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割増賃金の計算方法|基礎賃金の求め方や割増率の適用について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

割増賃金とは、通常の時間あたりの賃金を、一定の割合以上で割り増した賃金です。労働基準法により割増賃金を支払わなければならないのは、法定時間外、法定休日、深夜時間に労働させた場合です。

労働者から未払い残業代を請求された場合、まずは未払い分の割増賃金がいくらになるのか計算する必要があります。

このページでは、割増賃金の計算方法について詳しく解説していきます。

割増賃金が発生する条件

タイムカード等、出勤・勤務状況がわかるものを参照しましょう。
割増賃金が発生するのは、次に挙げる時間の労働です。

法定時間外 1日8時間、あるいは1週間40時間を超える労働時間
法定休日 使用者が定めた1週間に1日、あるいは4週間で4日の休日
深夜時間 午後10時から午前5時まで

これらに該当する労働時間について、割増賃金がいくらになるかを計算します。

割増賃金に関しては、以下のページで概要を解説していますので、ご参照ください。

割増賃金請求

割増賃金算出のための計算式

割増賃金は、以下の計算式を用いて算出します。

割増賃金額=時間単価×労働時間数×割増率

例として、法定休日の出勤で、時間単価が1500円、労働時間数が6時間で計算してみます。法定休日の割増率は35%以上ですので、ここでは35%とします。

1500(円)×6(時間)×1.35(割増率)=12150(円)

となります。割増率は法定時間外労働と深夜労働、法定休日労働で違いますので、注意が必要です。

時間単価

割増賃金の計算で使う時間単価は、基本的には1ヶ月の所定賃金を1ヶ月の総労働時間で割った額となります。ただし計算の方法は、月給制の場合とそのほかの場合で異なります。

また、時間単価を割り出す際、家族手当、通勤手当等は時間単価計算の基礎となる賃金には算入せず、除外します。除外賃金に関しての詳細は後述します。

月給制の場合

月給制の場合、以下の計算式で時間単価を求めます。

時間単価=月給÷(1日の所定労働時間×(1年の日数-1年の所定休日日数)÷12ヶ月)

例として、月給20万円、1日の所定労働時間7時間、1年の所定休日120日の場合で計算してみます。

20万(円)÷(20(時間)×(365(日)-120(日)÷12ヶ月)=1399(円)(小数点以下四捨五入)

となります。(小数点以下の扱いに関しては、明確な定めはありません。一般的には切り上げるか、四捨五入します)

月給制以外の場合

月給制以外の場合の時間単価の割り出し方については、労働基準法施行規則19条によって定められています。

割り出し方
時給制の場合 その金額
日給制の場合 その金額を1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日の平均所定労働時間数)で割った金額
例:日給1万円、所定労働時間8時間の場合は、1万(円)÷8(時間)=1250(円)
週給制の場合 その金額を週における所定労働時間数(週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週平均所定労働時間数)で割った金額
例:週給5万円、所定労働時間35時間の場合は、5万(円)÷35(時間)=1429(円)(小数点以下四捨五入)
出来高制の場合 その賃金算定期間(賃金締切日がある場合は、賃金締切期間)において出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間における総労働時間数で割った金額

割増賃金 計算の手順と流れ

割増賃金の計算は、次のような流れで行います。

  1. 時間あたりの基礎賃金を確認する
  2. 基礎賃金を確認する
  3. 所定労働時間の確認をする
  4. 実労働時間を確認する
  5. 割増賃金の算出

この流れについて、以下で解説します。

1時間あたりの基礎賃金を確認する

まず、1時間あたりの基礎賃金を算出する必要があります。その計算をするため、1ヶ月の所定労働時間を把握しておかなければなりません。

月給制の場合には、1時間あたりの基礎賃金を次の式で計算します。

1時間あたりの基礎賃金=1ヶ月の基礎賃金÷1ヶ月の所定労働時間

この式で、1ヶ月の所定労働時間が就業規則や雇用契約等で定められていれば、その時間数を計算に用います。
就業規則などに所定労働時間が定められていない場合は、1年間の所定労働時間数を12で割り、1ヶ月の平均所定労働時間を算出して用います。

基礎賃金を確認する

割増賃金を算出するには、基礎賃金に割増率を掛けます。この際に注意したいのが、基礎賃金は所定賃金とイコールではないということです。

基礎賃金の額を算出するには、所定賃金から除外賃金を差し引きます。所定賃金の内に除外賃金がどれくらい含まれているかは、給与明細、雇用契約書等で確認しましょう。

基礎賃金の算出方法 基礎賃金=所定賃金-除外賃金
割増賃金の算出方法 割増賃金=基礎賃金×割増率

割増賃金を計算する際に使用する賃金には、以下の手当等、基礎賃金として算入せず、除外されるものがあります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

所定賃金の中にこの除外賃金に該当する手当・賃金が入っていた場合は、それを差し引いてから、1時間あたりの基礎賃金の計算をします。

所定労働時間の確認をする

所定労働時間とは、雇用契約や就業規則などで定められた労働時間のことです。簡単に表現するなら、働く予定となっている時間です。
割増賃金の算出には、この「所定労働時間」を用います。実際に働いた時間である「労働時間」とは異なるため注意しましょう。

月給制の場合

月給制の場合、まずは1ヶ月の所定労働時間を以下の式で割り出します。

1ヶ月の所定労働時間=(1年間の総労働日数-1年間の所定休日日数)÷12×1日の所定労働時間数

例として、所定休日日数が125日、1日の所定労働時間が8時間と仮定し計算してみます。

(365(日)-125(日))÷12×8(時間)=160(時間)

この場合、1ヶ月の所定労働時間は160時間になりますので、時間単価を算出するには1ヶ月の基礎賃金を160で割ります。

日給制の場合

通常は1日の賃金額をその日の所定労働時間数で割って時間単価を出しますが、日によって所定労働時間数が異なる場合には、以下の計算式で1日の平均所定労働時間を算出します。

1日の平均所定労働時間=1週間の合計所定労働時間÷1週間の所定労働日数

例として、1週間の合計所定労働時間が35時間、所定労働日数が5日と仮定して計算してみます。

35(時間)÷5(日)=7

この場合、1日の所定労働時間は7時間になります。

実労働時間を確認する

割増賃金は、時間外・法定休日・深夜に実際に労働させた時間に応じて支払わなければならないものです。そのため、「実労働時間」を算出しておく必要があります。これは所定労働時間ではなく、あくまでも「労働者が実際に働いた労働時間」ですので、タイムカード等、出勤状況がわかるものを参照しましょう。

また、割増賃金算定に用いる実労働時間は、割増率の異なる時間ごとに集計しなければなりません。法定時間外労働、深夜労働に対しては25%以上の割増率、法定休日労働に対しては35%以上の割増率となります。

割増賃金の算出

割増賃金は以下の計算式で算出します。

割増賃金=1時間あたりの基礎賃金×実労働時間×割増率

例として、1時間当たりの基礎賃金が1800円、法定時間外労働4時間、割増率25%で計算してみます。

1800(円)×4(時間)×1.25(割増率)=9000(円)

この場合、使用者が時間外手当として支払わなければならない賃金は9000円になります。

割増賃金の計算における割増率について

労働基準法では、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働について、それぞれ割増賃金の最低限の割増率が定められています。
また、割増賃金が適用される要素が2つあると、どちらの割増も重ねて適用されます(労基則20条1項、2項)。

ここで注意が必要なのは、休日労働は法定時間外労働にならないことです。これは、法定時間外労働は「出勤しなければならない日」の労働に適用されるため、休日労働には適用されないからです。

深夜労働による割増は、法定時間外労働による割増であっても、法定休日労働であっても、割増が重ねて適用されます。
割増を重ねて適用するときには、割増率を足し合わせて計算します。

法定時間外労働

法定時間外の労働に対する割増賃金に関しては、『通常の労働時間または労働日の賃金の計算額(労基法37条1項、割増令)』の25%以上の割増率でなければならないと定められています。

ただし、1ヶ月60時間を超える時間外労働をさせた場合、60時間を超える分については、50%以上の割増率にしなければなりません(中小企業については、令和5年3月末までの猶予措置があります)。

法定休日労働

法定休日に労働させた場合の割増賃金は、35%以上の割増率でなければならない(労基法37条1項、割増令)と定められています。

法定休日は、1週間に1日、あるいは4週間に4日、労働者に与えなければならないものとされていますので、週休2日制の企業の場合、休日のどちらか一方が法定休日となり、割増率は35%、法定休日でない休日の出勤は時間外労働として25%の割増率になりますが、休日2日間の両方を35%の割増率とすることは問題ありません。

深夜労働

深夜の労働に対する割増賃金に関しては、『午後10時から午前5時まで(…その定める地域又は期間については午後11から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(労基本37条4項)』と定められています。条文上、「二割五分以上」ですので、最低でも25%の割増をしなければなりません。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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