毎週更新!動画ちょこっと解説 毎週更新!動画ちょこっと解説
初回1時間 来所・zoom相談無料

0120-630-807

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません 会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

人事・労務・労働問題を法律事務所へ相談するなら会社側・経営者側専門の弁護士法人ALGへ

職務発明における「特許権の移転」について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

職務発明とは、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下、従業者等)が、その性質上、使用者、法人、国又は地方公共団体(以下、使用者等)の業務範囲に属し、かつ、その発明に至った行為が従業者等の現在又は過去の職務に属する発明のことをいいます(特許法35条1項)。

特許法は、特許を受ける権利について、原始的には自然人としての発明者に帰属するものとしています。そのため、従業者等が職務発明をした場合に使用者等が特許権を取得するためには、一定のルールを設ける必要があります。
この点については、特許法において、契約や就業規則等で定めることにより、職務発明にかかる特許を受ける権利をその発生時から使用者等に帰属させることができる旨を定めており(特許法35条3項)、これを受けて多くの企業では就業規則等において発明に関するルールを定めています。

また、使用者等が従業者等の職務発明にかかる特許権を承継・取得するにあたっては、特許法は相当の利益が従業者等に支払われるよう定めています(特許法35条4項)。

このページでは、従業者等がした職務発明の特許権を使用者等が取得する、特許権の移転について解説していきます。

職務発明の概要に関しては、以下のページをぜひご一読ください。

職務発明の概要

職務発明における「特許権の移転(譲渡)」の定義

特許を受ける権利には、財産権の側面があります。財産権とは、その字のとおり、財産を支配する権利のことをいいます。つまり、財産権としての側面がある特許を受ける権利は、譲渡、又は相続等の一般承継により、他者に譲ることが可能です。

職務発明においては、その権利が従業者等から使用者等に承継されること、又は使用者等が権利を得ることを、特許権の移転といいます。

特許を受ける権利の移転

特許法34条4項では、特許を受ける権利を承継する場合、相続等の一般承継を除き、特許庁長官へ届け出なければならないと定められています。職務発明においても同様ですので、出願後に権利を移転する場合、届出が必要となります。

旧法では、届出は対抗要件(第三者に対して効力を発生させるために必要なこと)とされていましたが、現在では効力発生要件(その要件を充たすことで法律上の効力が発生すること)となっています。

職務発明の特許出願前の移転について

特許法34条1項では、特許出願前にその権利を移転しても、承継人が出願しなければ第三者に対抗できないと定めています。

つまり、特許を受ける前に権利を承継しても、権利が移転したことを公示する手段がないので、特許出願が対抗要件になるということです。

職務発明の特許出願後の移転について

特許出願後に権利を移転する場合は、特許庁長官に届け出なければ効力が発生しないと特許法で規定されています。そのため、職務発明において使用者等がどのようなかたちで特許を受ける権利を得るのか、就業規則等にルールを定めておくことが望ましいでしょう。

仮にルールが定められていなければ、従業者等が受けた特許を使用者等が得るために、出願名義を変更する手続を行う必要があります。この手続を行わなければ、権利の移転はその効力を生じないことになります。

特許権移転後の発明者の法的地位

職務発明を行った者が、特許を受ける権利を第三者に承継した、つまり権利を移転させた場合、発明をした者は、財産権としての特許を受ける権利は持ちません。

ただし、権利を移転した後は、人格権として発明者掲載権を持ちます。願書や広報等に氏名を掲載される権利を持つことを、特許法と国際条約(パリ条約)が規定しています。

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料

企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

0120-630-807

受付時間:平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

0120-630-807

平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。

特許権の移転と実施権契約について

特許権を持つ者は、その特許を実施する権利を独占するため、第三者がその発明を実施することはできません。しかし、特許権者と第三者が実施許諾契約を結び、第三者が実施権を持つことで、その発明を実施できるようになります。

専用実施権

特許権の移転による実施権は、専用実施権、通常実施権に分類されます。専用実施権の設定・変更等は、実施権を登録することで効力を持ちます(特許法98条1項2号)。

専用実施権者は、特許を持つ者との契約の範囲で、同等の排他的権利を持ち、発明実施の権利を専有します。対して、特許を持つ者が発明を実施する際には、専用実施権者の許諾が必要になります。

通常実施権

通常実施権者は、定められた範囲内において、その発明を行う権利を得ます。専用実施権と違い登録は不要であり、また、その権利が専有されません。特許権者は、制限なく通常実施権を与えることが可能です。

また、特許法では以下のように規定されています。

特許法
99条(通常実施権の対抗力)
通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

職務発明の対価に関わる権利の移転・譲渡

職務発明において、特許を受ける権利を使用者等に帰属させることを従業者等と使用者等で事前に契約しておくことを、「予約承継」といいます。

特許法では、特許を受ける権利を譲渡した場合、従業者等は使用者等に「相当の利益」を請求できると定めています。

「相当の利益」に関して、詳細は以下ページで解説していますので、ぜひご参照ください。

職務発明制度における「相当の利益」について

特許権の移転手続きの流れ

特許権の移転登録をするには、特許庁において定められた手続を行わなければなりません。

以下で、その手続を説明します。

移転登録申請書を提出

特許権を移転するには、特許庁の特許原簿に移転登録をしなければなりません。それには、特許庁に「特許移転登録申請書」を提出する必要があります。

申請書には、特許番号、特許を移転する旨、登録権利者・登録義務者それぞれの住所・氏名を記入し、押印します。また、特許の移転登録にかかる代金1万5000円分の収入印紙を貼ります。

オンライン等では手続できず、特許庁の窓口に提出するか、郵送する必要があります。提出後、申請書に方式の誤り等がないか審査され、受理となれば特許原簿に登録されます。その後に、申請人に登録通知書が送付されます。

譲渡や法人合併の場合

譲渡や法人合併の場合は、譲渡証書、商業登記謄本を添付する必要があります。

持分譲渡による持分移転登録では、「特許権持分移転申請書」を特許庁に提出します。申請書のほかに、「持分譲渡証書」、「持分譲渡による共有者の同意書」の添付が必要になります。こちらは1万5000円分の収入印紙を貼ります。

法人合併の場合は、「合併による移転登録申請書」を特許庁に提出します。申請に必要な代金3000円分の収入印紙を貼り、承継人ということを証明できる書類(登記事項証明書、又は閉鎖登記事項証明書)を添付します。

さらに詳しい手続方法は、特許庁のウェブサイトをご参照ください。書式のダウンロードも可能です。

ちょこっと人事労務

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料

企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

0120-630-807

受付時間:平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

0120-630-807

平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます