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外国人雇用状況の届出

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

外国人労働者の雇入れ・離職時には、事業主に対して、外国人労働者の雇用状況をハローワークに届け出ることが義務付けられています。これを怠ると、罰金を科せられる場合もありますので、注意が必要です。

この記事では、外国人雇用状況の届け出の対象者、事業主が行うべき外国人雇用状況の届出方法、届出の期限などについて、ご紹介します。

外国人雇用状況の届出義務

外国人労働者を雇用したとき、または雇用していた外国人労働者が退職したときは、事業主はハローワークに「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。届け出る事項は、外国人の氏名、在留資格、在留期間、生年月日や性別など厚生労働省令で定める事項とされています。

外国人雇用状況の届出は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下、「労働施策総合推進法」といいます)」の28条で定められている事業主の義務です。

届出の目的

外国人雇用状況の届出は、各事業所における外国人労働者の雇用状況を国が把握するために必要不可欠なものです。
届出によって、外国人労働者の雇用の安定や雇用管理の促進、地域の労働力需給の調整を図り、また、より質の高い再就職支援や職業訓練を外国人に提供するといった目的があります。

届出を怠った場合の罰則

外国人雇用状況の届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした事業主は、1人の外国人につき、30万円以下の罰金が科されます(労働施策総合推進法40条1項2号)。

事業主として忘れずに届出を行うことはもちろん、当該外国人労働者の在留資格や在留期間の確認にも、細心の注意を払う必要があります。
万が一、届け出を出し忘れたことに気が付いた場合は、すぐに事業所を管轄するハローワークに連絡し、指示に従ってください。

外国人雇用状況の届出の対象者

届出の対象となる外国人

外国人雇用状況届出は、基本的に日本で働いているすべての外国人が対象となります。
雇用形態は関係ないため、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイト等も届出をする必要があります

ただし、特別永住者(在日韓国人・朝鮮人等)、在留資格が「外交」及び「公用」の者、日本に帰化した日本国籍を持つ外国人は対象外となります。

なお、就労に制限がない在留資格である「永住者」「永住者の配偶者」や、「日本人の配偶者の在留資格を持つ外国人」を雇用した場合は、届出が必要となりますので、間違いのないようご注意ください。

外国人正社員

期間を定めずに外国人を雇用する、つまり、いわゆる“正社員”として雇用する場合、日本に帰化した人や特別永住者を除き、すべて届出の対象になります。

外国人アルバイト・パートタイマー

正社員の場合と同様、外国人をアルバイト・パートタイマーとして雇用した場合も、届出の対象となります。

特に、「留学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人は、原則として日本で就労することはできませんが、資格外活動の許可を得ていれば、アルバイトやパートタイマーとして就労することができます。

外国人をアルバイト・パートタイマーとして雇用することに関しては、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

外国人アルバイト・パートの雇用について

外国人派遣社員

外国人を派遣労働者として雇い入れる場合にも、届出は必要です。届出の義務は、雇用主である派遣元会社の事業主にあります。
また、いわゆる登録型派遣に関しては、派遣先が決まり、雇用関係が生じるごとに雇入れの届出が必要になります。

外国人技能実習生

団体監理型技能実習の外国人技能実習生については、技能実習を監理する団体が主体となって届出を行う義務があります。
一方、企業単独型技能実習の場合は、事業主が届出を行う義務を負います。

団体監理型技能実習・企業単独型技能実習の違いは下表になります。

団体監理型 営利を目的としない監理団体(商工会や協同組合など)が技能実習生を受け入れ、傘下の日本の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法
企業単独型 日本の企業が直接海外の現地法人、取引先企業、関連企業等から職員を受け入れ、技能実習を実施する方法

外国人研修・技能実習生に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 
外国人研修・技能実習生

届出が不要な外国人

外国人雇用状況の届け出が不要な外国人は、以下のとおりです。

  • 日本に帰化した者
    日本に帰化した者は日本国籍を持ち、外国人の定義にあてはまらないため、届出は不要となります。
  • 在留資格「公用」「外交」を持つ者
    「外交」「公用」は、政府や国際機関で働く外国人や家族に与えられる特別な在留資格であり、民間企業ではなく公務に従事しているため、届け出の対象となりません。
  • 特別永住者(在日韓国人・朝鮮人等)
    歴史的背景から、特別の法的地位が与えられており、日本における活動に制限がないため、届け出は不要です。

外国人雇用状況の届出方法と記入例

外国人雇用状況の届出については、対象となる外国人労働者が雇用保険の被保険者となるか否かにより、様式や届出先のハローワーク、提出期限等が異なります。

なお、届出方法は、ハローワークの窓口への届出のほか、郵送や電子申請による届け出も可能となっています。また、必要書類は「外国人雇用状況届出書」のみで、添付書類は基本的に不要となります。

以下で、雇用保険の被保険者である場合とそうでない場合、それぞれについて解説します。

雇用保険の被保険者である場合

対象となる外国人労働者が雇用保険の被保険者である場合、雇用に際しては「雇用保険被保険者資格取得届」、離職に際しては「雇用保険被保険者資格喪失届」の外国人に係る項目に記入することで、届出を行うことができます。届出に記入する項目は、在留資格、在留期間、国籍・地域、資格外活動許可の有無などです。

雇入れ時

雇用保険の被保険者となる外国人を雇い入れた場合の、外国人雇用状況の届出方法や届出先、届出期限は、下表のとおりです。

雇用保険の被保険者となる外国人の場合(雇入れ時)
届出事項 ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域⑦資格外活動許可の有無 ⑧外国人を雇い入れる事業所の名称・所在地など、雇用保険被保険者資格取得届に記入が必要な事項
届出方法 資格取得届の17~22欄に「国籍・地域」「在留資格」「在留期間」などを記載してハローワークに提出すれば、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。
届出先 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
届出期限 外国人労働者を雇い入れた日の属する月の翌月10日まで

離職時

雇用保険の被保険者である外国人が退職した場合の、外国人雇用状況の届出方法や届出先、届出期限は下表のとおりとなります。

雇用保険の被保険者となる外国人の場合(離職時)
届出事項 ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域⑦外国人が退職する事業所の名称および所在地など、雇用保険被保険者資格喪失届に記入が必要な事項
届出方法 表面の「住所(被保険者の住所又は居所)」欄のほか、裏面の14~19欄に 「国籍・地域」「在留資格」などを記載してハローワークに提出すれば、外国人雇用状況の離職の届出を行ったことになります。
届出先 雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワーク
届出期限 外国人労働者が退職した日の翌日から数えて10日以内

雇用保険の被保険者でない場合

対象の外国人労働者が雇用保険の被保険者ではない場合は、雇入れ時、離職時ともに、外国人雇用状況届出書<様式第3号>で届出を行います。届出方法や届出先、届出の期限は下表になります。
独立行政法人、国立大学法人、公社等についても、届出が必要です。

雇用保険の被保険者とならない外国人の場合(雇入れ時・離職時)
届出事項 ①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域⑦資格外活動許可の有無(雇入れ時のみ記入) ⑧在留カード番号 ⑨雇入れ又は離職年月日 ⑩雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地等
届出方法 雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書(様式第3号)に、上記①~⑩の届出事項を記入して届け出る。
届出先 対象の外国人労働者が働いている事業所の住所を管轄するハローワーク
届出期限 雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日まで

届出事項の確認

届出事項の確認は、外国人労働者の在留カードやパスポートなどを確認することで行います。

在留カードとは、中長期在留者に対して、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などに伴い発行される身分証ICカードです。このカードをもとに、氏名、在留資格、在留期間、資格外活動の許可、生年月日や性別等、厚生労働省令で定められている事項を確認しましょう。

なお、在留資格が「留学」や「家族滞在」等の外国人が働く場合や、在留資格で認められている範囲を超えて働く場合、資格外活動の許可を受けなければ、働くことができません。よって、資格外活動許可を受けているかどうかも確認する必要があります。

また、届出に際して、パスポートや在留カードの写しを提出する必要はありません。

在留カード番号の届出について

外国人を雇入れた場合、または外国人が退職した場合は、外国人雇用状況の届け出が義務となっていますが、令和2年3月1日からは、追加で「在留カード番号の届出」も必要となります。

在留カード番号が記入できる、新様式の雇用保険被保険者資格取得届、資格喪失届、外国人雇用状況届出書がすでに発表されていますので、新様式に必要事項を記載し、在留カード番号の届出を行わなければなりません。

なお、令和2年2月29日以前の雇入れまたは離職に関する届出については、経過措置として令和2年3月1日以降も在留カード番号欄のない届出様式で申請が可能です。

届出時に不法就労者であることが判明した場合

「出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)」73条の2により、不法入国者や、在留資格の有効期限が切れているにもかかわらず在留を続けている不法滞在者、在留資格に適合しない就労をしている不法就労者など、就労に必要な在留資格のない外国人を雇用した事業主は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。

これは、当該外国人を雇い入れようとした際、不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していなかった等の過失があるとして罰則の対象になります。

外国人を雇い入れる際は必ず在留カードの内容を確認し、不法滞在者であることが判明した場合には、地方出入国在留管理局へ通報するか、出頭を促すこと等が事業主には求められます。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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