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就業規則の周知義務と周知方法

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

使用者には、就業規則を周知する義務がありますが、なぜこのような義務を負うのでしょうか?また、周知とは具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか?

今回は、周知の方法や周知しなかった場合の罰則等、就業規則の周知義務についてまとめてみました。

労働基準法上の就業規則周知義務

就業規則は、労働時間や賃金、休暇等、働くうえで重要な労働条件について規定するものですから、労働者に周知されて初めて効力が発生します。そのため、使用者には、就業規則を周知する義務が課せられています(労基法106条1項)。これは、労働者が必要に応じて就業規則の内容を確認できるようにする義務と言い換えることができます。

また、就業規則を変更した場合も同様に、変更後の就業規則について周知する必要があります

周知義務違反した場合

就業規則の周知義務に違反した場合、管轄の労働基準監督署から、指導・是正勧告を受けることがあります。また、違反行為が悪質である場合は、30万円以下の罰金を科されるおそれもあります(労基法120条)。

また、周知されていない就業規則は無効とされます。もっとも、労働基準法106条等で定める方法によって「周知」されていなくとも、労働者の大半が就業規則の内容を知っている、または知り得る状態に置かれていていたのであれば、実質的に周知されていたとして、就業規則の効力は認められると考えられています(東京地方裁判所 平成18年1月25日判決、日音退職金請求事件)。

就業規則の効力発生要件

就業規則の効力を正しく発生させるためには、①絶対的必要記載事項を漏らさず記載し、②その内容について労働者の代表から意見聴取を行い、かつ、③労働者に対して就業規則を周知しなければなりません。それぞれの要件の詳細については、下記の各記事で説明しています。

就業規則について
労働者の意見聴取

なお、管轄の労働基準監督署への届出がなくとも、就業規則の効力は発生すると解されていますが、濫用の危険を考えると、届出も要件のひとつと考えるべきでしょう。この点、下記の記事も併せてご確認ください。

就業規則の作成・届け出義務について

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就業規則の周知方法

就業規則の周知方法として、労働基準法106条1項及び労働基準法施行規則52条の2は、次の3つを挙げています。

  • ① 就業規則を常時確認できる状態にすること
  • ② 書面で交付すること
  • ③ デジタルデータとして記録し、共有すること

次項より、それぞれの方法について解説していきます。

常時確認できる状態にする

常時確認できる状態にするとは、各事業場の休憩スペース等、その事業場に所属する労働者が誰でも閲覧できる場所に掲示する、または備え付ける等して、労働者が常時就業規則を確認できる状態にする方法をいいます。複数の支店や店舗を有している等、事業場が複数ある場合は、それぞれの事業場ごとに「周知」する必要があります。

ただし、誰でも閲覧できる場所に備え付けられていたとしても、許可がないと閲覧できないような場合は常時確認できる状態にあるとはいえないので、「周知」されたことにはなりません。

書面で交付する

書面で交付するとは、就業規則をコピーしたものを個々の労働者に配布する方法をいいます。

各労働者が必ず確認できるため、親切な方法ではありますが、印刷代や配布コスト等、使用者側に負担の大きい方法です。また、この方法をとる場合、労働者が写しを外部へ持ち出すことも可能になるため、場合によっては外部への持ち出しを制限する等の対応が必要になります。

データを共有する

データを共有するとは、パソコン等でデジタルデータとして記録し、当該データにアクセスできる機器を各事業場に備え付ける等して、労働者がいつでもアクセスして閲覧できるようにする方法をいいます。社内サーバーがある会社にお勧めできる方法で、近年多くみられるようになってきた周知方法です。

ただし、書面を交付する方法と同様に、労働者が外部へ持ち出すことが可能になるため、外部に情報を漏らしたくない場合等には、データにダウンロード制限や印刷制限をかけるといった対応が必要になるでしょう。

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労働契約法上の「周知」

労使間で詳細な労働条件を定めずに労働契約を締結した場合に、就業規則に内容を補充することを認める「労働契約法7条」、及び労働者の合意のない就業規則の不利益変更を認める「労働契約法10条」は、どちらも「就業規則の周知」をその要件としています。

労働基準法106条にいう「周知」の方法は3つに限られていましたが、労働契約法の場合も限定されるのでしょうか?

この点、労働契約法7条及び10条にいう「周知」は、労働基準法106条のように限定されず、実質的に判断されると解されています(平成20年1月23日基発0123004号)。この点、「実質的な周知」の基準として、労働者の大半が就業規則の内容を知っている、又は知り得る状態に置かれていれば足りるという判断を示した裁判例があります(東京地方裁判所 平成18年1月25日判決、日音退職金請求事件)。

派遣労働者への周知

派遣労働者に対しては、派遣元の就業規則が適用されるため、派遣元の使用者が就業規則の周知義務を負います。

派遣労働者は、通常は派遣先の職場で働いており、派遣元の事業場に立ち寄ることは少ないので、使用者としては、個々に就業規則を配布するか、就業規則をデジタルデータにして、常時派遣労働者がアクセスできるようにするといった対応をとることが望まれます。また、特に重要な事項を抜き出し、抜粋版を作成すること等も検討すると良いでしょう。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

派遣労働

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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