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欠勤控除の計算方法

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働者が欠勤等した場合、欠勤した分を賃金から控除する処理を行っている会社が多いのではないでしょうか?また、会社側はどのように欠勤控除の計算をすれば良いか、迷うこともあるでしょう。計算方法によっては、労働者や会社が負担を負ってしまう場合もあります。そこで本記事では、欠勤控除の計算方法や、その他の欠勤控除に関する注意点を詳しく解説していきます。

欠勤控除の計算方法

基本的に、会社はノーワーク・ノーペイの原則により、労働者が働かない分の賃金は支払わない、といった考え方が多くとられています。そのため、欠勤や遅刻、早退による欠勤控除が可能となります。

労働者にとって賃金は重要になりますが、法律上には欠勤控除についての規定がないため、欠勤控除をする場合は、就業規則にきちんと明記しておく必要があります。その際は、欠勤控除に該当するケースと、欠勤控除の計算方法等についても明記、および労働者への周知が必要となるでしょう。

欠勤控除についての詳細は、下記のページをご覧ください。

欠勤や遅刻・早退時の賃金控除について

欠勤控除の計算方法として、4つのパターンが考えられるため、以下にて説明していきます。

月給額/年平均の月所定労働日数×欠勤日数

1つ目は、年平均の所定労働日数から日給を計算し、欠勤控除する方法です。

【欠勤控除額 = 月給与額 ÷ (年平均の月所定労働日数 × 欠勤日数)】

実際、このような計算方法をしている会社は多いのではないでしょうか?

しかし、例えば上記のように計算し、20日間が年平均の月所定労働日数となるケースで考えてみましょう。該当する月の所定労働日数が21日だった場合に20日間欠勤してしまうと、1日間勤務したにもかかわらず、月給与額と欠勤控除額が等しくなります。そのため、給与を支給することはできなくなります。ただし、年間でみれば欠勤日数と欠勤控除の総額に過不足がないため、違法とはなりません。

さらに、この計算方法の場合、欠勤1日あたりの控除額は年間を通じて一定であり、月による変動がありません。

※年平均の月所定休日日数=(365日-年間の所定休日日数)÷12ヶ月で算出します。

月給額/該当月(一賃金計算期間)の所定労働日数×欠勤日数

2つ目は、該当月の所定労働日数から欠勤1日あたりの控除額を計算し、欠勤控除をする方法です。

【欠勤控除額 = 月給与額 ÷ (該当月の所定労働日数 × 欠勤日数)】

この計算方法は、月によって所定労働日数が異なる関係で欠勤控除額も変動するため、注意が必要になります。また、所定労働日数が多い月には、欠勤控除額が小さくなるため、該当月に欠勤者が増えるおそれがあります。

月給額/年の暦日数×欠勤日数

3つ目は、年の暦日数から欠勤控除額を算出する方法です。

【欠勤控除額 = 年間給与額 ÷ (年の暦日数 × 欠勤日数)】(年の暦日数は365日ないし366日)

この計算方法をとる場合は、欠勤1日あたりの控除額は一定となります。この計算方法では、分母の数値が大きくなり、欠勤控除額が定額になります。そのため、労働者の負担が小さくなります。しかし、労働者が全ての所定労働日数を欠勤しても、給与は発生してしまうため、会社側の負担が大きくなってしまいます。

月給額/該当月(一賃金計算期間)の暦日数×欠勤日数

最後は、毎月の暦日数から日給を計算し、欠勤控除をする方法です。

【欠勤控除額 = 月給与額 ÷ (月間の暦日数 × 欠勤日数)】

月間の暦日数は、月によって28日、29日、30日、31日と異なるため、毎月当てはめて計算することになります。そのため、毎月の欠勤控除額が変わるため、対応が煩雑になります。

また、1つ上の項目同様に分母の数値が大きくなり、欠勤日数が多くても給与を支給することになります。

欠勤控除で生じる不都合について

欠勤控除を行うにあたって、年平均の月所定労働日数から計算した控除額を採用している場合、年平均の月所定労働日数と該当月の実際の所定労働日数が異なり、かつ欠勤日数が多い月には、欠勤控除を行った結果の支給額が実際に働いた日数に対応していないことが明らかになるという不都合が発生するおそれがあります。その場合は、控除を行うのではなく、月給与額を該当月の所定労働時間で割った日割り計算として給与日額を算出し、実際の勤務日数に応じて支給することが合理的でしょう。

欠勤控除額の端数処理

欠勤控除における端数処理については、原則切り捨てとします。端数を切り上げてしまうと、欠勤していない時間分までも控除してしまうためです。これは、ノーワーク・ノーペイの原則に反するのに加え、労働基準法24条の賃金の全額払いの原則に反するおそれがあります。

諸手当に対する欠勤控除

給与には固定の基本給に加えて、諸手当も合計したものを支給している会社が多いでしょう。その場合、手当からも欠勤控除はできるのでしょうか?欠勤控除における手当の取扱いに関しても、法律上の規定がないため、就業規則にて定めることになります。

支給する手当の種類は、大きく2つに分類されます。1つは通勤手当や営業手当等の労働にかかわる手当です。もう1つは、家族手当や住宅手当等の直接労働にかかわりのない手当です。

前者の労働にかかわる手当は、実際に出勤して、業務をする前提として支給する手当であるため、労働者が欠勤等した場合には、欠勤控除の対象となると考えるのが妥当といえるでしょう。

一方、労働にかかわらない手当に関しては、実際の労働とは関係なく支給する手当であるため、欠勤控除の対象外と考えられます。

欠勤控除の対象となる手当については、原則として就業規則に規定を設ける必要があります。就業規則に規定がないと、労使間でトラブルの原因となってしまうため、注意が必要です。

給与における手当の種類については、下記のページをご覧ください。

会社が任意で支給できる手当の種類

遅刻・早退による賃金控除の計算方法

労働者の欠勤は欠勤控除の対象となりますが、遅刻や早退に関しては控除できるのでしょうか?遅刻や早退に関しても、ノーワーク・ノーペイの原則を適用し、賃金からその時間分だけの控除をすることができます。ただし、控除を行うためには就業規則に定めておく必要があります。

具体的な遅刻・早退時の賃金控除の計算方法は、以下のようになります。(月給制の場合)

【遅刻・早退控除の対象とする月の給与額÷1年間の月平均所定労働時間数×遅刻・早退の時間】

1年間の月平均所定労働時間数は、以下のように算出します。

(365 – 年間休日数)×1日の所定労働時間÷12

遅刻・早退時間の端数処理

遅刻・早退時間の端数を切り上げるといった処理は、労働基準法に違反します。したがって、遅刻・早退時間の賃金控除は、1分単位で控除しなければなりません。

具体例を挙げると、労働者が5分の遅刻をしたとします。それを会社側の都合によって計算を楽にするため、5分の遅刻を30分の遅刻をしたものと処理し、賃金から控除をすると、労働者は切り上げた分の時間について、働いたにもかかわらず無給となります。これは、労働基準法24条の賃金の全額払いの原則に違反する行為になるため、必ず1分単位での処理が必要となります。

賃金の全額払いの原則についての詳細は、下記のページをご覧ください。

全額払いの原則

また、賃金控除と勘違いしがちな減給の詳細は、下記のページをご確認ください。

減給の懲戒処分

欠勤控除額における税金の取り扱い

欠勤控除額は、非課税となります。計算方法としては、総支給額合計額から欠勤控除額を差し引きます。この計算方法により、課税合計額が算出できます。
また、通勤手当は基本的に非課税となるため、単体での控除額を算出する必要があります。

そのほか、手当にかかる税金については、下記のページをご覧ください。

課税される手当と非課税の手当
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