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高年齢者雇用安定法における継続雇用制度について

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

高齢者を労働に参画させようとする社会的な機運の高まりから、事業主にも、高齢者を労働力として積極的に活用するための社内ルールの改革が求められるようになりました。その改革のうちのひとつに、「65歳までの継続雇用制度の導入」というものがあります。

今回は、継続雇用制度の概要から社内ルールとして導入する際の注意点まで、ポイントを押さえながら解説していきます。高年齢者雇用安定法の改正にあたり、就業規則等の見直しをされる際に参考にしていただければ幸いです。

65歳までの継続雇用制度について

65歳までの継続雇用制度とは、定年年齢に達した労働者で希望する者を、引き続き65歳まで雇用する制度で、高年齢者雇用安定法9条にいう「高齢者雇用確保措置」のひとつでもあります。

継続雇用制度は、再雇用制度と勤務延長制度の2種類に分けられます。それぞれの詳細については後述します。

また、定年制度について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

定年

高年齢者雇用安定法の改正

年金受給年齢の引き上げや労働生産年齢人口の減少といった理由から、主に高齢の労働者の雇用に関して規定する「高年齢者雇用安定法」の改正が行われてきた結果、定年年齢を65歳未満に定めている事業主に対して、雇用する高年齢者(55歳以上)の65歳までの安定した雇用を確保するべく、高年齢者雇用確保措置の実施が義務づけられることになりました(高年法9条)。詳しくは下記の記事をご覧ください。

高齢者雇用

高年齢者雇用確保措置とは、次の①~③の措置をいい、対象となる事業主はいずれかひとつでも実施すれば良いとされます。

  • ①65歳までの定年の引き上げ
  • ②65歳までの継続雇用制度の導入
  • ③定年の廃止

継続雇用制度の種類

継続雇用制度には、再雇用制度と勤務延長制度の2種類があります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか?次項より説明します。

再雇用制度

再雇用制度とは、対象となる労働者が定年を迎えた段階でいったん退職扱いにした後、再度会社に雇い入れる制度をいいます。

退職扱いにした時点で正社員としての身分を失わせることになるので、嘱託社員やパートタイマー、アルバイト、契約社員等に雇用形態を変更して再雇用することが可能です。また、新たに雇用契約を結び直すことになるので、勤務条件等を見直すことができ、それに伴ってある程度賃金を減額することができます。

再雇用制度は、人件費の削減になる点が着目され、多くの企業で導入されていますが、定年を迎えていることや有期雇用労働者であることを理由に、定年前と同程度の負担が生じる職務内容であるにもかかわらず不合理に賃金を減額して雇用することは、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パートタイム・有期雇用労働法」といいます。)8条違反として許されないと考えられます。この規定に違反した場合、当該労働条件の定めは無効になり、また、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟で請求が認容されるおそれがあります(平成24年8月10日基発810第2号)。なお、従前は、労働契約法20条違反として無効となっていましたが、同条は平成30年の労働契約法改正に伴い削除されました。

再雇用制度では、定年を迎えていったん退職したタイミングで退職金を支給することになります。

勤務延長制度

勤務延長制度とは、定年年齢を設定しているものの、定年を迎えた労働者を退職させず、そのままの雇用形態で雇用を継続する制度をいい、実質的な定年の延長にあたります。高度の専門性や熟練技能が必要な仕事、勤務条件に特殊性がある仕事等、当該労働者が定年で退職すると簡単には欠員を補充できず、業務の遂行に重大な障害が生じる場合を想定して設けられた制度です。

従来の勤務の延長であるため、原則として、労働条件(役職や職務、職務内容、賃金水準等)を変更することは難しいと考えられます。

また、再雇用制度とは異なり、退職金は、勤務の延長期間が終了して退職したタイミングで支給することになります。

継続雇用を拒否することはできるのか?

改正後の高年齢者雇用安定法が2013年4月1日に施行されたことにより、事業主には、定年を迎えた労働者のうち、継続勤務を希望する者を雇用し続ける義務が課されることになりました。

なお、就業規則に定める解雇事由、または年齢にかかるものを除いた退職事由に該当する労働者については、例外的に継続雇用しないこともできます(平成24年11月9日厚生労働省告示560号、以下「改正高年法指針」とします)。ただし、解雇事由や退職事由への該当を理由に継続雇用しない場合には、客観的かつ合理的な理由と、継続雇用しないことが社会通念上相当であると認められる事情の存在が必要であるとして、例外が許される場面を極めて限定しています。

具体的に、どのような場合に継続雇用しないことが許されるかについては、下記記事をご参照ください。

解雇事由
退職事由

なお、改正高年法指針は、継続雇用制度の対象者を選別する基準として、解雇事由または退職事由と同一の事由を定めながら、就業規則と異なる運営基準を設けることについては、高年齢者雇用安定法の趣旨に反し、違法となる可能性を示唆しています。

さらに、当該改正法の施行にあたり、経過措置をとることも認めています。詳しくはこちらをご覧ください。

継続雇用制度の経過措置

継続雇用制度の対象者

改正された高年齢者雇用安定法の施行によって、継続雇用制度について、希望者全員を対象とすることが義務づけられました。もっとも、極めて限定的ではあるものの例外は認められており、経過措置として、対象者の年齢を限定することも許されます(ただし、段階的に引き上げなければなりません)。

では、正社員以外にも当該制度は適用されるのでしょうか?次項で解説します。

パートタイマーや派遣労働者の場合

改正後の高年齢者雇用安定法が導入を求める継続雇用制度は、事業主が直接雇用する、期間の定めのない労働者を主要な対象とするものです。したがって、有期雇用労働者であるパートタイマーや、そもそも直接的な雇用関係のない派遣労働者には、原則として継続雇用制度は適用されません。

もっとも、同一の事業所に5年以上継続して雇用され、無期転換ルールが適用された労働者(いわゆる無期契約社員)は、期間の定めのない労働者であるため、継続雇用制度が適用される余地があります。

また、65歳未満のある一定の年齢に達した日以後は契約しない旨の定めのある有期雇用労働者で、反復継続して契約を更新することが前提となっているときには、期間の定めのない雇用かつ定年年齢が65歳未満で定められているものとみなされます。このような場合にも、継続雇用制度をはじめとする、高年齢者雇用確保措置を講じることが望ましいと考えられています。

60歳に達する労働者がいない場合

労働者の年齢が比較的若い等、当分の間60歳に達する労働者がいない場合でも、継続雇用制度を導入する等、高年齢者雇用確保措置を実施しなければなりません。なぜなら、改正後の高年齢者雇用安定法は、定年年齢を65歳未満に定めているすべての事業主に対して、高年齢者雇用確保措置を講じることを義務づけているからです。

継続雇用制度の経過措置

改正後の高年齢者雇用安定法は、老齢厚生年金(以下、「年金」とします)の支給開始年齢が段階的に引き上げられることを考慮して、継続雇用制度の対象者を、年金の支給開始年齢以上の者とする基準を設けることを認めています。これを経過措置といいます。

この経過措置は、改正法が施行されるまで(2013年3月31日まで)に、労使協定によって継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主を対象として、当該制度の対象を希望者全員とするために企業内の制度を整備していく必要性を考慮して設けられたものです。

経過措置について以下の図表にまとめましたので、併せてご覧ください。

経過措置
経過措置

経過措置による就業規則の改定

経過措置の適用対象となるのは年金支給年齢以上の労働者です。年金支給開始年齢は、2013年以降3年ごとに1歳ずつ引き上げられます。したがって、基準の対象年齢を明確にするためにも、各期間の対象年齢を就業規則で明記するように変更することが必要となります。

定年後再雇用者の労働条件

高年齢者雇用安定法は、継続雇用制度を適用した労働者の労働条件について規定していません。しかし、再雇用後の「給与」や「職務内容」には、定年前の給与・職務内容と一定程度の連続性が求められると考えられます。

まず、再雇用後の給与について、たとえ再雇用の際に有期雇用社員となったとしても、雇用形態が変わったことだけを理由に、正社員時の待遇と比べて不合理な差を設けることは禁止されます(パートタイム・有期雇用労働法8条)。ただし、再雇用制度の場合、職務内容が正社員時と同様であっても、対象者に年金が支給される場合があること等を考慮し、正社員時よりもある程度賃金を減額することは合法とされます。例として、手当の一部を支給しないことを合法とした、長澤運輸事件最高裁判決(後述します)が挙げられます。

なお、正社員時と比べて職務の負担や責任の程度が小さい場合に減給する等、職務内容に応じて給与を設定、または手当を不支給にすることは問題ありません。

仕事内容を変更する際の注意点

再雇用の際に、定年前とは異なる職務内容に従事させること自体は問題ありません。しかし、まったく別の職種にすることは、原則として許されません。

例えば、定年前は事務職であった労働者について、再雇用の際に、至って初歩的な清掃業務に従事するよう求めた事案(名古屋高等裁判所 平成28年9月28日判決)がありますが、裁判で違法と判断され、損害賠償が命じられました。詳細については後述します。

労働条件の合意が得られない場合

労働条件について労使間で合意に至らず、結果的に継続雇用を断念した場合にも法令違反となるのか、ご不安な方もいらっしゃるかと思います。

この点、法は事業主に対して「継続雇用制度の導入」を求めてはいるものの、定年退職者の希望する条件をすべて受け入れることまでは義務としていません。よって、事業主が合理的な裁量の範囲内で労働条件を設定した場合には、定年退職者が納得せず、結果的に継続して雇用されることを拒否したとしても、法令違反であるとは判断されません。

一方で、労働者に「雇用されることを諦めさせる」ような労働条件を提示することは、合理的な裁量の範囲内とはいえず、法令違反になると考えられるでしょう。

再雇用後の労働条件にまつわる裁判例

ここで、再雇用後の労働条件について争った裁判例を、問題となった労働条件別にご紹介します。

再雇用後の賃金について問題となった判例

【最高裁 平成30年6月1日第2小法廷判決、長澤運輸事件・上告審】

事案の概要

Y社(被上告人)を定年退職した後、有期労働契約を締結したXら(上告人ら、以下、「嘱託社員」とします)が、嘱託社員と無期労働契約を締結している労働者(以下、「正社員」とします)との間に、労働契約法20条(現在のパートタイム・有期雇用労働法8条、以下同様)に違反する労働条件の相違があると主張し、主位的請求として、①正社員に関する就業規則等が適用される労働契約上の地位にあることの確認、および②労働契約に基づき、正社員に支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額等を求め、予備的請求として、不法行為に基づき、上述の差額相当の損害賠償請求を求めた事案です。

裁判所の判断

まず、最高裁 平成30年6月1日第2小法廷判決(ハマキョウレックス事件)を引用し、労働契約法20条について、「有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情(以下「職務の内容等」という。)を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解される」としました。

この点、本事案における嘱託社員と正社員には、業務の内容および当該業務に伴う責任の程度等に差はなく、職務の内容および配置の変更において相違はありません。そこで、労働条件の相違の合理性を判断するに際して、嘱託社員が定年退職後に再雇用された者であることを「その他の事情」として、以下のように考えました。なお、合理性の判断にあたっては、賃金の総額を比較するだけでなく、当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものであるとし、項目別に判断しています。

・能率給・職務給、住宅手当・家族手当、役付手当、賞与を支給しないことについて⇒不合理ではない

Yは、嘱託社員について、正社員と異なる賃金体系を採用するにあたり、基本賃金の額を定年退職時の基本給の水準以上とすることにより収入の安定に配慮するとともに、歩合給に係る係数を能率給より高く設定することにより労務の成果が賃金に反映されやすくなるように工夫していました。また、嘱託社員には、福利厚生や生活保障の趣旨で支給される住宅手当・家族手当や、労務対価の後払い、功労報償等の趣旨で支給される賞与の支給はされないものの、嘱託社員は正社員として勤続した後に定年退職した者であり、年金の支給を受けることが予定され、支給が開始されるまではYから調整給を支給されることになっていました。こうした事情を総合的に考慮した結果、嘱託社員と正社員との当該労働条件の相違については、労働契約法20条に違反する不合理なものということはできないと判断しました。

・精勤手当・超勤手当について⇒不合理である

嘱託社員と正社員の職務の内容が同じである以上、皆勤を奨励する必要性に差異はないというべきであり、歩合給および能率給にかかる係数が異なるからといって、嘱託社員に精勤手当を支給しないことは不合理でないとはいえないと判断しました。そのうえで、超勤手当について、正社員の超勤手当の計算の基礎には精勤手当が含まれるにもかかわらず、嘱託社員の時間外手当の計算の基礎には含まれないという労働条件の相違は不合理であるとして、精勤手当・超勤手当に関する労働条件の相違は、労働契約法20条に違反する不合理と認められるものに当たると解しました。

・結論

諸般の事情を考慮し、主位的請求(①②)を退けました。そのうえで、予備的請求について、精勤手当を支給せず、超勤手当の計算にあたり精勤手当を含めないことは、労働契約法20条に違反するものであり、Yにはかかる違法な取扱いをした過失があったというべきであるから、かかる取扱いによってXらが被った損害について、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと認め、損害の有無や額についてさらに審理を尽くさせるために一部原審に差し戻しました。

再雇用後の職務内容について問題となった裁判例

【名古屋高等裁判所 平成28年9月28日判決、トヨタ自動車事件】

事案の概要

Y社(被控訴人)に事務職として勤務していたX(控訴人)は、定年年齢である60歳に達するに際して、Yから、定年退職後に再雇用する場合の労働条件として、パートタイマー(雇用期間1年、時給1000円、主な業務はシュレッダー機のゴミ袋交換および清掃をはじめとする清掃業務)としての条件を提示されました。Xがこれを拒否したところ、Yが再雇用を拒否したため、かかる会社の対応は違法であると考えたXが損害賠償を請求した事案です。

裁判所の判断

まず、「無年金・無収入の期間の発生を防ぐ」という改正後の高年齢者雇用安定法の趣旨を考慮し、労使協定で定めた基準を満たさないため61歳以降の継続雇用が認められない労働者にも、60歳から61歳までの1年間は全員に継続雇用の機会を適正に与えるべきであり、その際に提示する労働条件に関しては事業者に一定の裁量があるとしても、同法の趣旨に照らして給与水準があまりに低額であったり、社会通念に照らして当該労働者にとって到底受け入れられないような職務内容を提示したりすることは、実質的に継続雇用の機会を与えたとは認められないという基準を示しました。

本件では、給与の支給見込額については、年金の約85%の収入が得られるため、同法の趣旨に照らしてあまりに低額な給与水準であるとはいえませんでした。

しかし、本件で事技職として雇用されていたXが提示された業務内容は、単純労務職としての業務でした。同法の趣旨からすると、YがXに対して、定年前と異なる業務内容を提示することは当然に許されるものの、まったく別個の職種に属する等、性質の異なったものを提示することは、もはや通常解雇と新規採用の複合行為であり、継続雇用の実質を欠くといえます。そのため、従前の職種全般について適格性を欠く等、通常解雇を相当とする事情がない限り、そのような業務内容を提示することは許されないと考えました。

この点、YはXの従前の業務遂行状況に問題がある旨の主張をしましたが、それを考慮しても、Yの提示した業務内容は、社会通念に照らして労働者にとって到底受け入れられないようなものであり、実質的に継続雇用の機会を与えたとは認められないと判断しました。そして、Yの上記対応は、改正法の趣旨に明らかに反する違法なものであり、雇用契約上の債務不履行に当たるとともに不法行為とも評価できるとして損害賠償責任を認め、127万1500円の支払いを命じました。

再雇用者の年次有給休暇の取扱い

再雇用制度では、いったん退職して雇用契約が終了するため、勤続年数の計算もその時点でリセットされ、退職時点で未消化だった年次有給休暇(以下、「有休」とします)もなくなると思われている方も多いのではないでしょうか。

しかし、契約上再雇用という形式をとっていても、実質的には契約が継続しています。そのため、定年前と後の勤続年数が通算され、その年数に応じた有休が付与されることになります。また、退職時点で未消化だった有給は、再雇用後にも引き継がれます。

有休の付与日数の計算等、詳しくは下記の記事をご覧ください。

年次有給休暇の基礎知識

再雇用後の社会保険料について

社会保険料は給与に応じて金額が増減します。しかし、再雇用によって大幅に減額した場合、再雇用後の給与に応じて標準報酬月額が改定する4ヶ月後までは、従前の社会保険料を支払い続けなければならないため、問題が生じます。

このような事態を防ぐための手段として、「同日得喪(どうじつとくそう)」の手続きを行うことが挙げられます。これは、労使間の雇用関係がいったん中断したものとして扱い、間を開けずに雇用契約を継続し直す手続きです。同日得喪手続きを行うことにより、再雇用された月(給与が変更された月)から、社会保険料の金額が変更後の給与に応じたものになります。

同日得喪の手続きをする際には、以下の書類を届出書(社会保険被保険者資格の喪失・取得届)に添付し、いったん契約が終了して再雇用することを証明します。

  • ・契約終了を証明:就業規則や退職辞令のコピー等(定年規定や退職日が記載されたもの)
  • ・再雇用を証明:再雇用の際の雇用契約書のコピー等(事業主印があるもの)
  • ・従前の保険証

なお、社会保険の被保険者資格が継続するためには、再雇用後の労働条件が次の基準を満たす必要があります。

再雇用後の1週間の所定労働時間、および1ヶ月の所定労働日数が、同一の事業所で働く通常の社員と比較して4分の1以上

有期労働契約の無期転換ルールへの対策

同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えた労働者から、無期労働契約の申込みを受けた当該使用者は、この申込みを承諾したものとみなされます(労契法18条)。これを無期転換ルールといいます。

同法の要件をみると、再雇用制度によって有期労働契約を締結した高齢の労働者にも、無期転換ルールが適用されるように思われます。つまり、60歳を定年とし、定年後、契約期間を1年とする有期労働契約を締結する再雇用制度を導入している企業では、65歳以降も契約を継続する場合に、65~66歳で有期労働契約が通算5年を超えるため、労働者から申込みがあれば、66歳以降の契約が無期労働契約になるのではないかという疑問が生まれます。

しかし、このような場合に無期転換ルールが適用されるとすれば、結果として、企業は66歳以降の雇用に消極的になってしまうと考えられます。そのため、今後66歳以上の雇用も促進していきたいと考える政府は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」を制定し、無期転換ルールに例外を設けました。具体的には、定年後に再雇用制度を導入したケースについて、厚生労働大臣に計画書を提出して認定を受けることによって、無期転換権が発生しなくなるとしました。

したがって、無期転換ルールの適用を受けたくない場合には、必ず労働局の認定を受けておく必要があります。

定年後も働く労働者を支援する「高年齢雇用継続給付」

定年後も働き続ける労働者は、「高年齢雇用継続給付」という支援を受けることができます。

高年齢雇用継続給付には、高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金の2種類があり、前者は基本手当を受給せずに雇用を継続する者に対する給付金で、後者は基本手当を受給した後に再就職した者に対する給付金です。下表は、それぞれの対象者や支給期間をまとめたものです。

なお、基本手当とは、失業後の生活や求職活動のための給付金です。

高年齢雇用継続給付

継続雇用制度を実施した企業への助成金

行政は、継続雇用制度を実施した事業主に対して、助成金を支給しています。受け取ることができる助成金は、「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用管理コース」「高年齢者無期雇用転換コース」等、継続雇用の実態に応じて異なるので、詳細については下記の記事をご覧ください。

高齢者雇用
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