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危険防止・有害業務に関する規制

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

事業者(会社)は、労働者が安全で健康に働けるように、より良い環境をつくっていくよう努めなければなりません。労働者が危険物・有害物を扱うような作業に就く場合は、健康障害が生じないよう特に注意が必要となります。事業者は、危険や健康障害から労働者を守るために、どのようなことに気を付けながら対応していけば良いのでしょうか?

本記事では、労働安全衛生法等に沿って、危険・有害業務に関する規制について、また、事業者がとるべき措置について解説していきます。

安全衛生法上の機械・有害物に関する規制

事業場において、労働者の危険や健康障害を防ぐために、機械や有害物、危険物等の規制が労働安全衛生法で設けられています。

危険防止のための措置や有害業務に関する詳細は、下記のページをご覧ください。

危険又は健康障害から労働者を守るために企業が取るべき対応とは

機械等に関する規制

会社は、労働災害が起きないよう防止するために、事業場の機械・設備等に不備がないか、定期的に検査等をして安全を確保する必要があります。

また、危険な作業を行う機械等は、製造や検査等に関する規制が設けられているため、本項で紹介していきます。

製造の許可

特定機械等といわれる危険な作業を必要とする一定の機械等(ボイラー、第一種圧力容器、クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト、ゴンドラ)の製造には、都道府県労働局長による事前の許可が必要となります(労安衛法37条)。

製造時等の検査・検査証の交付

特定機械等を①製造、②輸入、③設置、④主要部分の変更、⑤使用休止後の再開、等には、都道府県労働局長または労働基準監督署長による検査を受け、検査証の交付(または裏書)を受けることが義務付けられています(労安衛法38条、39条)。

また、この検査証には、特定機械等の種類に応じて厚生労働省令にて定められている有効期限があります(労安衛法41条)。

譲渡等の制限

検査証の交付を受けていない特定機械等の使用は禁止されています。検査証を受けた特定機械等は、検査証付きに限り、譲渡または貸与が許可されています(労安衛法40条)。

また、特定機械等以外の機械での危険・有害な作業や、危険な場所で使用する機械等に関しては、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を備えていなければ、設置・譲渡・貸与を行うことはできません。(労安衛法42条)。

個別検定・型式検定

特定機械等以外の危険や有害な作業を行う機械、危険な場所で使用する機械等に関しては、個別検定または型式検定による合格が要求されます。

個別検定とは、下記のものを製造、輸入した際に1台ごとに行われる機械の検定をいいます(労安衛法44条、同法施行令14条)。

  • ゴム、ゴム化合物または合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式のもの
  • 第二種圧力容器
  • 小型ボイラー
  • 小型圧力容器

型式検定とは、下記のものを製造、輸入した際に型式ごとに行われる機械の検定をいいます(労安衛法44条の2、労安衛令14条の2)。

  • ゴム、ゴム化合物または合成樹脂を練るロール機の急停止装置のうち電気的制動方式以外の制動方式のもの
  • プレス機械またはシャーの安全装置
  • 防爆構造電気機械器具
  • クレーンまたは移動式クレーンの過負荷防止装置
  • 防じんマスク
  • 防毒マスク
  • 木材加工用丸のこ盤の歯の接触予防装置のうち可動式のもの
  • 動力により駆動されるプレス機械のうちスライドによる危険を防止するための機構を有するもの
  • 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置
  • 絶縁用保護具
  • 絶縁用防具
  • 保護帽
  • 電動ファン付き呼吸用保護具

危険物・有害物に関する規制

危険物・有害物を取り扱う事業場の場合、知らず知らずのうちに人体に健康障害を生じさせているおそれがあります。そのような事態を防止するために、労働安全衛生法では、化学物質の取扱いや調査等が規制されています。本項では、危険物・有害物に関する規制について説明します。

製造等の禁止

以下の物質は、労働者に対して重度の健康障害をもたらす物として、製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止されています(労安衛法55条本文、同法施行令16条1項)。

  1. 黄りんマッチ
  2. ベンジジン及びその塩
  3. 4-アミノジフェニル及びその塩
  4. 石綿
  5. 4-ニトロジフェニル及びその塩
  6. ビス(クロロメチル)エーテル
  7. ベータ-ナフチルアミン及びその塩
  8. ベンゼンを含有するゴム糊(5%以上含有するもの)
  9. ②、③若しくは⑤から⑦の物をその重量の1%を超えて含有し、または④に掲げる物をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物

試験研究の目的で製造、輸入、使用することができる特例もあります。それには、➀製造、輸入、使用についてあらかじめ都道府県労働局長の許可を受ける、➁厚生労働大臣が定める基準に従って製造、使用する、以上2つの要件が必要となります(労安衛法55条ただし書、同法施行令16条2項)。

製造の許可

健康障害を及ぼすおそれがあるため、以下の物質を製造するには厚生労働大臣の許可が必要となります(労安衛法56条、同法施行令17条、別表第三第1号)。

  1. ジクロルベンジジン及びその塩
  2. アルファ-ナフチルアミン及びその塩
  3. 塩素化ビフェニル及びその塩
  4. オルト-トリジン及びその塩
  5. ジアニシジン及びその塩
  6. ベリリウム及びその化合物
  7. ベンゾトリクロリド
  8. ①から⑥の物をその重量の1%を超えて含有し、または⑦の物をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3%を超えて含有するものに限る。)
  9. 石綿分析用試料等

危険有害性の表示義務

以下の物質の容器には必要事項を表示する義務があります。また、譲渡・提供時には相手に必要事項を記載した文書の交付が必要となります(労安衛法57条、57条の2)。また、表示する必要事項には、物質の名称、人体に及ぼす作用、貯蔵や取扱い上の注意等の表示が必要です。

  • (1)爆発性、発火性、引火性の物その他の労働者に危険が生ずるおそれのある物
  • (2)ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある一定の物
  • (3)製造に厚生労働大臣の許可を要する物

化学物質の有害性の調査

事業者が、新規化学物質を製造、輸入しようとする場合、厚生労働大臣の定める基準に従い、労働者の健康に与える影響の調査を行う必要があります(労安衛法57条の4)。調査後、事業者は、結果を厚生労働大臣に届け出し、さらに、その結果に基づき、労働者の健康障害を防止するために、必要な措置を講じなければなりません。

厚生労働大臣が、当該新規化学物質を、労働者にがんやその他の重度の健康障害を及ぼすおそれのある化学物質であり、健康障害を防止する必要があると認めた場合は、事業者に対して特別の有害性の調査を行い、結果を報告するようにと指示することができるとされています(労安衛法57条の5)。

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