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派遣契約の期間|最短・最長期間や延長更新について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

派遣社員とは、人材派遣会社に雇われながら、派遣先で仕事をする労働者のことです。
労働者が派遣されるとき、就業前に派遣先で働く期間が設定されます。ただし、2012年と2015年の労働者派遣法改正によって、設定できる派遣期間は基本的に31日から3年までに限定されたため、その範囲内で契約しましょう。

本記事では、派遣期間の制限や延長方法等について解説していきます。派遣社員を受け入れる前に、ぜひご覧ください。

派遣契約の期間制限

派遣契約の期間は労働者派遣法によって定められており、基本的に31日以上3年以下に制限されています。
契約期間を30日以下にできるのは例外的なケースに限定されます。

なお、派遣労働の基本的な仕組み等について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

派遣労働の仕組み

派遣契約の最短期間

派遣期間は、最短で31日以上から設定しなければなりません。30日以下は日雇い派遣にあたり、労働者派遣法において派遣契約が禁止されているためです。
そのため、初回は、派遣契約を1ヶ月とし、労働者の適性を見極める企業が多くなっています。

ただし、例外的に日雇い派遣契約が認められるケースもあります。

例外が認められるケース

次のケースでは、例外的に日雇い派遣契約が認められています。

  • 特定の業務(ソフトフェア開発、通訳、秘書、財務処理、添乗、広告デザイン、OAインストラクション等)の派遣であるケース
  • 無期雇用派遣社員が派遣されるケース
  • 60歳以上の人が派遣されるケース
  • 雇用保険の適用を受けない学生が派遣されるケース
  • 副業として従事する人(生業の収入が500万円以上ある人に限る)が派遣されるケース
  • 主たる生計者以外の人(世帯収入が500万円以上の人に限る)が派遣されるケース

なお、契約期間が31日以上であっても、労働時間が週20時間以上でなければ日雇い派遣契約とみなされるおそれがあります。
また、派遣契約であっても、36協定を締結しなければ「1日8時間、週40時間」が労働時間の上限となります。

派遣契約の最長期間

2015年の労働者派遣法改正により、有期派遣労働者の派遣期間は最長3年と定められました(3年ルール)。具体的には、同じ事業所の同じ部署に派遣就業できるのは3年までとなります。

法改正の背景には、以下2つの目的があります。

  • 【雇用安定】
    派遣先に対し、同一部署で働いた派遣労働者を正社員に登用するよう促すこと
  • 【キャリア形成】
    派遣労働者が希望する場合、派遣元に対し、その者を無期雇用派遣に切り替えるよう促すこと

以前は一部の業種にのみ3年ルール適用されていましたが、法改正により、すべての業種が適用対象となりました。より幅広い分野で派遣労働者の保護が図られることになります。

例外が認められるケース

3年ルールには例外があり、以下のケースでは適用されません。よって、これらの場合には3年を超えた派遣就労が可能となります。

  • 無期雇用労働者
    派遣元と、期間の定めなく雇用契約を締結していること
  • 有期プロジェクト業務
    あらかじめ期間と終了日が決まっているプロジェクトに従事していること
  • 日数限定業務
    1ヶ月の労働日数が通常の労働者の半分、かつ10日以下であること
  • 休業中の労働者の代わり
    産休や育休、介護休業中の社員の代わりに働いていること
  • 60歳以上
    派遣労働者の年齢が60歳以上であること
  • 事業規模の変更に伴う業務
    事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務で、完了の目途が立っていること

派遣の「抵触日」とは

抵触日とは、派遣社員を受け入れることが可能である最後の日の翌日のことです。個人単位の抵触日と事業所単位の抵触日があり、事業所単位が優先されます。

【個人単位の抵触日】
派遣社員Aの就業開始が2023年4月1日であれば、派遣期間満了日は最長で2026年3月31日までであり、抵触日は2026年4月1日となります。
抵触日以降、派遣社員Aを同一組織内(課や部署)で働かせることはできません。

【事業所単位の抵触日】
派遣先B社が派遣社員Cを2023年4月1日から2024年3月31日まで就業させて、同じ派遣会社の派遣社員Dを2024年4月1日に就業させると、抵触日は2026年4月1日となります。
派遣社員Dの個人単位の抵触日は2027年4月1日であり、事業所単位と個人単位では抵触日が異なることがあるため注意が必要です。

派遣契約期間の平均

派遣契約の更新期間は、平均3~6ヶ月とされています。
これは、企業の決算時期と関連があります。多くの企業は四半期ごとに決算を行うため、3ヶ月又は6ヶ月単位で更新すれば派遣社員の費用も決算に組み込むことができます。

また、初回は1ヶ月の契約にするケースもあります。
1ヶ月は「お試し期間」として、派遣労働者の適性やスキル、勤務態度、職場の人間関係などをチェックするのが目的です。
適性が認められれば、3ヶ月や6ヶ月とより長い単位で更新するのが一般的です。

派遣契約期間の更新

契約期間が通算して3年の制限を超えなければ、契約を更新することも可能です。

契約を更新したい場合には、基本的に派遣元会社を通して、契約終了の30日以上前に派遣労働者へ契約を更新したい旨を伝え意思を確認します。本人に継続勤務の意思があれば、契約を更新することができます。
一方、本人が継続勤務を希望しない場合、契約終了となります。

派遣契約期間の延長

派遣期間の上限は、手続きを行えば延長等できる場合があります。
必要となる手続きとして、次のものが挙げられます。

  • ①労働組合の意見聴取
  • ②別部署への異動
  • ③クーリング期間の設定
  • ④無期雇用派遣への変更
  • ⑤直接雇用

これらの手続きについて、以下で解説します。

労働組合の意見聴取

派遣先事業主が、同じ事業所の同じ部署で3年を超えて派遣社員を受け入れることはできません。
例えば、派遣社員Aさんが2年間働いたあと、派遣社員Bさんを受け入れたい場合、Bさんが働けるのは最長1年までになります。

ただし、派遣先事業主が意見聴取期間(期間制限の上限に達する1ヶ月前まで)に、過半数労働組合又は過半数代表者の意見を聴取すれば、受け入れ期間を3年延長することが認められます。意見聴取は事業所ごとに行う必要があり、本社での一括対応は認められていません。

なお、期間を延長できるのは事業所単位だけであり、個人の期間制限を延長することはできません。

別部署への異動

派遣社員が派遣先会社で3年の契約を満了したとしても、同じ派遣先会社の異なる課に部署異動すれば、新たに3年まで働くことが可能です。
このとき、事業所単位の期間制限を超えるために、過半数労働組合への意見聴取等の手続きが必要となります。

なお、名目的に部署異動をして、今までと同じ仕事をさせると違法となるおそれがあります。部署異動によって派遣社員がこれまでのキャリアを活かせなくなる等のリスクがあるため、事前によく話し合うことが望ましいでしょう。

クーリング期間の設定

クーリング期間とは、派遣期間をリセットするための空白期間のことです。

派遣期間が3年経過したあと、「3ヶ月と1日」以上空ければ、同じ派遣社員を再び同じ部署で受け入れることができます。なお、受け入れ期間は最長3年となります。

ただし、クーリング期間後に同じ派遣社員を受け入れる場合、再度社会保険の加入手続きが必要です。また、有給休暇の日数もリセットされることになります。

これは、クーリングでは派遣先を一度退職したことになり、継続勤務とみなされないためです。

また、派遣社員の意思に反して、クーリング期間後に再び同じ部署に派遣することは、雇用安定やキャリアアップの観点から望ましくないとされています。

無期雇用派遣への変更

派遣社員が派遣元会社で無期雇用となれば、派遣先における3年の期間制限は適用されません。ただし、派遣社員を無期雇用するのは派遣元会社であり、派遣先会社が派遣社員を直接雇うわけではないことに注意しましょう。

一般的には、有期雇用契約を5年以上継続すると、無期転換ルールが適用されて労働者からの無期雇用の申込みができるようになります。しかし、契約期間が3年の派遣契約では、1回で派遣社員からの無期雇用の申込みが可能となります。

直接雇用

受け入れ後3年経過した派遣社員については、正社員又は契約社員として直接雇用する対応が必要となります。
これは、「派遣労働は一時的な働き方である」という考えに基づくもので、その後の雇用安定やキャリアアップを図るのが目的です。

なお、この規定は個人単位の期間制限なので、たとえ労働組合や過半数代表者の同意があっても延長できません。この点は、事業所単位の期間制限とは異なるため注意しましょう。

派遣契約期間の終了

派遣契約期間の終了とは、「契約満了」又は「契約終了(解除)」によって派遣契約期間が終わることです。

●契約満了
契約満了とは、当初から定められていた派遣契約の期間が終了し、更新されないことをいいます。

派遣社員が更新を希望しなければ契約満了となりますが、派遣先が会社の都合で更新しないというような場合には、期間満了日の30日前までに派遣労働者へその旨を通知する必要があります。
まずは派遣先から派遣元に報告をして、派遣元が本人へ通知するのが一般的です。

●契約終了(解除)
契約終了(解除)とは、定められていた派遣契約の期間が終わる前に、契約を打ち切ってしまうことです。
派遣先が契約を終了させるときには、少なくとも終了の30日以上前に申し入れを行い、代わりの就業先をあっせんする等の措置が義務づけられています。

契約期間途中の解約

派遣労働者を保護するために、契約満了前に契約を解除することや、契約期間を一方的に変更することは基本的にできません。
ただし、以下のような“やむを得ない事由”があれば、契約の解除や変更をできる可能性があります。

【経営状況の悪化】
予期せぬ経営難により、倒産や事業縮小のおそれがあるケースです。受け入れの継続が難しいため、契約解除が認められる可能性があります。

【契約解除に値する問題の発生】
派遣労働者に重大な問題があるケースです。例えば、遅刻・無断欠勤が多い場合や、企業の信用を損ねる行為をした場合等では、契約解除が認められる可能性があります。

なお、契約期間中に契約を解除する場合、解除日の30日前までに派遣労働者へその旨を通知しなければなりません。また、派遣労働者を保護するための雇用安定措置を講じる等の対応が求められます。

雇用安定措置の詳細は、以下のページをご覧ください。

派遣労働における雇用安定措置の概要

契約期間中の退職の申し出

契約期間中は、派遣労働者であっても契約を解除することはできません。よって、基本的に退職の申し出を受け入れる必要はありません。

もっとも、次のような“やむを得ない事情”がある場合には、期間満了前でも契約期間の短縮や退職を認める必要があるでしょう。

  • 契約時に定めた労働条件と実態に相違がある
  • 派遣先でハラスメント被害に遭っている
  • 家庭の事情(家族の介護や転勤など)
  • 体調不良(怪我、メンタル不調、持病の悪化など)

派遣労働者が突然退職すると、引き継ぎや人手不足などのさまざまなデメリットがあります。派遣元の担当者と相談し、後任を紹介してもらうのもひとつの方法です。

紹介予定派遣の契約期間について

紹介予定派遣の場合、派遣期間は最長6ヶ月となります。通常の派遣よりも期間が短いため、受入れ時は注意が必要です。

紹介予定派遣とは、派遣労働者が派遣先に直接雇用されることを前提とした派遣制度です。直接雇用が前提のため、派遣期間は「試用期間」と捉えられており、上限も短く設定されています。

紹介予定派遣を行う場合、あらかじめ労働者にその旨を明示する必要があります。また、すでに一般派遣として派遣している労働者を紹介予定派遣に切り替える場合も、本人への明示が必要です。

紹介予定派遣の詳細は、以下のページをご覧ください。

紹介予定派遣制度
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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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