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外国人研修・技能実習生について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

外国人技能実習制度は、単純労働のための就労ではなく、日本での就労を通じて外国人に技能を身につけてもらい、開発途上国などへの技術移転を推進することを目的とした制度です。この外国人技能実習制度のもと、日本で研修する外国人が研修生、就労する外国人が技能実習生です。

このページでは、外国人技能実習制度によって事業場で外国人研修生・技能実習生を受け入れるために、事業主が知っておくべきことについて解説します。

技能実習法の概要

「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下、技能実習法)3条1項では、技能実習は、技能を正しく修得し習熟できるよう、また、技能実習生が実習に専念できるよう、整えられた環境で行われなければならないと定められています。

技能実習の基本理念は、外国人に日本の技術や技能を修得してもらうこと等であり、受け入れる企業は、その環境を整えなければなりません。

人手不足を補う労働力ではない

技能実習法3条2項では、技能実習は『労働力の需給の調整の手段として行われてはならない』としています。そのため、「人手不足だから外国人技能実習生を受け入れよう」というように技能実習生を受け入れることは、制度の趣旨に沿ったものとはいえません。

技能実習生の在留資格

技能実習生は「技能実習」の在留資格のもと日本で就労しますが、技能実習の受入れ方式や入国してからの年数に応じて、在留資格の区分が変化します。

また、2019年の入管法改正によって、在留資格「特定技能」が創設されました。「特定技能」は、人手不足が問題となっている産業分野の即戦力として期待される人材を雇用するための在留資格ですが、相当程度の知識または経験を必要とする技能を持ち、一定の水準の技能検定や日本語能力試験に合格することが要求されます。ただし、技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、同業種の分野に限り特定技能1号へ在留資格を移行することが可能です(「技能検定」と「日本語能力試験」が免除されます)。

外国人技能実習制度について

一口に「外国人技能実習制度」といっても、技能実習生の実習の年数や受入れ方式によって在留資格が異なります。技能修得の段階や受入れ方式の区別とともに、外国人技能実習制度について、以下で解説します。

在留資格「技能実習」

在留資格「技能実習」は、実習の年数・段階に応じて1号から3号までに区分けされています。在留カードにも、「技能実習1号」、「技能実習2号」、「技能実習3号」のように記載されます。

技能実習1号は最初の1年目として、日本語や日本の生活習慣、法令などを学ぶ講習(2ヶ月)と、受入れ企業と雇用関係を結んで技能取得を行う実習が行われ、修了に際して技能検定基礎2級等の検定試験が課せられます。

技能実習2号では、1号で習得した技能に熟達するために、雇用契約に基づき、修得した技能等を要する業務に最長で2年間従事することになります。修了に際して、技能検定随時3級相当の実技試験が課せられます。

さらに、技能実習2号を修了したら、その実習生は一度帰国したうえで、優良と認められた企業において技能実習3号として2年間技能実習の活動に従事することができます。

つまり、技能実習生は最長で5年間、日本で技能実習を行うことができます。

改正入管法における在留資格

在留資格「研修」は、『本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動』とされています。

在留資格「技能実習」と似た印象がありますが、私企業が外国人を招へいして研修活動を実施する場合は、原則として実務研修を伴わない非実務研修しか認められていません。つまり、企業の工場で実際に商品を生産することによって生産技能を修得するような活動は、在留資格「研修」ではできないことになります(ただし、私企業ではなく国、地方公共団体の機関又は独立行政法人が実施する研修事業の場合は実務研修が可能です)。

また、「技能実習」と異なり、「研修」では受入れ先の企業と雇用関係を結ぶことはできず、賃金も発生しません(研修手当を支給することはできます)。

外国人技能実習制度の受入れ方式

技能実習法は、その受入れ方式を「企業単独型」と「団体監理型」に区別しています。
企業単独型技能実習については、技能実習法2条で以下のように定義されています。

技能実習法
第2条2項1号

第一号企業単独型技能実習(本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人(入管法第二条第二号に規定する外国人をいう。以下同じ。)又は本邦の公私の機関と主務省令で定める密接な関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人が、技能等を修得するため、在留資格(入管法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号イに係るものに限る。)をもって、これらの本邦の公私の機関により受け入れられて必要な講習を受けること及び当該機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等に係る業務に従事することをいう。以下同じ。)

日本の企業が、海外の支店や現地の法人、取引企業に所属しており、「技能実習」の在留資格を所持している外国人を招へいして実習を行うケースは、企業単独型技能実習になります。また、上に引用したのは技能実習1号についてのものですが、2号、3号でも同様の規定があります。

一方、団体監理型技能実習については、以下のように定義されています。

技能実習法
第2条4項1号

第一号団体監理型技能実習(外国人が、技能等を修得するため、在留資格(入管法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに係るものに限る。)をもって、本邦の営利を目的としない法人により受け入れられて必要な講習を受けること及び当該法人による実習監理を受ける本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所において当該技能等に係る業務に従事することをいう。以下同じ。)

つまり、海外の送り出し機関と協定を結んでいる非営利団体(商工会、事業協同組合等)に、日本の企業が技能実習生を受け入れる申込みをし、送り出し機関が選考した外国人を紹介するものです。企業単独型技能実習では海外に拠点があることが前提となりますが、団体監理型技能実習では、海外に拠点がなくとも、許可を受けた監理団体から実習生の受入れが可能です。

技能実習生の労働関連法規

外国人労働者にも、日本人の労働者と同様に労働契約法や労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法が適用されます。技能実習生も企業と雇用関係にある以上、これらの労働関連法規が適用されることになります。

技能実習生に適用される労働関連法規に関しては以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

外国人雇用の労働関係法規・社会保険の適用に関する法律上の定め

技能実習法による技能実習生の保護

技能実習法2章3節及び4節では、技能実習生を保護するために、受入れ機関に対して禁止事項を定めています。

具体的には、監理者による実習の強制や外出制限、在留カードの保管、預貯金を管理する契約などが禁止されています。これらの禁止事項に違反した場合、懲役刑や罰金に処せられるおそれもあります。受入れ先企業と監理者は、技能実習生に対する人権侵害や強制をしてはなりません。

以下で、技能実習生に対する禁止事項について解説します。

禁止事項

技能実習の強制

技能実習法46条では、実習監理を行う者等が、暴行、脅迫、監禁等で不当に拘束することによって、技能実習生の意思に反して実習を強制してはならないと規定しています。違反した場合、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300 万円以下の罰金に処せられます。

損害賠償予定

技能実習法47条では、実習監理者等が、技能実習生やその配偶者、親族等と、契約不履行の違約金を求める契約や、技能実習で生じた損害の賠償を実習生に請求する契約を結ぶことを禁じています。違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

貯蓄・貯金管理

技能実習法47条2項では、実習監理者等が、労働契約を締結する条件として、賃金の一部または全部を貯金するように実習生に強制したり、技能実習生の銀行口座の通帳を企業が管理したりするなどの行為を禁じています。これに違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

在留カードの保管

技能実習法48条1項では、逃亡の防止などを目的として、技能実習生の意思に反し、パスポートや在留カードを企業が保管することを禁じています。これに違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

外出制限

技能実習法48条2項では、技能実習生に対して、解雇、制裁金などの財産上の不利益を示して、外出を制限したり、私生活の自由を不当に制限したりする行為を禁じています。これに違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

通報・申告を理由とした不利益な取扱い

技能実習法49条1項では、実習実施者や監理団体、その職員に、技能実習法に違反する行為があった場合、技能実習生がその旨を主務大臣に訴えることができるとしています。また、49条2項では、申告があったことを理由に、技能実習生を解雇したり減給したりするなど、不利益取扱いをすることを禁じています。違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

技能実習生に対する適切な待遇

技能実習法9条9号では、技能実習計画の認定にあたって、『技能実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることその他技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していること』と定められています。ここでの待遇は、宿泊施設の確保なども含まれています。

技能実習計画や実施者の役割については以下で解説します。

実習実施者による役割

受け入れた技能実習生ごとに、監理団体の指導に基づいて技能実習計画を策定し、技能実習の実施と技能実習生の保護に責任を負うのが実習実施者としての受入れ先企業の役割です。

以下では、実習実施者の役割について説明します。

技能実習計画の認定

実習実施者は、技能実習生ひとりひとりについて実習計画を策定し、外国人技能実習機構の認定を受けたうえで技能実習を実施します。技能実習計画に記載する内容、添付する資料は、技能実習法とその他関連法令に定められています。

実習実施者の届出

技能実習を開始する際、実習実施者は実習実施者届出書を外国人技能実習機構に届け出なければなりません。受理された後、実習実施者届出受理書が発行されます。技能実習計画認定の際、受理書に記された実習実施者届出受理番号を記載します。

帳簿書類の管理

実習実施者は、技能実習計画に関する以下の帳簿書類を作成して保管する義務があります。保管期間は、帳簿書類のもととなる技能実習が終了した日から1年とされています。

  • 技能実習生の管理簿(名簿・履歴書・雇用条件書・雇用契約書・賃金台帳・出勤簿など待遇に関わるもの)
  • 計画認定の履行状況に関わる管理簿
  • 技能実習生に従事させた業務及び技能実習生に対する指導の内容を記録した日誌
  • その他特定の職種の場合、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める書類

技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の選任

実習実施者は、実習を行う事業場ごとに、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任しなければなりません。

技能実習責任者は、実習計画全体の進捗を管理し、技能実習指導員・生活指導員の監督も担います。3年以内に技能実習責任者養成講習を受講した、常勤の役職員から選任されます。

技能実習指導員は、実習の公正な実施のため、実習を指導し、技能実習日誌に進捗状況を記述します。常勤の職員で、実習する職種で5年以上の経験がある者から選任されます。

生活指導員は、実習生の相談に乗る等のサポートを行い、環境を整え、生活面での管理・指導を担う者で、事業場の常勤職員から選任されます。

修得した技能等の評価

実習実施者は、実習生が修得した技能等の評価を行います。

評価は、技能実習1号~3号で、それぞれ目標を設定し、技能検定または技能実習評価試験によって行います。1号から2号への移行では、学科試験・実技試験により、技能検定基礎級相当の合格が必要となります。同様に、2号から3号への移行では技能検定随時3級相当の合格、3号を修了する際には技能検定随時2級相当の合格が必要となります。

養成講習の定期受講

技能実習責任者は3年ごとに技能実習責任者養成講習を受講し、技能実習の管理についての知識を維持する必要があります。

技能実習指導員・生活指導員の講習の受講は任意ですが、これらの講習を受講した記録は優良基準適合者に認定されるための評価に反映されます。外国人技能実習機構により実習実施者が優良であると認定されると、実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大といった点で、制度上、優遇される場合があります。

受入れにあたっての留意点

労働基準法や就業規則の遵守

労働基準法などの労働関連法規は技能実習生にも平等に適用されます。そのため、技能実習生に対しても、日本人労働者と同じく、労働条件を提示しなければなりません。さらに、法定労働時間を超えて労働させたり、法定休日に労働させたりするには36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

また、賃金についても、同一労働同一賃金の原則に基づいて日本人労働者と同等以上の賃金を支払う必要があります。税金、社会保険料のほか寮費や食費を賃金から控除することは可能ですが、実費を超えてはならず、帰国費用や技能実習の監理に要する費用を負担させることは禁止されています。

なお、技能実習生を含め労働者を常時 10 人以上使用している場合は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。就業規則を変更した際にも、届出が必要です。

外国人労働者の最低賃金制度について、また、就業規則に関しては、以下で解説していますのでご参照ください。

国籍による労働条件差別の禁止 | 最低賃金制度の適用
国籍による労働条件差別の禁止 | 就業規則

実習時間の割合

技能実習計画を策定する際には、実習生が行うことになる業務を、必須業務、関連業務、周辺業務に分け、それぞれ規定された割合になるように分配します。

必須業務は、技能修得のための本来の業務で、実習時間の半分以上でなければなりません。
関連業務は、必須業務に関連し、かつ技能等の向上に繋がるものであり、実習時間の半分以下でなければなりません。
周辺業務も必須業務に関連するもので、実習時間の3分の1以下に設定します。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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