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従業員採用に向け募集する際の注意点

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

優秀な人材の確保は、企業の発展において必要不可欠であり、近年はさまざまな媒体を介して企業による労働者の募集・採用活動が行われています。その一方で、法規制に抵触する内容の求人広告等をめぐり、トラブルが生じるケースも少なくありません。
このページでは、「労働者の募集」に際し、企業側が注意すべき点に着目して解説していきます。

労働者募集の自由と制限

雇用は契約関係の1つであり、使用者と労働者がどのような内容で労働契約を締結するかは、当事者間の自由(=契約締結の自由)です。つまり企業側は、経営において重要な、どのような人物を採用するのかについて設ける採用基準について、原則として自由に決定できるということです。これを、《採用の自由》といいます。

ただし、労働者の募集・採用において、就職希望者の権利を侵害することが認められるわけではなく、広く公正な募集である必要があり、その意味で《採用の自由》に制限がかかる場合があります。

まずは、労働者の募集に際し、使用者に課される義務からみていきましょう。

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募集時の労働条件明示

企業が労働者を募集するには、次項のような労働条件の明示が義務付けられます(職安法5条の3)。文書等で募集を行う際、労働者が適切に職業選択できるよう、誤解を与えることのないよう的確な表示に努めなければなりません(職安法42条)。明示の方法は、基本的に書面交付、労働者が希望する場合には電子メール等です。

採用時の労働条件の明示義務については、別途以下のページで解説しています。

労働条件の明示義務

募集時に明示を求められる情報

募集時に明示すべき労働条件は、主に以下のとおりです。

  • ・業務内容
  • ・契約期間
  • ・職業場所
  • ・試用期間
  • ・就業場所
  • ・労働時間
  • ・休憩時間
  • ・休日
  • ・時間外労働の有無
  • ・賃金
  • ・加入保険
  • ・募集者の氏名又は名称
  • ・派遣労働者として雇用する場合、その雇用形態

明示する労働条件が虚偽や誇大な内容であってはなりません。また、労働条件の水準、範囲等を可能な限り限定し、具体的かつ詳細に明示するといった配慮も必要です。
なお、労働条件に変更が生じた場合には、速やかに知らせることも必要でしょう。

 

募集の種類

文書募集と直接募集

文書募集とは、募集主である使用者が、新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出・頒布、インターネット等を用いて行う労働者募集の方法です。

直接募集とは、文書募集以外の方法で、募集主である使用者又はその被用者(労働者)が使用者の指示で労働者の募集を行う方法です。

労働者の募集においては、使用者・応募者間の私的自治に委ねられていることから、第三者を介さないこの2つの方法を用いた募集は、原則として自由に行うことができるとされています。

委託募集

委託募集とは、募集主である使用者が、第三者(=募集受託者)に委託して募集、選考、採用活動を行わせる方法です。前項の2つの方法とは異なり、第三者を介する方法であるため、適確性を確かめるために厚生労働大臣又は労働者を募集する事業所を管轄する都道府県労働局長の許可を受けなければなりません(職安法36条1項、職安法施行規則37条1項6号)。

なお、許可を受けるにあたっては、募集主及び募集委託主に労働関係法令に係る重大な違反がないこと、募集に係る労働条件が適正であり、明示されていることといった一定の基準を満たしている必要があります。

委託募集と職業紹介の違い

厚生労働大臣から“職業紹介の許可“(職安法30条、33条)を受けている募集受託者が、求人者に紹介する目的で求職者を探し、当該求職者に求人元への就職を推奨するというような、いわゆる人材のスカウトをする行為は、職業紹介にあたります。募集受託者はあくまでも求人者と求職者の仲介を行うものである点、募集後の選考、採用までを募集受託者が行う委託募集とは異なります。

“職業紹介の許可“を受けている人材スカウト企業に労働者の募集を委託する場合、前項で説明した“委託募集の許可”は基本的には必要ありません。

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募集・求人における法律上の制限

性別・年齢制限の禁止

使用者は労働者の募集・採用に際し、年齢や性別を理由に差別し、制限をかけることは、労働施策総合推進法9条及び雇用機会均等法5条で禁止されています。

労働施策総合推進法
(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)第9条

事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

雇用機会均等法
(性別を理由とする差別の禁止)第5条
事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

なお、例外的に年齢や性別による制限が認められる場合がありますが、これについては後述します。

障害者差別の禁止

労働者の募集・採用においては、障害者に対し、障害者でない者と均等な機会を与えなければならないとされており、使用者には、一定の雇用率に達する人数の障害者を雇用する義務が課されています(障害者雇用促進法34条、43条)。

「障害者の雇用」については、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

障害者の雇用

虚偽の求人内容の禁止

労働者の募集・採用時に虚偽の広告をし、あるいは虚偽の条件を提示した場合、罰則の対象となります。具体的には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(職安法65条8号)。

従来は、使用者が自ら自社サイト等において虚偽の求人をした場合を罰則の対象としていました。しかし、目下の問題であるブラック企業対策として規制を強化すべく、平成30年1月の職業安定法改正によって、公共職業安定所や職業紹介事業者に対し虚偽の求人を行った場合も罰則の対象となりました(職安法65条9号)。また、明示すべき労働条件の追加等も行われています(※<2-1募集時に明示を求められる情報>の内容は、改正後のものになります)。

黄犬契約の禁止

労働者が労働組合に加入しないことや、労働組合から脱退することを雇用の条件とすることは、【不当労働行為】として禁止されています(労組法7条1項)。
なお、【不当労働行為】については以下のページで詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

不当労働行為

知的所有権の侵害

求人広告は著作物にあたるため、著作権が発生します。通常、著作権は掲載媒体に帰属することになりますから、自社の求人広告であっても、別媒体で使用した文章等を無断で自社サイトに転載するといったことは著作権法違反になり、訴訟に発展する等のリスクがあります。

違法とならない場合

次項より、例外的に年齢や性別による制限が認められる場合について紹介します。順にみていきましょう。

年齢制限に関する例外事由

労働施策総合推進法施行規則1条の3には、年齢制限に関する6つの例外事由の記載があります。

①定年年齢を上限に、その年齢を下回ることを条件として、雇用期間の定めなく労働者を募集・採用する場合
例えば、定年年齢が65歳の企業が、64歳以下の人に制限して募集する場合がこれにあたります。

②労働基準法や、その他の法令の規定によって年齢が制限される場合
例えば、労働基準法61条で18歳未満の者の就業が原則禁止とされている深夜業について、18歳以上に制限して募集をする場合がこれにあたります。

③長期勤務によるキャリア形成を図る目的で、雇用期間の定めなく若年層を募集・採用する場合
例えば、このような目的をもって「経験不問」等と広く雇用機会を与え、35歳未満に制限して募集をする場合がこれにあたります。

④技能やノウハウの継承のために、「①特定の職種」における労働者数が「②相当程度少ない」「③特定の年齢層」に限定して、雇用期間の定めなく労働者を募集・採用する場合
例えば、「①システムエンジニア」が20~29歳が10人、「②30~39歳が1人」、40~49歳が5人在籍する企業において、「③30~39歳」に制限して募集する場合がこれにあたります。

①…厚生労働省の定める職業分類表の小分類、細分類を参照
②…30歳~49歳のうち、5~10歳幅の特定の年齢層
③…原則企業単位で、上下の年齢層(同じ年齢幅)と比較して在籍人数が1/2以下

⑤芸術や芸能の分野における表現の真実性等の確保が必要な場合
例えば、演劇に出演する子供役として10歳以下に制限して募集をする場合がこれにあたります。

⑥60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策を活用して、施策の対象となる者について募集・採用する場合
例えば、特定求職者雇用開発助成金の対象として、60歳以上65歳未満に制限して募集する場合がこれにあたります。

一方の性でなければならない職務

業務を遂行するうえで、一方の性別でなければならない合理的な理由がある職務については、性別に制限を設けて募集をかけたとしても違法とはなりません。

●芸術や芸能の分野における表現の真実性等を確保するため、男女のいずれか一方にのみ従事させることを要する職務
例えば、男優、女優等がこれにあたります。

●防犯上の観点から男性に従事させることが必要な職務
例えば、守衛、警備員等がこれにあたります。

●宗教上、風紀上、スポーツ競技の性質上等において、男女のいずれか一方にのみ従事させる必要性が認められる職務
例えば、巫女、更衣室のスタッフ等がこれにあたります。

●法令等により男女いずれかの就業が制限されている職務
例えば、女性であれば危険有害業務(労基法64条の3)、男性であれば助産師(保助看法3条)等がこれにあたります。

●風俗、風習等の相違により男女のいずれか一方が能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合や、その他特別な事情により性別にかかわりなく均等な取扱いが困難であると認められる職務

ポジティブ・アクションによる募集

固定的な男女の役割分担意識等、過去の女性労働者に対する取扱い等が原因で生じている男女間の事実上の格差を解消するために、使用者が女性のみを対象とする、又は女性を有利に取り扱う措置のことを、ポジティブ・アクションといいます。

ポジティブ・アクションによる募集は、違法とはなりません(雇均法8条)。ただし、当該企業において、募集する職種に在籍する女性の割合が4割を下回っている場合に限られるため、注意が必要です。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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