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使用者の定義と権利

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「使用者」といえば、一般的には労働者を雇い労働力として使用し、対価を支払う者というイメージが強いのではないでしょうか。しかし、各労働関係法上における使用者とは、それぞれあらゆる視点から細かく定義付けされており、その立場に付随する権利や義務も実に多様です。また、自分が使用者に該当するのか、曖昧に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、労働関係法上どのような者が「使用者」となり、また、権利や義務を負うのかといった詳細について、解説していきます。

「使用者」の定義

「使用者」とは、労働契約を交わした労働者を雇い、賃金を支払う者と解されていることが多いかと思います。しかし、それは労働契約法上の定義であって、労働基準法、労働組合法にもそれぞれ定義がありますので、本項にて解説していきます。

労働契約についての詳細は、以下のページをご覧ください。

労働契約|基本原則と禁止事項について

「労働基準法」上の使用者

労働基準法では、使用者は「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」とされています(同法10条)。よって、使用者には、会社そのものだけでなく、取締役等の経営者や、会社から一定の権限を与えられ、労働者に対して業務の指示・命令をする地位に当たる者も含まれます。

また、労働基準法は労働者を守る法律であるため、使用者に対して多くの義務が課せられています。

「労働契約法」上の使用者

労働契約法では、使用者は、労働者を使用し賃金を支払う者と定められています(同法2条2項)。よって、個人企業であれば企業主個人を、会社等の法人組織であればその法人そのものを指します。

そのため、労働基準法上の「使用者」よりも対象者の範囲が狭いものといえます。

「労働組合法」上の使用者

労働組合法上には、使用者について明確に定義した規定はありません。しかし判例上、その実務上の立場や責任を踏まえ、雇用主以外でも使用者に当たりうるとされています。

そのような判断がなされた判例における解釈を、以下にご紹介します。

【最高裁 平成7年2月28日第三小法廷判決、朝日放送事件】
「雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、「使用者」に当たるものと解するのが相当である。」

使用者の権利

労働者にも権利があるように、使用者も権利を有しています。その権利には労働者に関する権利や会社に関する権利等がありますので、本項で詳細を解説していきます。

「経営三権」

使用者は、「業務命令権」「人事権」「施設管理権」といった権利を有しており、こられを「経営三権」と呼びます。これらの権利で認められている事項については、経営者の専決事項にしておくことが重要となっています。

業務命令権

使用者は、労働者に対して業務に関する指示や命令をする他、健康診断の受診等、合理性が認められる限りで業務に直接的に関係のないことについても必要な指示や命令をする権限も有しています。この権限を業務命令権といいます。

 

人事権

使用者は人事権を有しており、会社の人事について決定します。会社の人事とは、採用や配置、異動、休職、評価等にかかわる事項が含まれます。これらについては、一定の範囲で会社が自由に決定することができます。あらゆる人事の基礎となるという意味では、この中で最も重要なのが人事評価に関する権利です。

しかし、例えば、労働組合に不利益を与える目的でなされた人事異動等は不当労働行為に当たるおそれがあるため、注意が必要です。

施設管理権

施設管理権とは、会社が所有する建物、敷地、施設等を管理・保全する権利のことをいいます。

労働組合との関係では、このように使用者に施設管理権があることから、たとえ労働時間外であっても、会社の施設を用いた労働組合の活動は一定の制約を受けます。よって、原則として、会社の許可なく、労働者が組合活動のために会社の施設を利用することはできません。ただし、既に組合活動のための利用が慣行として行われている場合等については、組合活動の妨害のために施設の利用を中止させるといったことは不当労働行為となるおそれがあるため、注意が必要です。

団体交渉で資料の開示を求められたら

労働組合から会社にかかわる資料の開示を求められるケースもあるかと思います。そのような場合、会社としても会社の情報を守らなければならないため、求められれば全ての情報を開示しなければならないというわけではありません。

しかしながら、使用者が労働組合からの団体交渉を正当な理由なく拒否することは、不当労働行為として禁止されています(労組法7条2号)。そこで、使用者は不当労働行為と捉えられないよう、必要最低限の資料開示をする等の誠実交渉義務を有しています。

詳しい不当労働行為については、以下のページをご覧ください。

不当労働行為

使用者の時季変更権

労働者から年次有給休暇取得の請求をされた場合、使用者は指定された時季に付与する必要があります。ただし、指定された時季が「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季に指定するように要求することができます。これを使用者の時季変更権と呼びます。

労働者、使用者の年次有給休暇の権利については、以下のページをご覧ください。

→「年次有給休暇_労働者の時期指定権・使用者の時季変更権」(※作成予定)へリンク
年次有給休暇の義務化における「時季指定」について
年次有給休暇の時季変更権について

使用者の義務

労働者を使用する立場として、使用者は賃金を支払う等の義務を負うことになります。使用者の義務については、以下の項目にてみていきましょう。

対して、労働者の義務については以下のページをご覧ください。

労働者の権利と義務

「労働基準法」における義務

本項では、労働基準法上における使用者の義務について、いくつか解説していきます。 

(1)労働条件の明示(同法15条)
労働者と労働契約を交わした際は、賃金や労働時間等の労働条件に関する事項を明示する必要があります。もしもこの明示を怠った場合は、義務違反となり、罰則を受ける対象となります。

(2)解雇の予告義務(同法20条)
解雇しようとする労働者に対して、最低でも30日前に解雇予告をしなければなりません。解雇予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

(3)賃金支払義務(同法24条)
労働者への賃金は、①通貨で、②労働者本人に直接、③全額を、④1か月に1回以上、⑤一定の期日に支払う必要があります。どのように支払うかといった支払方法についても重要な労働条件となりので、賃金の支払方法についての規定が定められています。

(4)労働時間管理義務(同法32条)
労働者を、休憩時間を除いて週に40時間以上、さらに1日8時間以上労働させることは禁じられています。
また、働き方改革によって労働安全衛生法が改正されたことを受け、“厚生労働省令で定められた方法”による『労働時間の客観的な把握』が義務付けられました(労安衛法66条の8の3)。

(5)就業規則の作成・届出義務(同法89条)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
また、就業規則変更時にも、労働基準監督署長へ届け出なければなりません。

就業規則に明記すべき内容、またそれぞれの義務についての詳細は、以下の各ページも併せてご覧ください。

労働条件の明示義務
従業員への解雇予告|通知と解雇手当について
賃金の支払いに関する労働基準法の定めについて
就業規則とは | 作成の意義と法的効力

その他、労働関係法における義務

上記以外にも、使用者は以下のような義務を負うことになります。
労働者が安全で健康に働くことができるように配慮する安全配慮義務や、さまざまなハラスメントから労働者を守り、体制の整備や必要な措置等を講じる職場環境保持義務があります(男女雇用機会均等法11条)。さらに、使用者は法的義務化されている障害者雇用率に相当する人数の障害のある者を雇用する、障害者の雇用義務(障害者雇用促進法43条)を負っています。

以下の各ページでは、これらの義務について詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

労働安全衛生法の概要と健康保持増進のための措置
企業のハラスメント対応と法的義務
障害者の差別について

「使用者責任」とは

使用者には、労働者の不法行為によって第三者に生じた損害について、賠償する責任を負う「使用者責任」があります(民法715条1項)。ただし、この責任は使用者のみでなく、事業を監督する者が代わって負う場合もあります(同法2項)。

「使用者の責に帰すべき事由」による休業

労働者を「使用者の責に帰すべき事由」により休業させるとき、使用者は休業手当を支払う必要があります(労基法26条)。この「使用者の責に帰すべき事由」には、使用者の故意・過失による休業だけでなく、経営・管理上の障害による休業も含まれます。

より詳しい休業手当については、以下のページをご覧ください。

会社都合の休業による休業手当の支給義務

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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