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紹介予定派遣制度について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

人材獲得の手段として、人材派遣会社から派遣社員の雇用を考える企業も多いと思います。人材派遣の制度にも複数の形態がありますが、そのなかでも紹介予定派遣制度はほかの制度といくつかの点で著しい違いがあり、利用にあたって注意すべき点もあります。紹介予定派遣制度のメリット、デメリットも含め、このページでは紹介予定派遣制度について詳しく解説します。

紹介予定派遣制度の概要

紹介予定派遣制度は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、労派遣法)2条4号に、以下のように定められている労働者派遣の特別な形態です。

労働者派遣法
(用語の意義)第2条
4 紹介予定派遣 労働者派遣のうち、第五条第一項の許可を受けた者(以下「派遣元事業主」という。)が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受ける者(第三章第四節を除き、以下「派遣先」という。)について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含むものとする。

つまり、派遣期間終了後に派遣先会社がその労働者を直接雇用することを前提に、派遣元会社が派遣労働者を派遣先会社に紹介するか、あるいは派遣開始後に雇い入れることを予定する(雇入れの内定も含む)のが、紹介予定派遣ということになります。

直接雇用といっても、無期契約、いわゆるフルタイムの“正社員”として雇用しなければならないわけではなく、契約社員やパートタイム労働者であっても、派遣先会社と労働者の間で雇用契約が結ばれれば、直接雇い入れたことになります。また、紹介を受けても派遣先に雇入れの義務が生じるわけではなく、結果として雇用しなかったということもあり得ます。

いわゆる一般派遣とは異なり、人材派遣と人材紹介の両方の特徴を併せ持っているのが紹介予定派遣といえます。

なお、派遣労働の概要については以下のページで解説していますので、ぜひご一読ください。

派遣労働|派遣の仕組みとメリット・デメリット

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一般派遣との相違点

一般派遣と紹介予定派遣の違いは、派遣期間終了後にその労働者を直接雇用することを前提にしているかどうかにあります。そのため、紹介予定派遣の場合には、一般派遣とは異なる扱いをすることが可能な部分があります。以下で、詳しく解説します。

派遣契約期間

一般派遣との最も大きな違いは、派遣契約期間です。通常の派遣期間が最長3年以内とされているのに対し、紹介予定派遣の派遣期間は最長6ヶ月と短くなっています。これは、紹介予定派遣の派遣期間が、直接雇用のための、いわば「試用期間」として捉えられているためです。なお、合計して6ヶ月以内に収まっていればいいため、3ヶ月の派遣期間をもう3ヶ月延長することなどは可能です。

派遣可能期間については以下のページで解説していますので、ご参照ください。

派遣の期間制限と派遣禁止業務

採用面接の有無

紹介予定派遣制度では、派遣先会社が、紹介予定派遣労働者の事前面接をすることができます。この事前面接には履歴書を取り寄せることなども含まれています。一般派遣では派遣開始前に派遣労働者を特定することを認めていないので、事前に採用のための面接ができることは紹介予定派遣の大きな特徴のひとつです。

面接を行う場合は、直接雇用のケースと同様、労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法に基づいて、年齢や性別を理由とする差別的な取扱いをしてはならないことに注意する必要があります。また、この面接はあくまでも派遣労働者の業務遂行能力を知るためのものであって、社会通念上、公正と認められる客観的な基準からなされる必要があります。これも直接雇用のケースと同様です。

派遣期間中の直接雇用

紹介予定派遣制度は、派遣期間が終了した後、派遣先会社が派遣労働者を直接雇用することを予定するという制度ですが、紹介予定派遣の場合、派遣の期間中であっても、派遣元会社と労働者の同意が得られれば、直接雇用に切り替えることが可能です。

これに対して、一般派遣である場合、直接雇用にしたい際は、まずは派遣元会社と派遣労働者の雇用関係を解消しなければなりません。つまり、直接雇用に切り替えることを視野に入れるならば、一般派遣よりも紹介予定派遣の方が手続が簡易ということになります。

紹介予定派遣のメリット・デメリット

紹介予定派遣のメリットとデメリットをまとめると、次のようになります。

【メリット】

  • ・採用時のミスマッチが防げる
  • ・事前に面接ができる
  • ・金銭的コストの削減

企業側にとっての紹介予定派遣のメリットは、実際に派遣労働者としてその職場で働いてもらうことによって、社風や業務内容と人材とのあいだのミスマッチを防げることにあります。直接雇用する可能性を前提に働いてもらう人材なので、事前に履歴書を確認したり面接したりすることもできます。これらは一般派遣にはない大きなメリットです。

また、求人媒体に広告を載せ、履歴書をチェックし、面接の日程調整をするといった企業にとって高コストとなる一連の採用プロセスを派遣元会社主導で行いつつ、意欲の高い人材を直接雇用することが可能になります。

【デメリット】

  • ・必ず採用できるとは限らない(※詳細は後述)
  • ・紹介手数料がかかる(※詳細は後述)

ただし、紹介予定派遣は必ずしも企業側にメリットばかりがあるわけではありません。デメリットとしては、企業が自社にマッチしていると判断した派遣労働者であっても、その労働者を必ず採用できるとは限らない点です。派遣期間終了後に企業がその労働者を直接雇用する義務がないのと同様、派遣労働者が直接雇用を辞退することも可能です。せっかく紹介予定派遣から直接雇用に転換しようとしたとしても、辞退されてしまえば水泡に帰してしまうことになります。

また、紹介予定派遣の場合は、派遣元会社に対して派遣手数料だけでなく紹介手数料も支払う必要があります。もとから直接雇用の求人を出す場合や人材紹介会社を利用する場合と比べて、費用対効果の面で有益かどうかを見きわめる必要があるといえるでしょう。

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紹介予定派遣の労働契約

紹介予定派遣として労働者派遣契約を締結する場合、派遣先会社は、業務内容、労働条件などの事項を定めなければなりません(労派遣法26条1項9号)。また、派遣先管理台帳に、紹介予定派遣に関する事項を記載しなければならないという定めもあります(同法42条1項9項)。

労働契約に記載する事項としては、①紹介予定派遣であること、②直接雇用に切り替える場合、それまでに予定される期間の定めの有無、③直接雇用に切り替える場合、有給休暇及び退職金の取扱いに派遣期間を算入するか否か、などが挙げられます。

就業条件の明示

派遣元会社は、上述した労働者派遣契約における就業条件について、派遣労働者に明示しなければなりません(労派遣法34条1項2号)。また、派遣元会社が紹介予定派遣として労働者を雇用する場合、その雇用が紹介予定派遣であることを当人に明示する義務があります(労派遣法32条1項)。

なお、すでに雇用している派遣労働者を紹介予定派遣に切り替える場合、その旨を当人に通知し、同意を得なければなりません(同条2項)。

紹介予定派遣契約の流れ

紹介予定派遣の契約の流れは、以下の通りです。

(1)求人の紹介
紹介予定派遣を扱っている派遣元会社が、労働者に求人の紹介をします。

(2)書類審査・面接
紹介予定派遣の場合、派遣先会社は労働者の履歴書を取り寄せたり、事前面接をしたりすることができます。

(3)紹介予定派遣で就業開始~派遣期間終了
派遣元・派遣先・労働者の間で紹介予定派遣として働くことに合意したら、労働契約を交わして就業開始となります。紹介予定派遣として働く期間は最長6ヶ月ですが、平均して3ヶ月程度での期間とすることが多いようです。

(4)双方の意思確認
派遣期間終了後、派遣先会社と派遣労働者の双方に直接雇用に関する意思確認がなされます。なお、派遣期間中に派遣労働者に対して直接雇用の内定を出すこともできます。

(5)正式採用
直接雇用について双方の意思確認がとれたら、その労働者は派遣先会社に正式採用されて働くことになります。

派遣期間後の採用拒否

紹介予定派遣の契約を結んだ場合であっても、派遣先会社が派遣労働者を必ず直接雇用する義務はありません。派遣期間中の職務遂行能力から不適であると判断した場合は、直接雇用しなくても構わないことになっています。

一方、派遣期間中での仕事への適性の自己評価や職場環境の考慮の結果、労働者側が直接雇用を辞退することもあり得ます。

雇用しない理由の明示

派遣期間が終了しても、紹介予定派遣の労働者を直接雇用に切り替えない場合は、派遣先会社は派遣元会社の求めに応じ、直接雇用しない理由を、書面、ファックス、電子メールのいずれかで明示する義務があります。また、派遣元会社は派遣労働者の求めに応じ、その理由を労働者に対して、同じく書面、ファックス、電子メールのいずれかで明示しなければなりません。

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紹介予定派遣の費用

紹介予定派遣で働く派遣労働者の派遣期間中の賃金は、一般派遣労働者と同様、時間単価×実働時間で算出するのが一般的です。

派遣期間終了後、直接雇用に関する双方の意思が確認されて正式採用となった場合、派遣先会社は派遣元会社に紹介手数料を支払います。手数料率は派遣元会社の規定や派遣期間によって異なりますが、おおむね直接雇用する労働者の年収の20%から30%の間で設定されることが多いようです。

派遣元会社を介さずに派遣労働者を直接雇用する場合、つまり派遣元会社には直接雇用しない旨を伝えたにもかかわらず派遣労働者を直接雇用した場合、紹介手数料逃れとして契約違反になることがあります。

派遣先会社へ向けた助成金

有期労働者、パートタイム労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規労働者を正規労働者として雇用した事業者は、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を受けることができます。紹介予定派遣から直接雇用した場合も助成の対象になり、この場合の主な助成金の支給要件は以下の通りです。

  • ・派遣労働者を正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用する制度を労働協約または就業規則その他これに準じるものに規定している事業主であること
  • ・派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位において6ヶ月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れていた事業主であること(6ヶ月以上の期間継続して派遣就業していた同一の派遣労働者を直接雇用した場合に限ります)
  • ・直接雇用された労働者に対して直接雇用後6ヶ月分の賃金を支給した事業主であること

なお、支給額は事業の規模や正規雇用する前の労働者の契約形態、生産性の向上の有無によって変化します。また、キャリアアップ助成金を受けようとする事業者は、事前にキャリアアップ計画の提出が必要です。まずは都道府県労働局またはハローワークに相談しましょう。

社会保険・税務上の手続

紹介予定派遣として勤務している派遣労働者を直接雇用に切り替えた際は、派遣先会社が当該労働者に関する社会保険や税金に関する手続を行わなければなりません。

社会保険・労働保険は、新規に採用した場合と同じく、資格取得届を作成して届け出ます。

税金に関しては、派遣元会社を「前の勤務先」として源泉徴収票を受け取り、年末調整の際に反映させます。

外国人労働者の紹介予定派遣

外国人を紹介予定派遣で雇用する場合、職種に対応した就労ビザが必要になります。ビザや在留カードの確認などは、派遣元会社、派遣先会社の双方にその責任があります。派遣期間終了後に直接雇用する場合、改めて就労ビザを確認することを忘れないようにしましょう。

また、外国人労働者の所属先が変更になった場合は、「所属機関の変更」を地方出入国在留管理局に届け出なければなりません。紹介予定派遣から直接雇用になった場合も、この「所属機関の変更」にあたりますので、届出が必要になります。これは外国人労働者本人が行う手続ですが、手続に不慣れな場合もありますので、会社側が促すなどの対応をすることが望ましいでしょう。

外国人雇用に関しては、以下のページでその概要を解説しています。ぜひご参照ください。

外国人雇用について

紹介予定派遣における禁止事項

2012年の法改正によって、直接雇用後、1年以内に派遣契約に戻すことは禁止されました(労派遣法40条の9第1項)。例えば、正規職員として直接雇用した派遣労働者を退職させたうえで、改めて派遣会社と契約させ、ふたたび同じ事業者が派遣契約を結ぶことはできません。これは直接雇用していた労働者の賃金や労働条件を、派遣制度を利用して引き下げることを防ぐためです。

また、派遣先会社が正当な理由なく直接雇用を拒否した場合、例えば性的要求拒否を理由とするセクハラ的な拒否の場合等には、損害賠償が請求されるおそれがあります。

派遣労働者の離職後1年以内の再派遣の禁止に関しては、以下のページで解説していますので、ご参照ください。

離職後1年以内の労働者の派遣禁止

試用期間の禁止について

紹介予定派遣で契約していた派遣労働者を直接雇用した場合、その労働者に対して改めて試用期間を設けることは禁止されています。派遣先会社は派遣期間中にその労働者の職務遂行能力について十分判断できるので、試用期間を設ける必要はないとみなされているからです。これに違反して試用期間を設けた場合、行政指導の対象となることがあります。

試用期間に関しては以下のページで詳しく解説していますので、ご参照ください。

試用期間|延長・解雇・期間について

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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