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有期労働契約

労働条件明示の改正概要についてYouTubeで配信しています。

2024年4月1日以降、有期労働契約について、更新上限の有無及び内容(通算契約期間又は更新回数の上限)を明示しなければならなくなりました。また、更新上限を新たに設ける場合や短縮する場合、その理由をあらかじめ説明することも必要となります。

動画では、このような有期労働契約に関する改正内容について解説しています。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

有期労働契約は、あらかじめ雇用期間を定めて労働契約を締結する方法です。企業・労働者それぞれにメリットがありますが、雇止めや契約解除の制限などのリスクもあります。

この点、2012年の労働契約法改正により、有期労働者の雇用を安定させるための措置が設けられました。また、2019年の働き方改革でも、有期労働者を保護するための対策が講じられています。

本記事では、有期労働契約の概要や企業が注意すべきポイントなどを解説していきます。多様な働き方を実現し、労働者のモチベーションを上げるためにも、ぜひご覧ください。

有期労働契約とは

有期労働契約とは、企業と労働者が期間を定めて労働契約を締結することです。一般的に、以下のような非正規雇用労働者との契約で用いられることが多いです。

  • 契約社員
  • 派遣社員
  • パートタイマー
  • アルバイト
  • 嘱託職員

契約期間が満了すると、契約の終了又は契約更新いずれかの対応がとられます。また、1回の契約期間の上限は3年と定められています(労働基準法14条1項)。

有期労働契約は、契約期間中の契約解除は基本的に認められません。しかし、「契約が更新されるか心配」などの不安も生じるでしょう。
そこで、法律により、有期労働者の雇用安定を図るためのさまざまな対策が講じられています。

非正規雇用労働者のうち、派遣社員については以下のページをご覧ください。

派遣労働

「有期労働契約」と「無期労働契約」の違い

2つの大きな違いは、「契約期間に定めがあるかどうか」です。
また、給与や福利厚生などの待遇が異なることもありますが、“不合理な格差”を設けることは禁止されているため注意が必要です。

有期労働契約 無期労働契約
契約期間 原則3年 なし
雇用の安定性 契約更新月に打ち切る可能性がある 契約更新なし
給与 契約時に決めた給与のまま昇給しないことが多い 能力に応じて昇給する場合がある
福利厚生 正社員や無期雇用に比べて適用範囲が狭いことがある 適用される

有期労働契約のメリットは、人件費を抑えられる可能性があるということです。例えば、繁忙期だけ契約社員を採用すれば、余剰人員を生むことなく人員調整することができます。

また、職種や勤務地を限定することで、応募者が増え、採用がスムーズに進む可能性もあります。

「有期労働契約」と「試用期間」の違い

2つの違いは、「労働契約の解除・終了方法」です。
試用期間とは、企業が労働者の適性や能力を見極めるための期間をいいます。

無期労働契約の正社員の場合、試用期間後も長く働くことが前提のため、試用期間満了後に雇用を打ち切ることは「解雇」にあたります。そのため、解雇に相当する合理的な理由が必要です。

一方、試用期間を有期労働契約として扱う場合、期間満了後に契約を終了させることも可能です。また、期間満了に伴う契約終了なので、解雇にもあたりません。

ただし、職務内容や待遇が実質的に試用期間と変わらない場合、有期労働契約とみなされず、雇止めが違法となる可能性があるため注意が必要です。

試用期間については、以下のページでも詳しく解説しています。

試用期間

改正労働契約法で定められた有期労働契約のルール

2013年4月に施行された改正労働契約法により、有期労働契約について以下3つのルールが定められました。

  • ①無期労働契約への転換
  • ②「雇止め法理」の明文化
  • ③不合理な労働条件の禁止

これらの目的は、有期労働者の雇用安定を図ることや、契約解除による不安を解消することなどが挙げられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

①無期労働契約への転換

「有期労働契約の通算が5年を超えた場合、労働者の申込みにより、期間の定めがない契約(無期労働契約)へ切り替える」という制度です(改正労働契約法18条)。
1回の契約期間や契約更新の回数にかかわらず、契約期間の通算が5年を超えた時点で、労働者に「無期転換申込権」が発生します。

無期転換ルール
出典:有期契約労働者の無期転換サイト|厚生労働省

なお、労働者が無期転換申込権を行使した場合、企業は断ることができません。よって、申込みがあれば自動的に無期労働契約へ転換されることになります。
また、無期転換申込権が発生する前に契約を解除したり、企業が一方的に契約回数を制限したりすることは、制度の趣旨から望ましくないとされています。雇止めが無効になる可能性もあるため注意しましょう。

もっとも、無期転換ルールにはメリットも多いです。実務に精通した労働者を長く雇用できたり、長期的な視点で人材育成できたりするためです。

以下のページも併せてご覧ください。

有期労働の無期転換について解説

②「雇止め法理」の明文化

「雇止め法理」とは、労働者保護の観点から、一定の場合に雇止めを無効にするという判例上のルールです。改正労働契約法により、この雇止め法理が明文化されることとなりました(19条)。

雇止めとは、有期労働契約期間の満了時に、使用者が一方的に契約を解除することをいいます。契約期間の満了に過ぎないため必ず違法になるわけではありませんが、労働者の更新への期待が相当程度高まり、契約終了による不利益が大きい場合、一定の制限がかけられます。

具体的には、以下のいずれかの場合(かつ、更新拒絶が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上の相当性を欠く場合)に雇止めが無効となります。

  • 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるもの
  • 労働者にとって、有期労働契約の期間満了時にその契約が更新されると期待する合理的な理由があるもの(契約期間の通算・職務内容・当該雇用の臨時性などを考慮して判断されます)

雇止めが無効ゆえ、違法な解雇といえる場合、解雇日から30日前までに、労働者へ解雇予告を行わなければなりません。これを怠った場合、給与額に応じた解雇予告手当を支払う必要があります。

雇止め法理については、以下のページもご覧ください。

有期労働契約の雇止め法理

③不合理な労働条件の禁止

不合理な労働条件の禁止は、パートタイム・有期雇用労働法で定められています。
この法律は、2019年4月の働き方改革に伴い施行されました。具体的には、「職務内容等であれば同じ賃金を支払うべき」という同一労働同一賃金を掲げ、雇用形態による不合理な格差を禁止しています。

不合理な格差とは、以下のような待遇について、雇用形態を理由に差別的取扱いをすることをいいます。

  • 基本給
  • 賞与
  • 昇給
  • 各種手当(役職手当、通勤手当、食事手当など)
  • 教育訓練
  • 福利厚生
  • 休暇

つまり、「契約社員だから」という理由だけで給与を低くしたり、福利厚生の利用を制限したりすることは認められません。
また、待遇差を設ける場合、企業は労働者にその理由を十分説明する必要があります。

働き方改革における同一労働同一賃金については、以下のページでも解説しています。

【働き方改革】同一労働同一賃金ガイドラインの具体例や注意点

有期労働契約の締結

労働契約を締結する際は、「雇用契約書」や「労働条件通知書」を締結・提示する必要があります。

雇用契約書 企業と労働者が、労働条件について合意したことを証明するための書類です。双方の署名・捺印によって成立します。法律上の作成義務はなく、労働条件通知書と併せることも可能です(労働条件通知書 兼 雇用契約書など)。
労働条件通知書 企業が労働者に対し、労働条件を通知するための書類です。双方の合意は不要ですが、法律上の作成義務があります。また、必ず記載しなければならない「絶対的明示記載事項」と、該当があれば記載が必要な「相対的明示記載事項」があります。

また、有期労働契約においては、契約時に以下の事項についても明示しなければなりません(厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)。

  • 更新の有無の明示
    「自動的に契約を更新する」、「契約を更新する場合がある」、「契約は更新しない」など具体的な内容を記載します。
  • 判断基準の明示
    契約更新の判断基準を記載します。例えば、契約期間満了時の業務量、勤務実績や勤務態度、企業の経営状況、担当している業務の進捗状況などとするのが一般的です。
  • その他留意すべき事項
    トラブルを防止するため、待遇などについても定めることが重要です。例えば、残業の有無や休日出勤の可能性などがあります。

有期労働契約の期間

有期労働契約期間の上限

有期労働契約の期間は最長3年と定められていまが、これは1回の契約期間の上限であり、更新を制限するものではありません。
また、職業選択の自由を守るため契約初日から1年が経過した日以降は、労働者はいつでも退職を申し出ることができるとされています。

上限が5年になる特例

有期労働契約期間の上限は、例外的に5年となるケースがあります。
「高度な専門的知識、技術、経験を有する者」と「満60歳以上の者」は、最長5年の有期労働契約を締結することができます。

具体的には、以下のような者が該当します。

  • 博士の学位を有する者
  • 公認会計士、弁護士、医師、一級建築士、薬剤師など
  • 農林水産業の技術者、土木・建築技術者、システムエンジニア、デザイナーなど
  • システムアナリストやアクチュアリー資格試験の合格者
  • 発明者、創作者、種苗法上の登録品種の育成者

ただし、一定の年収や実務経験が必要とされるものもあります。
また、建設工事など、事業完了までの期間が決まっているものについては、その期間を上限とすることができます。

有期労働契約期間の下限

有期労働契約の期間に、下限はありません。ただし、必要以上に短い期間を設定し、何度も契約更新を繰り返すことがないよう配慮することが義務付けられています(労働契約法17条2項)。

 

これは、労働者の不安をできるだけ軽減するための義務です。毎回「雇止めされるのではないか」と不安を与えることは望ましくないため、契約期間の設定には配慮が求められています。

なお、この配慮義務に違反しても契約期間が無効になるわけではありませんが、労働者とのトラブルを招いたり、雇止めが無効になったりするおそれがあるため、注意が必要です。

有期労働契約の更新

契約を更新する際は、労働者にその旨を通知しなければなりません。

ただし、雇用契約書などに「労使の異議がない場合、自動更新とする」などの文言がある場合、契約は自動的に更新されます。
また、契約期間満了後も更新の手続きをすることなく勤務し続けた場合、「黙示の合意」があったとして、契約が更新されたものとみなされます(民法629条1項)。

なお、自動更新を繰り返しても違法ではありませんが、注意点もあります。
自動更新が何度も行われると、実質的な無期労働契約とみなされる可能性があるためです。また、労働者も「当然更新されるだろう」と期待するため、雇止めが無効となるおそれがあります。

また、契約更新を繰り返すことも問題ありませんが、労働者に毎回雇止めの不安を与えるのは望ましくないため、必要以上に短い契約期間を設定するのは避けましょう。

契約期間途中の解雇・解除

契約期間満了前に解雇・契約解除することは、基本的に認められません。
ただし、企業の倒産や天地災害など“やむを得ない事情”がある場合、例外的に契約期間途中での解除が認められる可能性があります。また、労働者の職務怠慢なども、契約を解除する理由になり得ます。

やむを得ない事情で途中解除する場合も、その30日前までに労働者へ解雇予告を行うことが義務付けられています。これを怠った場合、それぞれの給与額に応じた解雇予告手当を支払う必要があります。

もっとも、労使間の合意があれば、契約期間中であっても契約を解除することは可能です(合意解約)。
契約の途中解除や解雇については、以下のページもご覧ください。

有期労働契約の解雇・解除について

有期労働契約における労務管理上の注意点

有期労働契約では、労務管理上注意すべきポイントがあります。何も対策をしていないと、正社員と区別ができず労働トラブルを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
特に重要なポイントについて、以下で解説します。

就業規則の作成・整備

有期労働者と正社員の待遇に差を設ける場合、就業規則を別々に作成する等の見直しが必要です。例えば、基本給や有給休暇、福利厚生などで差を設けることもあるでしょう。
就業規則が1つしかないと、有期労働者にも正社員と同じ規定が適用されてしまいます

この点、「有期労働者は雇用契約で定めているから問題ない」という企業もありますが、就業規則の内容よりも不利な労働条件を定めることは認められません。よって、雇用契約の内容は無効となり、就業規則の内容が適用されたものとみなされます。

有期労働者を初めて雇用する際は、就業規則を改定する、又は有期労働者用の就業規則を作成するなどの対応が必要でしょう。
就業規則の作成方法などは、以下のページで解説しています。

就業規則について

労働法の適用

有期労働者にも、以下の規定が適用されます。

  • 産前・産後休業
    正社員と同じく、産前6週間及び産後8週間の女性労働者が取得できます。
  • 育児休業
    同じ企業で1年以上勤務しており、子が1歳6ヶ月になるまでに契約が満了することが明らかでない場合に取得できます。
  • 介護休業
    同じ企業で1年以上勤務しており、“休業開始日より93日が経過した日”から“6ヶ月が経過する日”までに契約が満了することが明らかでない場合に取得できます。

なお、「妊娠したこと」や「育児休業を取得したこと」を理由に雇止めすることは、不利益取扱いにあたり違法となります。

社会保険・雇用保険の加入

有期労働者も、一定の条件を満たせば社会保険や雇用保険に加入しなければなりません。加入条件は、以下のとおりです。

【社会保険】

  • 1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上であること
  • 1週間の労働時間が20時間以上であり、1か月の給与が88,000円以上、2ヶ月以上雇用契約の継続が見込まれ、学生ではないこと

【雇用保険】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が31日以上の見込みであること

社会保険や雇用保険の未加入は罰則を受けるおそれがあるため、注意が必要です。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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