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インターンシップ制度と労働関係法令の適用

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

近年、新卒採用の広報活動・採用選考活動解禁の時期が、従前に比べて遅くなっているといった背景から、それよりも早い段階で、学生に自社の魅力をアピールし、人材獲得の機会を得るための手段として、インターンシップ制度の導入を検討する企業が増加傾向にあります。

そこで本記事では、インターンシップ制度の導入・運用に際して企業にもたらされるメリットと生じ得るリスク、さまざまな労働関係法規の適用を受ける可能性等について解説していきます。

インターンシップ制度

インターンシップ制度とは、主に在学中の学生が、将来的に携わりたい職種と結びつくような企業等で職業体験を行うことです。

企業にとっては、学生の能力を見極め、他社に先駆けて優秀な人材を確保するための好機といえます。他方で学生は、就職する前に実務経験を積むことで、関心のある職種の業務内容及び自身の適性について理解を深めることができるため、最適な就職先を探すための手がかりが得られます。このように、インターンシップは企業・学生双方にプラスの効果が期待できる制度となります。

また、在学中にできる職業体験という意味では同視されることもある“インターンシップ”と“アルバイト”ですが、明確な違いがあります。労働力を確保する目的で雇用契約を締結し、責任が伴わない比較的単純なルーティンワークを任せることが多いアルバイトに対し、採用活動を視野に入れ、専門的なスキルを習得させたり、ときに責任を伴う業務を任せたりすることもあるのがインターンシップです。

インターンシップの類型

職場体験型

職業観を育てるきっかけを与えたり、業界理解を深めてもらったりすることを目的として、数日から数週間程度の期間でインターン生に仕事を体験してもらいます。

課題解決型

インターン生の課題解決力、発想力を引き上げるために、与えた課題の解決、企画の立案等を、グループワーク形式で数週間から数ヶ月程度の期間取り組んでもらいます。

実務実践型

新規のプロジェクト等に参加させるなど、長期間でより実践に近い業務を経験してもらい、業務遂行において必要なスキルをインターン生に習得してもらいます。

採用直結型

共に仕事に携わるなかでインターン生の能力を見極めるため、つまり、採用活動の一環として実施するものです。もっとも政府は、2021年卒以降の学生を対象として、採用直結型インターンシップを禁止することを企業に要請しています。

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インターンシップ制度のメリット・デメリット

インターンシップ制度の導入は、優秀な人材の早期確保に繋がるとお伝えしてきましたが、そのほかに考えられる企業にとってのメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

メリット

インターンシップでは、実際の業務を経験してもらうだけでなく、求人広告や企業ホームページ、説明会では伝えきれない現場の雰囲気や社風を、従業員との交流を通してインターン生に知ってもらうことができます。

インターンシップに参加した学生はそもそも志望度が高い可能性もあり、その場合は内定の辞退率も低いといえますが、入社前後の企業イメージの乖離をインターンシップで埋めることができれば、入社後の、ミスマッチからの離職を防止する効果が期待できます。

インターンシップを経て実際に応募があった場合には、インターンシップ期間の実績等が配置を検討するための材料となり、応募者の能力・適正に見合った部署で、スムーズな迎え入れができるでしょう。

では反対に、企業に生じるデメリットも把握しておきましょう。

デメリット

インターン生の指導担当になった部署・従業員は、通常業務の時間を割いてインターン生の指導を行うことになります。

実務に関連する事柄だけでなく、社会人が把握しておくべき最低限のビジネスマナーから手引きしなければならないため、時間的余裕がないなかで、大きな負担が伴うことになります。そのため、担当部署・従業員には、本業に影響する可能性や、インターンシップ制度の目的等を十分に説明したうえで、協力を仰ぐ必要があるでしょう。

また、インターンシップの開催においては、就職情報サイトや雑誌への掲載費等のインターン生を募集するための広告費や、インターン生が業務で使用する備品費用、交通費、宿泊を伴う研修であればその費用等、相応のコストがかかることにも留意しておきましょう。

労働関係法令の適用

インターン生が労働基準法上の“労働者”とみなされる場合は、通常の雇用と同じ労働関係法規が適用されます。以下、詳しくみていきましょう。

労働者性の判断基準

まず、労働基準法上の“労働者”とは、使用者の指揮命令下で労働し、その対価として報酬を受けている者を指します(労基法9条)。なお、行政解釈では、①企業とインターン生との間に指揮命令関係があったか、②インターン生が携わった作業が企業に利益・効果をもたらしたかの2つの観点から労働者性の有無を判断するとしています(旧労働省平成9年9月18日基収636号)。

労働者性の判断については、以下のページでさらに詳しく解説しています。ぜひこちらも併せてご覧ください。

労働者性の判断基準

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賃金の支払い義務

インターン生が“労働者”にあたる場合、企業とインターン生の間には「雇用契約」が成立します。

「雇用契約」は、従業員が企業に対して労働に従事することを約束する代わりに、従業員の労働に対して企業が報酬を与えると約束することであり、契約書がなくとも口頭で成立する可能性があります(民法623条)。

そして、「雇用契約」が成立した場合、企業には、インターン生に対する賃金の支払い義務が生じます。

以下のページでは、賃金の支払いについて、関連する労働関係法規と併せて詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

賃金の支払いに関する労働基準法の定めについて

最低賃金法の適用

インターンシップの実態からインターン生に労働者性が認められると、最低賃金法の適用を受けます。都道府県別の最低賃金を下回るような報酬額の取り決めをしていた場合には、違法、無効となり(最賃法4条)、企業には罰則が科せられるおそれがあります。

以下のページでは、最低賃金の概要や、違法とされた場合の罰則について詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

最低賃金制度

割増賃金の発生

インターン生に労働者性が認められるケースで、1日につき8時間、1週につき40時間の法定労働時間を超えて労働させた場合には、正規の従業員と同様に割増賃金を支払わなければなりません(労基法37条)。

具体的にどのような事案において、どのような計算方法に基づいて割増賃金を支払うべきかなど、詳しいことは以下のページでご覧いただけます。

割増賃金

企業における安全配慮義務

インターン生が労働者であると認められるケースはもちろんのこと、インターン生に労働者性が認められないケースであっても、受け入れ企業は安全配慮義務を負うこととなります。そのため、例えば企業側の設備点検が不十分だったために社内で事故が起き、インターンシップ中の学生が怪我を負う等した場合には、企業に損害賠償責任が生じます。

安全配慮義務の定義について、詳しい解説は以下のページをご覧ください。

労働安全衛生法

労災保険の適用

インターンシップ中に事故が発生し、インターン生が怪我をして後遺症が残ったり、亡くなってしまったりした場合に労災保険が適用されるのは、インターンシップの実態から当該インターン生に労働者性が認められる場合のみです。つまり、賃金が支給されない等、“労働者”にあたらない場合には適用されません。

この場合、大学の正課としてのインターンシップでは、大学を窓口とする「学生教育研究災害傷害保険」にインターン生が加入していればこれを適用することができます。他方で、適用対象にならないケースでは、企業及び学生個人が加入する一般の傷害保険等で対応することとなります。

以下のページでは、労災にまつわる事項について解説しています。ぜひこちらもご覧ください。

労働災害

社会保険の加入義務

次の条件にあてはまるインターン生も例にもれず、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入させる必要があります。

  • 2ヶ月以上の雇用関係にあること
  • 労働時間が通常雇用の従業員の4分の3以上であること

例えば、所定労働時間が8時間の企業で3ヶ月間の有給インターンシップを行い、インターン生に1日6時間以上の労働をさせた場合には、社会保険に加入させることになります。

雇用保険法の適用

雇用保険の加入義務が発生する条件は、①週の労働時間が20時間以上、②雇用見込みが31日以上の2つを満たす者となりますが、学業が本業である学生には、基本的に適用されません(雇用保険法6条1号、2号、4号)。

ただし、内定をもらっていて、インターン先の企業で卒業後も継続して就労することが予定されている学生や、休学中の学生、夜間や定時制、通信制の大学等で教育を受けている学生など、学業を本業としていないことが考えられる学生は、雇用保険に加入させなければならない可能性があります。なお、この場合においても、基本的に上記の①及び②の条件を満たす者が対象となります。

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外国学生へのインターンシップ

海外の大学に在学中の学生を日本の企業に迎え入れるときは、先方の大学と企業との契約に基づき、“大学の教育課程の一環として”、一定期間のインターンシップを行うことになります。海外の学生にインターンシップに参加してもらうためには、受け入れ企業がインターンシップの職務内容、滞在期間、賃金支給の有無に応じた在留資格を取得する必要があります。なお、“教育課程の一環として”とあるように、インターンシップによって単位を取得できない場合には、在留資格が得られません。

インターンシップ採用時の注意点

政府から企業に対し採用直結型のインターンシップについて禁止要請が出ていることから鑑みても、インターンシップの応募者には、インターンシップが本採用に繋がる可能性等について伝えるべきではないでしょう。

また、インターンシップの応募者の採否を決める際には、通常の採用時と同様、応募者の人種や国籍、信仰する宗教、性別、家柄等を選考の基準としてはなりません。

採用選考時の差別の禁止について、詳しくは以下のページをご覧ください。

雇用における差別について

契約書の作成

インターンシップ契約について契約書を作成することは、法的には義務付けられていません。しかしながら、インターンシップの内容が雇用契約にあたらないケースであっても、どのような取り決めに基づいたインターンシップであるのかを書面にて明確にしておくことが、トラブル回避のためには有用です。

なお、雇用契約にあたるケースでは、賃金や労働時間等の労働条件を明記した書面を学生に交付しなければならないため(労基法15条1項)、雇用契約書又は労働条件通知書のどちらかの作成が必須となるでしょう。

契約書の記載事項

契約書の記載事項については、主に以下にあげるようなものを明記すべきと考えられます。

  • インターンシップの目的
  • インターンシップの内容
    (対象期間、開催場所、時間に関する取り決め、携わる業務や研修の内容・スケジュール等)
  • 報酬や必要経費(交通費等)支給の有無
    (支給する場合は計算及び支払方法、支払時期等)
  • 対象期間中のインターンシップの終了に関する事由
  • 対象期間中に起きた事故等に関する取扱い
  • 秘密保持義務
  • 参加者に生じ得る損害賠償義務等、注意事項

ほか

企業への損害とリスク対策

インターン生が精密機器やソフト等の設備・備品を壊したり、機密情報を漏洩したり、事故を引き起こして従業員に怪我を負わせたりといったように、企業に損害を生じさせるおそれがあります。それらがインターン生の過失によるものであれば、当該学生に対して損害賠償請求をすることとなりますが、事案によっては学生が個人で賠償するには大きすぎる損害額となるケースも生じ得るでしょう。

そこで、学生個人や学校、企業にかかる負担を極力軽減するために、十分な事前研修の実施や保険への加入といった必要なリスク対策を講じる必要があります。また、万が一のことがあったときにどのような対応をとるのかについて、学生と交わす契約書や次項で説明する誓約書、大学と交わす覚書等に明文化しておくことが望ましいといえます。

誓約書の必要性

トラブルを回避するために、契約書とは別に誓約書を取得することも一つの対策といえます。

例えば、誠実にインターンシップに参加することのほか、インターンシップ中に知り得た情報の不正使用を禁ずること、成果物は受け入れ企業に帰属することといった内容の記載事項が考えられます。誓約書によって、研修や実習、秘密保持義務等に対して、より高い意識をもって取り組んでもらえるよう心理的に訴えかけることで、トラブルの発生を抑制する効果が期待できます。また、もしもトラブルが発生してしまった場合には、誓約書を根拠に対応を求めることができます。

ハラスメントの禁止について

インターン生は就労前の学生であり、指導等を受ける立場にあるなど、担当者との力関係が明白なので、残念ながらセクハラ・パワハラ等のハラスメントが起こり得ることが予想されます。ハラスメントが生じると企業全体の信頼が損なわれかねないことから、企業はハラスメントを予防するための環境を整えておく必要があります。

具体的な対策としては、指導担当となる部署・担当者等に、インターン生へのハラスメントは懲戒処分や損害賠償請求の対象となり得る旨を周知徹底する、ハラスメントが起きた際の対応を書面で明らかにしておくといったことが考えられます。

「ハラスメント」について詳しく知りたい方は、以下のページを併せてご覧ください。

ハラスメント

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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