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フレックスタイム制とは|就業規則や勤怠管理の注意点について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

フレックスタイム制は、1987年の労働基準法改正により、1988年4月から導入されました。これにより、柔軟な働き方の選択が可能になりました。
フレックスタイム制は、理想的な運用ができれば生産性の向上につながると考えられますが、知識がなければ運用が難しいため、導入している企業の割合は低下傾向です。

そこで、この記事ではフレックスタイム制の導入を検討なさっている方に向けて、制度の概要や導入によるメリット・デメリット、運用するうえで気をつけるべきポイント等をお伝えします。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、3ヶ月を限度とした一定期間(清算期間)内であらかじめ決めた総労働時間の中で、労働者が毎日の出退勤時間や働く長さを自由に決定することができる制度です。

ただし、通常は、24時間いつでも自由に出退勤できるというわけではなく、企業によってコアタイムが定められている場合には、その範囲内で出退勤することになります。
フレックスタイム制の導入によって、労働者は業務と生活の都合に合わせた柔軟な働き方ができるようになります。

下図のように、コアタイムと呼ばれる時間帯と、フレキシブルタイムと呼ばれる時間帯を設けて運用するのが一般的です。

フレックスタイム制とは

なお、フレックスタイム制と似た変形労働時間制については、以下のページをご参照ください。

変形労働時間制

コアタイム

フレックスタイム制において、1日の中で「この時間は必ず勤務していなければならない」と決められた時間帯のことをコアタイムといいます。このコアタイムを利用して会議やミーティング等を行い、労働者間のコミュニケーション不足の解消や、必要な情報の共有などを図ることが可能です。

ただし、例えば1日の労働時間のほとんどをコアタイムとする等、あまり長時間のコアタイムを定めると、フレックスタイム制を導入しているとは認められないおそれがあることに留意が必要です。

フレックスタイム制に適した企業や職種

フレックスタイム制は、社員が1000人以上いるような大企業で導入しているケースが多いです。また、導入に適した職種としては、次のようなものが挙げられます。

  • 企画職
  • エンジニア職
  • デザイナー職

フレックスタイム制は労働者の足並みを揃えることが難しい働き方ですが、社員の数が多ければ、互いの仕事を補いやすくなります。また、個人の役割が明確な職種であれば、外部からの影響が少なく、1人あるいは少人数で業務を進めることができます。そのため、特にIT業界で導入されることが多いです。

反対に、取引先に都合を合わせなければならない営業職や、営業時間が決まっている接客業等では導入が難しいでしょう。

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制を導入するメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • 残業の軽減
  • ワークライフバランスの実現と生産性の向上
  • 優秀な人材の確保

これらのメリットについて、以下で解説します。

残業の軽減

フレックスタイム制の下では、不要な残業や休日出勤を削減できる可能性があります。

一般的な労働時間制では、たとえ業務が終わっても定時までは退勤できません。しかし、フレックスタイム制が導入されていれば、業務が少ない日は早めに退勤して、業務量が多い日に長めに働くといった効率的な働き方が可能です(結果、無駄な残業が削減されやすくなります。)。

ワークライフバランスの実現と生産性の向上

フレックスタイム制の下では、労働者が自分で出退勤時刻を調整できるため、プライベートな時間を確保しやすくなります。その結果、労働者のワークライフバランスの実現に近づくため、労働者のパフォーマンスや生産性の向上を期待できます。

優秀な人材の確保

フレックスタイム制が導入されている会社は、労働者にとって働きやすいため、離職を抑止し、優秀な人材を定着させる効果が期待できます。
また、労働者を採用するときに、フレックスタイム制を導入していることを会社の魅力としてアピールできます。

そのため、募集されている業務について十分なスキルがあるにもかかわらず、一般的な労働時間では働けない等の事情を抱える労働者も採用することができるので、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制を導入するデメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • 労働者同士のコミュニケーション不足
  • 急な業務に対応できないおそれがある
  • 勤怠管理の負担が増える

これらのデメリットについて、以下で解説します。

労働者同士のコミュニケーション不足

フレックスタイム制のデメリットとして、労働者が顔を合わせる機会が少なくなり、コミュニケーション不足に陥るおそれが挙げられます。その結果、労働者間で信頼関係が低下し、必要な情報共有が行われない等、業務に支障が生じるおそれがあります。

このような状況を防ぐためには、オンラインのコミュニケーションツールを利用する等の対策を講じる必要があるでしょう。

急な業務に対応できないおそれがある

フレックスタイム制のデメリットとして、突発的な会議や緊急の電話等があっても、労働者が応じられないおそれが挙げられます。
例えば、取引先からの問い合わせ時に担当者がまだ出社していない、あるいはすでに帰宅してしまった等の状況が生じることがあるでしょう。

そのため、フレックスタイム制を導入する場合には、取引先等の信頼を損ねないよう、社内でほかの労働者が代わりに対応できるような体制を整備しておく必要があります。

勤怠管理の負担が増える

フレックスタイム制のデメリットとして、勤怠管理が複雑で負担が大きいことが挙げられます。

フレックスタイム制では、労働者ごとに、毎日異なる出退勤時間を管理しなければなりません。また、それぞれの労働者について、労働時間が長すぎないか、短すぎないかを確認し、何か問題があれば個別に対応をする必要があります。

賃金計算を誤り、支払うべき賃金の過不足を生じさせないためにも、労働時間管理をしっかり行うことは非常に重要です。

フレックスタイム制の導入要件

フレックスタイム制を導入するためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  • フレックスタイム制を導入する旨を就業規則等に記載する
  • 労使協定で所定の事項を規定する

なお、上記2つの要件を満たしていても、18歳未満の労働者にはフレックスタイム制を適用できません(労基法60条)。

また、フレックスタイム制を導入する場合でも、休憩に関する労働基準法の規定が適用されます。つまり、所定の労働時間を超えて働く労働者に対して、使用者は通常どおり一定の休憩時間を与えなければなりません。

就業規則等への規定

フレックスタイム制の導入にあたっては、就業規則または就業規則に準じる文書に「始業・終業の時刻の決定を労働者に委ねる旨」を記載します。
また、コアタイムやフレキシブルタイムを設定する場合は、その時間帯も併せて記載する必要があります。

なお、就業規則の作成・変更が終わったら、管轄の労働基準監督署に届け出ます。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象になる可能性があるので、気をつけましょう。

労使協定の締結

フレックスタイム制の導入には、労働組合(ない場合は労働者の代表者)との労使協定が欠かせません。
具体的には、以下の事項を定める必要があります。

  • 制度の対象者となる労働者の範囲
  • 清算期間とその起算日
  • 清算期間内の総労働時間(所定の労働時間)
  • 1日の標準労働時間
  • コアタイム、フレキシブルタイムの時間帯(任意)

なお、清算期間を1ヶ月を超えて設定する場合は、管轄の労働基準監督署に労使協定を提出しなければなりません。

フレックスタイム制における残業について

フレックスタイム制を導入していても、残業(時間外・休日・深夜労働)が発生することはあります。残業をした労働者には、残業代を支払わなければなりません。
きちんと支払わない場合は、労働基準法37条1項違反となるので、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるおそれがあります(労基法119条1号)。

労働基準法
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)第37条
1 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。(以下略)

フレックスタイム制の下での残業時間の計算方法は、一般的な労働時間制度の場合と異なります。詳しくはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

フレックスタイム制における時間外労働の取り扱い

清算期間と総労働時間

清算期間とは、フレックスタイム制の下で、労働者が働かなければならない時間を決める際の単位となる期間のことです。
そして、清算期間内に労働者が働かなければならない所定の時間を総労働時間といいます。所定労働時間と呼ばれることもあります。

総労働時間は、法定労働時間の範囲内で設定する必要があるので、週の平均が40時間を超えないように設定しなければなりません。
なお、下表のとおり、暦上の月の日数によって法定労働時間は変動するので注意しましょう。

月の日数(清算期間の歴日数) 法定労働時間
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間

清算期間と総労働時間について、具体例で考えてみましょう。
例えば、「2ヶ月を一区切りとして、2ヶ月間に労働者は320時間働かなければならない」と決め、労働者が「9時から19時まで(途中1時間休憩)、40日働いた」とします。

この場合、
・清算期間=2ヶ月
・総労働時間=320時間
・実労働時間=(10時間-1時間)×40日=360時間
ということになるので、実労働時間と総労働時間の差である40時間が時間外労働にあたることになります。

フレックスタイム制の勤怠管理の注意点

フレックスタイム制を導入したときに、勤怠管理について特に注意するべき点を解説します。

年次有給休暇の取扱い

フレックスタイム制を導入した会社・事業場で労働者が年次有給休暇を取得した場合には、労使協定に定めた「標準となる1日の労働時間」を実労働時間に加算し、この労働時間を基礎として賃金の計算を行います。

例えば、フレックスタイム制の下で労働者が年次有給休暇を1日取得した場合は、その1⽇については、「標準となる1⽇の労働時間」を労働したものとして取り扱う必要があります。

清算期間の途中に昇給があった場合の割増賃金の算定

フレックスタイム制を採用しているか否かにかかわらず、割増賃金は、それぞれの賃金締め切り日時点での賃金額を基礎に算出します。
したがって、清算期間の途中に昇給があった場合、昇給以後の賃金締め切り日には、昇給後の賃金額を基礎として割増賃金を算出することになります。

清算期間の途中で事業場が異動となった場合の賃金の取扱い

フレックスタイム制を導入する事業場に勤務する労働者が、清算期間の途中でフレックスタイム制を導入していない通常の労働時間制度の事業場へ異動した場合には、各事業場で働いた期間を区別して、それぞれの期間に対する賃金を、その事業場の労働時間制度に基づいて計算します。

清算期間が1ヶ月を超える場合

働き方改革による労働基準法の改正前、フレックスタイム制の清算期間は1ヶ月が上限でした。
しかし、改正によって清算期間の上限は3ヶ月に延長され、より柔軟に労働時間を調整できるようになりました。

なお、1ヶ月を超えた清算期間を設定する場合には、その旨を取り決めた労使協定を、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

働き方改革による清算期間の延長により、フレックスタイム制がどのように変わったのか、詳しくは下記の記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

フレックスタイム制の改正|清算期間の延長

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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