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人事評価制度

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「人事評価制度」は、労働者の育成や生産性の向上、企業の業績アップのために有効な手段です。適切な流れで評価を行うことで、それまで認識していなかった問題点や労働者1人1人の特性が明らかになり、改善策につながるためです。

ただし、人事評価制度を導入する際は、評価基準や評価方法を明確化しておかなければなりません。これらが曖昧だと、労働者の不満や不信感を招きかねないため注意が必要です。

そこで本記事では、人事評価制度の特徴やメリット・デメリット、運用方法等を解説していきます。導入を検討している方はもちろん、業績アップの方法を模索している方も、ぜひ参考になさってください。

人事評価制度の定義

人事評価制度とは、労働者の能力や目標の達成具合、企業への貢献度などを評価し、処遇に反映させる制度です。企業は、評価結果をもとに昇格(又は降格)や昇給(又は減給)について判断することになります。評価基準はさまざまですが、四半期・半年・1年など一定期間ごとに評価を行うのが一般的です。

なお、人事制度は、「評価制度」のほか、等級や等級ごとに求められるスキル・役割を定める「等級制度」、労働者の給与・賞与額を定める「報酬制度」の3つで成り立っています。

評価制度の結果は、等級制度や報酬制度の判断にも影響を与えるため、特に重要な制度といえるでしょう。

人事考課制度との違い

人事評価制度と似たものに、「人事考課制度」があります。どちらも労働者の評価を行う点は同じですが、実施する目的が異なります。

人事考課は、等級や給与等、労働者の処遇について判断することを目的としています。評価結果が昇格や昇給に直結するため、労働者にとって重大な制度といえます。

一方、人事評価は、処遇の判断だけでなく“労働者の育成”も目的としています。評価結果を能力開発や人材配置に反映し、労働者のスキル向上や業務効率化を図ります。

とはいえ、人事評価は人事考課を包含していると考えられるため、2つを同義語と捉えるケースも多いです。

人事評価制度導入の目的

人事評価制度を導入する目的は、以下のようなものが挙げられます。

  • 最適な人材配置や処遇の決定
    従来の“年功序列型”の賃金体系から、労働者それぞれの能力に基づく“成果主義”に移行しつつあります。そこで、評価制度の実施によって労働者の能力や貢献度が明確にすることで、賃金における客観的な判断が可能になります。また、業務の進捗状況等から労働者の適性を見極め、人材配置に活かすこともできます。
  • 人材育成
    公正な人事評価を行い、労働者の自発的な成長を促します。評価項目や評価基準が明確であり、成果を正当に認めてもらえるとわかれば、労働者はより一層業務に励むでしょう。また、評価結果に基づき的確なフィードバックを行うことで、育成の効率化が期待できます。
  • 生産性や業績の向上
    労働者1人1人の能力に合った目標や業務過程を定め、生産性の向上を図ります。また、生産性が向上して業務効率が上がれば、業績の向上やコスト削減といったメリットも生まれるでしょう。
  • 企業理念や経営方針の浸透
    評価基準を明示することで、「企業理念」や「労働者に求めるスキル」を共有することができます。それによって共同意識が強まり、企業への愛着や定着率アップにつながる可能性があります。

人事評価制度導入のメリット・デメリット

メリット

  • 労働者のモチベーションアップ
    自身の努力や成果が昇格・昇給につながるため、労働者の勤労意欲が向上します。また、労働者が成果を上げようと自主的に知識・スキルの取得に努めると考えられるため、生産性アップも期待できるでしょう。
  • 信頼関係の強化
    的確なフィードバックを行うことで、労働者は「成果が認められた」「努力が評価された」と感じ、会社への信頼感や安心感を得ることができます。
  • 人材の把握
    労働者1人1人のスキル・問題点を把握できます。それによって適材適所の人材配置を行ったり、能力開発や研修において最適なプログラムを組んだりすることが可能になります。

デメリット

  • 労働者からの不満
    評価結果や評価の根拠が曖昧だと、労働者が不満を抱く可能性があります。企業への不信感が募り、離職率の上昇を招くリスクもあります。
  • 相対評価への不満
    どれだけ公正に評価を行っても、相対評価では序列がはっきりと表れます。「成果を上げたのに、同僚より評価が低かった」といった場合、労働者のモチベーションを低下させるおそれがあります。
  • 手間がかかる
    制度の導入前は、評価基準や評価方法の設定を行う手間がかかります。また、公正な評価を実施できるよう、担当者への教育等も必要です。

人事評価制度の評価基準

人事評価制度では、3つの評価基準を用いるのが一般的です。主に企業への貢献度・労働者の能力・働きぶりという側面から、総合的に評価を行います。
では、各評価基準について詳しくみていきましょう。

業績評価

業績評価とは、業務で実際に成果を上げたことに対する評価です。評価項目は職種などによって異なりますが、例えば営業職の場合、契約件数や売上等が挙げられます。

また、評価期間の業務目標を定めておき、その達成度をもとに評価する方法もあります。業務目標については、期日や件数など客観的に判定できる事項を入れることや、適度な難易度で設定するのがポイントです。

さらに、スピード・正確性・効率性といった“仕事の質”も考慮し、多角的に業績を判断します。

能力評価

能力評価とは、労働者が持つ知識や経験、スキル等に対する評価です。ただし、業務に関わる能力のみ評価対象とするのが基本です。

評価項目としては、専門知識の習得度や経験量だけでなく、コミュニケーション能力・リーダーシップ・決断力・交渉力といった人間力も含まれることがあります。

能力評価の導入によって、労働者は自ら実践的なスキルを磨くことが期待できます。また、労働者の能力を的確に把握できるため、業務内容と能力のミスマッチを防いだり、適切な人材配置に活かしたりすることができるでしょう。

一方、注意点としては、年齢や性別といった偏見にとらわれず、労働者本人の能力をきちんと評価することが必要となることが挙げられます。

情意評価

情意評価とは、“業務に取り組む姿勢”に対する評価のことで、態度評価とも呼ばれます。評価項目は、職場のルールを守る「規律性」、指示を待たずに自ら行動する「積極性」、自身の役割を認識し、全うしようとする「責任性」、良好な人間関係を保つ「協調性」等が挙げられます。

情意評価のメリットは、業績など目に見える部分ではなく、労働者の内面や業務プロセスを重視するということです。そのため、「ただ結果を出せば良い」「経験不足なので頑張っても意味がない」という労働者が減り、職場の人間関係改善やモチベーションアップにつながると期待できます。

ただし、情意評価では、上司の主観が入りやすいため注意が必要です。目標を具体的に設定したり、同僚や部下の意見も聞いたりして、できるだけ客観的に評価を行いましょう。

人事評価制度の評価手法

では、業績評価・能力評価・情意評価という3つの評価基準は、具体的にどのように測るのでしょうか。この点、3つの評価手法がありますので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認しておきましょう。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度(MBO)とは、Management by Objectivesの頭文字を取ったものであり、あらかじめ業務目標を設定しておき、その達成度をもとに評価する方法です。客観的に評価できるよう、業務目標(案件数や期日)や作業プロセスをできるだけ具体的に定めておくことがポイントです。

メリット

  • 労働者の目標と企業目標にズレがないか確認できる
  • 能力開発が期待できる(目標達成に必要なスキルの取得・自己管理能力の向上等)
  • 業務内容が整理・明確化され、労働者のモチベーションが上がる
  • 客観的かつ公平な評価ができる

デメリット

  • 目標以外の業務に対して意欲がわかない
  • 目標=ノルマとなり、労働者がプレッシャーを感じやすい
  • 職種によっては目標設定が困難である

目標管理制度(OKR)

目標管理制度には、OKRという手法もあります。OKRとは、Objectives and Key Resultsの頭文字を取ったものであり、目標と主要な成果を設定し、MBOよりも高い目標を達成するための手法です。

OKRの特徴は、企業、部署、個人間で目標が共有され、個人ごとの状況や特性に応じた目標を設定できるということです。つまり、企業と労働者が同じゴールに向かって業務を行うことが可能になります。

また、MBOの場合、評価結果が処遇の決定につながるため、100%達成できるような目標を定めるのが一般的です。一方、OKRは、目標達成度を人事評価に反映せず、“企業が一丸となって目標を達成すること”を重視しています。そのため、60~70%の達成度を目安とした、より高い目標が掲げられます。

OKRのメリットは、労働者の貢献度や自己管理能力・効率性の向上等が期待できることです。一方、目標の頻繁な振り返りが必要な点や、高い目標設定による労働者のモチベーション低下といったデメリットも想定されます。

360度評価(多面評価)

360度評価とは、1人の労働者に対し、上司・同僚・部下等さまざまな方面から評価を行う方法です。上司の主観にとらわれず、より客観的に評価することを目的としています。とはいえ、評価結果は評価者によって変わるため、「評価結果をそのまま処遇に反映しない」「本人の意識改革に役立てる」といった対応をすべきでしょう。

メリット

  • 上司以外の視点からも評価できる
  • 労働者が自身の強みと弱みを把握できる

デメリット

  • 評価者の主観が入りやすい
  • 高評価を得るため、部下に厳しい指導をしなくなる
  • 職場の人間関係を悪化させるおそれがある

コンピテンシー評価制度

コンピテンシー評価とは、高い業績や成果を上げている労働者の行動特性(コンピテンシー)をもとに評価項目を設定し、それに沿って評価を行う方法です。

流れとしては、まず優秀な労働者について観察・ヒアリングを行い、求められる知識やスキル、基礎能力等を分析し、評価項目を定めます。そして、それをもとに、「必要な能力を備えているか」「どれほど知識が不足しているか」等について評価を行います。

メリット

  • 評価基準が明確化され、ブレにくい
  • 目指すべき人物像を示すことで、能力開発や人材育成につながる
  • 公正な評価ができ、労働者が納得しやすい

デメリット

  • 優秀な労働者を選ぶのに時間がかかる
  • 評価基準が固定され、事業や環境の変化に適応できない

人事評価の対象期間

人事評価は、四半期・半年・1年など一定期間ごとに行います。一般的には、上半期・下半期に分けて6ヶ月ごとに評価を行う企業が多いです。

とはいえ、評価対象期間に定めはないため、企業規模や業種に応じて適正に判断する必要があります。例えば、労働者の人数が多い企業の場合、四半期ごとの評価では膨大な負担がかかります。一方、業務内容が頻繁に変わるような企業の場合、年次評価では公正な評価が難しいでしょう。

また、営業職など売上や利益が評価項目に含まれる場合、予算の対象期間と評価期間を合わせるとわかりやすいです。

また、昇格や昇給に関する評価は、その実施時期に合わせて行うのが一般的です。例えば、毎年4月1日付で昇給が行われる場合、前年の4月1日から3月31日を評価期間とします。

人事評価の適法性

人事評価によって労働者の処遇を決定する場合、事業主は、労働者の能力や成果を公正に評価する義務(公正評価義務)を負っています。なお、公正な評価とは、以下の3要件を満たすものとされています。

  • 公正かつ客観的な評価制度を整備・開示すること
  • それに基づき公正な評価を行うこと
  • 評価結果を開示・説明すること

上記に反する場合、「人事評価権の濫用による不法行為」(民法709条)又は「公正評価義務違反による債務不履行」(民法415条1項)に基づく損害賠償請求をされる可能性があります。

また、労働基準法3条(均等待遇)等の強行規定に違反した場合、当該人事評価は違法となります。

人事評価制度の導入・運用

人事評価制度を導入する際は、導入目的や運用方法等をしっかり定めることが重要です。無計画のまま導入してしまうと、適切な評価ができず労働者の不満を招いたり、担当者の手が回らなかったりするリスクがあるため注意しましょう。

また、人事評価制度は就業規則の「相対的必要記載事項」にあたり、導入時は規定を設けることが義務付けられています(労基法89条)。

人事評価制度の導入・運用における注意点は、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

人事評価制度の導入と実施時の留意点

事業主に向けた助成金

人事評価制度を行う企業は、国から助成金を受け取ることができる可能性があります。

これは「人事評価改善等助成コース」という制度によるもので、企業の人材不足を解消する目的で制定されました。労働者の能力や成果に基づく賃金制度を設け、一定の効果を上げた企業に対して助成金“80万円”が支給されます(目標達成助成)。

なお、“一定の効果”とは、生産性の向上・賃金アップ・離職率の低下の3つをいいます。それぞれ増加率や低下率の基準が定められており、基準を満たす企業が助成対象となります。

また、「人事評価制度の内容が厚生労働省の定める要件を満たすこと」「適切な手順を踏んで作成・実施された制度であること」等も支給要件に含まれます。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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