時間単位で休暇を取得できる制度です。介護休暇は法律で定められた権利であるため、会社に定めがなかったとしても、事業主は基本的に取得の申し出を断ることができません。

要支援者や要介護者は増え続けており、きちんと取り組まなければ介護離職が増えるリスクもあります。労働者のストレスを軽くするために、仕事と介護の両立支援の一環として、介護休暇の取得を進めることを検討しましょう。

要介護状態の家族のために、次のようなときには介護休暇を取得できることになっています。

  • 急な体調不良
  • 病院の入院や通院の付き添い・送迎
  • 介護士・ケアマネージャー等との面談
  • 保険などの介護の手続き

介護の対象者が1人である場合、従業員が事業主に申し出ることにより、1年度につき5日取得することが可能です。対象者が2人以上である場合、10日取得することが可能です。

介護休暇と介護休業の違い

育児・介護休業法に定められている介護休暇ですが、似た名前の制度として「介護休業」の制度もあります。
基本的に、短期的・突発的なことに対応するためには介護休暇を使い、長期的なことに対応するためには介護休業を使うと良いでしょう。

それぞれの違いを表にまとめましたので、ご参照ください。

介護休業 介護休暇
取得可能日数 要介護者1人につき、通算93日を限度として3回まで分割取得可能 1年度に5日間、対象家族が2人以上ならば10日間
介護休業
給付金の有無
条件を満たせば、雇用保険制度から休業前の賃金の67%が「介護休業給付金」として支給される 基本的には無給(企業によって異なる)
申請方法 開始日の2週間前までに事業主へ申し出る 事業主への申出
当日の申請でも可能
(詳細は企業によって異なる)
取得条件
  • 日雇い労働者でないこと
  • 介護休業の開始予定日から起算して、93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
  • 労使協定で除外対象になっていないこと
  • 入社から6ヶ月以上が経過していること
  • 1週間の所定労働日数が2日以下でないこと

介護休業について詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。

介護休業制度の正しい知識と会社が取るべき対応

介護休暇を利用する条件

介護休暇を利用できる条件は、次のものです。

  • ①要介護状態であること
  • ②対象外となる労働者でないこと

これらの条件について、以下で解説します。

要介護状態とは

要介護状態とは、負傷や疾病、身体上又は精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態のことです。

常時介護を必要とする状態であると判断されるためには、介護の程度が要介護2以上であるか、厚生労働省が定めた条件にいくつか該当する必要があります。
2週間以上の期間にわたって、毎日の暮らしにおける活動に関しての意思決定がほとんどできない等の要件を満たせば介護休暇の対象となることから、うつ病などの病気になった家族等についても介護休暇の対象となる可能性があると考えられます。

要介護状態などの判断基準等について詳細に知りたい方は、以下の厚生労働省のサイトでご確認ください。

厚生労働省「仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~よくあるお問い合わせ」

対象となる労働者

介護休暇を取得することができるのは、日々雇用者(1日限りの雇用契約または30日未満の有期契約で雇われている従業員)を除くすべての労働者であり、男女のいずれも含みます。取得できるのは正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、パート・アルバイト等も対象になります。

事業主は、基本的に日々雇用者を除く労働者からの介護休暇取得の申出を拒めませんが、日々雇用者(日雇い労働者)は対象外とされています。
また、次の条件に当てはまる者については、労使協定で定めることにより対象外とすることができます。

  • ①雇用期間が6ヶ月未満の場合
  • ②1週間の所定労働日数が2日以下の場合

対象となる家族の範囲

介護休暇は、介護の対象となる家族の範囲が限定されます。
具体的には、介護休暇を取得する従業員から見て、以下の立場に該当する家族です。

なお、以前は同居及び扶養が要件として定められていましたが、現在は削除されているため同居していない家族のためであっても介護休暇を取得できます。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

時間単位での取得が可能に

介護休暇制度は、法改正によって時間単位で取得することができるようになりました。ただし、時間単位での取得を除外する業務について労使協定を締結して定めている場合、対象の労働者は1日単位でのみ取得可能となります。

どのような業務が時間単位での取得の困難なものであるかについては、労使でよく話し合う必要があります。不要な紛争を避けるため、なるべく広い範囲の業務で認めることが望ましいでしょう。

介護休暇の申出方法

介護休暇の申出において、従業員は以下の事項を報告する必要があります。

  • 自身の氏名
  • 介護する対象家族の氏名及び続柄
  • 介護休暇の取得希望予定日と終了予定日(時間単位取得の場合は、取得開始時間)
  • 対象家族が要介護状態にある事実

介護休暇を取得する旨の申出は、書面に限定されていません。その性質上、突発的に介護休暇を取得する必要が出てくる場面も想定できるため、当日の電話や口頭での申出でも可能とする等の配慮が求められます。

なお、対象家族が要介護状態にある事実については、口頭で報告することが可能とされています。しかしながら、事後的にでも資料の提出を促すことが望ましいでしょう。

申出書は厚生労働省の作成したフォーマットがあります。以下のサイトよりダウンロードできますので参考にすることをお勧めします。

厚生労働省、介護休暇制度

介護休暇における証明書類の請求

労働者が介護休暇を取得しようとするとき、事業主は、対象家族が要介護状態であることを証明する書類の提出を、申請した従業員に対して求めることが可能です。ただし、証明書類は医師の診断書等に限定されておらず、従業員が提出できる範囲で書類を提出すれば良いとされ、事業主はそれを受け入れる必要があります。

むしろ、医師の診断書等に証明書類を限定して、提出を義務付けるべきではないとされています。また、書類の提出は事後でも構わないとされており、書類が提出されないことを理由に、口頭で申請された介護休暇の取得は拒否できないことに注意が必要です。

介護休暇の就業規則への記載

事業主は、介護休暇を付与する条件や期間、申請方法、退職金の算定における扱い等を、必ず就業規則に記載する必要があります。
これは、就業規則について、「休暇」は必ず記載しなければならない事項であると労働基準法で定められており、介護休暇も「休暇」に該当するためです。

介護休暇中の給与

介護休暇中の給与に関しては、法律で定められてはいませんので、無給であっても特に問題はなく、有給にするか無給にするかは事業主の裁量に委ねられています。

ただし、給与について就業規則に記載しなければならないことは労働基準法で定められていますので、有給なのか無給なのか、必ず定めておき、就業規則に記載しなければなりません。

労働者側からすれば、無給であるならば有給休暇として取得したほうが良いという判断もあり得ますので、労働者にも理解してもらうよう周知しておくなど留意が必要です。

介護休暇以外に事業主が講じるべき措置

事業主は、要介護状態の対象家族を持つ労働者に対して、就業しながらの介護を容易にするための措置を利用できる措置として講じなければなりません。
利用できる措置として、次に挙げるものから1つ以上を設ける必要があります。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤の制度
  • 介護費用の助成措置等

これらの措置は、利用開始から3年以上の期間内に、2回以上は利用できるようにしなければなりません。
また、所定外労働、時間外労働、深夜業がそれぞれ制限されることにも留意が必要です。

事業主が講じるべき措置に関して以下のページで詳細に解説していますので、ご参照ください。

育児・介護休業
所定外労働・時間外労働・深夜業の制限について
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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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