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会社都合退職とは|自己都合退職との違いやメリット・デメリット

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

会社都合退職とは、人員整理など会社側の都合で労働者を退職させることです。転職や結婚などで、労働者が自ら退職を申し出る自己都合退職とは異なります。
会社都合退職では、会社にいくつかデメリットがあるため、あらかじめ把握しておくことが重要です。

また、国からの助成金の受給にも影響するため、余計に資金繰りが苦しくなるといった事態も起こり得ます。
本記事では、会社都合退職のメリットやデメリット、注意点などを詳しく解説していきます。トラブルを防ぐためにも、ぜひご確認ください。

会社都合退職の定義

会社都合退職とは、業績悪化や経営破綻など、会社側の都合によって労働契約を終了することをいいます。代表的なのは、整理解雇や退職勧奨、希望退職者募集による退職です。
また、会社の移転によって通勤できなくなった場合や、社内いじめ・パワハラによって退職した場合も、会社都合退職となります。

会社都合退職は、労働者側のメリットが大きいとされています。具体的には、失業保険を早く、また長期間にわたり受給できるのがメリットです。
一方、自己都合退職とは、労働者の自由な意思によって退職することです。転職や結婚、引っ越しなど、労働者側の都合による退職はすべて自己都合退職となります。

雇用関連助成金との関係

会社都合退職を行った場合、雇用関連助成金を受給できなくなる可能性があります。
これは、多くの助成金の受給要件として、6ヶ月以内に会社都合退職を行っていないことが含まれているためです。

雇用関連助成金は、労働者の処遇改善や雇用の安定を図るため、国が会社を援助する制度です。整理解雇や退職勧奨といった会社都合退職はこの目的に反するため、受給対象外とされています。
雇用関連助成金には、以下のようなものがあります。

  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 労働移動支援助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 障害者雇用安定助成金

一方、業績悪化を支援するための雇用調整助成金については、会社都合退職でも受給することができます。ただし、助成率は下がるためご注意ください。

会社側のメリット・デメリット

メリット

会社都合退職では、会社側に大きなメリットはありません。
あえて挙げるなら、退職勧奨や解雇、希望退職者募集によって人員整理を図れるということです。

希望退職では、労働者に優遇措置(退職金の上乗せなど)を提示するケースが多いため、比較的穏便に解決できる可能性が高いです。
また退職勧奨も、最終的に退職するかは労働者の意思に委ねられるため、トラブル防止に有効です。

一方、解雇は相当の理由がないと認められないため、慎重な判断が必要です。

デメリット

会社都合退職のデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 雇用関連助成金を受給できない
    キャリアアップ助成金や特定求職者雇用開発助成金など、雇用の安定を目的とした一部の助成金を受給できなくなります。
  • 裁判で訴えられるおそれがある
    労働者が解雇に納得しない場合、不当解雇を訴えられる可能性があります。また、執拗に退職勧奨を行った場合も同様です。
    敗訴すると、退職の無効や損害賠償金の支払いを命じられる場合があります。
  • 解雇予告手当の支払いが必要となる
    解雇日の30日前までに解雇を通知しなかった場合、労働者に解雇予告手当を支払う必要があります(詳しくは後ほどご説明します)。

会社都合に該当する退職理由

人員整理などの会社都合で退職した場合、「特定受給資格者」として会社都合退職にあたります。
また、自己都合で退職した場合も、「特定理由離職者」にあたれば会社都合退職となります。

それぞれの定義をみておきましょう。

特定受給資格者 解雇や倒産などの理由により、再就職の準備をする余裕なく離職を余儀なくされた者
特定理由離職者 特定受給資格者以外の者で、労働契約が更新されなかったことやその他やむを得ない事情によって離職した者

2つの判断基準について、次項から詳しく解説していきます。

特定受給資格者の範囲

倒産等による離職

倒産等による離職とは、具体的に以下のケースをいいます。

  • 会社の倒産(破産・民事再生・会社更生手続きの申立て、手形取引の停止、業務停止命令など)
  • 事業規模の縮小や事業の転換に伴う大幅な人員整理
  • 事業所の廃止
  • 事業所の移転により、通勤が困難になった(通勤の往復所要時間がおよそ4時間以上であるなど)

解雇等による離職

解雇等による離職とは、具体的に以下のケースをいいます。
  • 解雇(懲戒解雇を除く)
  • 労働契約における労働条件と実態に著しい相違がある
  • 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった(該当月が2ヶ月以上続いた、又は退職前6ヶ月のうち該当月が3ヶ月あった)
  • 賃金が85%未満に低下した
  • 離職前6ヶ月において、慢性的な残業が発生していた(3ヶ月連続して45時間、1ヶ月で100時間又は2~6ヶ月の平均が月80時間を超えている)
  • 行政機関から危険や健康障害が生じるおそれを指摘されたにもかかわらず、事業主が適切な措置を講じなかった
  • 労働者の職種転換等において、事業主が必要な配慮を行わなかった
  • 有期雇用契約が3年以上更新された後、雇止めされた
  • 雇用契約を更新することが明示されているにもかかわらず、雇止めされた
  • 上司や同僚から、セクハラやパワハラ、社内いじめを受けた
  • 会社の休業が3ヶ月以上続いた
  • 会社に法令違反があった
  • 退職勧奨に応じた

なお、労働者のキャリアアップなどを支援する目的で、恒常的に設けられている早期退職優遇制度に応募したときは、会社都合退職ではなく自己都合退職となります。

以下の関連ページもご覧ください。

退職・解雇による労働契約の終了と証明書の交付義務
退職勧奨とは|進め方や従業員が応じない場合の対応について
希望退職・早期退職優遇制度の運用と注意点

特定理由離職者の範囲

有期雇用の契約更新がなかった場合

いわゆる有期雇用契約の雇止めは、特定理由離職者になり得ます。

ただし、該当するのは、労働契約において契約の更新が確約されていないケースです。
例えば、契約更新条項で「契約を更新する“場合”がある」などと記載されているケースです。

反対に、「契約は更新しない」と明示されている場合、特定理由離職者にはあたりません。
また、労働者本人が契約更新を希望しなかった場合も対象外です。

有期雇用労働者の取扱いは、以下のページで詳しく解説しています。

有期労働契約の途中解雇する際の注意点

自己都合退職で正当な理由のある場合

自己都合退職であっても、正当な理由がある場合は会社都合退職にあたります。具体的には、以下のようなケースです。

  • 体力の不足、心身の障害、疾病や負傷、視力・聴力・触覚の減退による離職
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険の受給期間延長措置を受けた
  • 家庭の事情が急変した(父母の死亡・疾病・負傷・扶養や、常時本人の介護を必要とする親族の疾病・負傷など)
  • 配偶者や親族と別居生活を続けるのが困難になった
  • 結婚や育児、事業所の移転、配偶者の転勤や出向、交通機関の廃止等により、通勤が不可能又は困難になった
  • 人員整理を目的とする希望退職募集等に応じた(退職勧奨や、恒常的に設けられている早期退職優遇制度を除く)

希望退職や早期退職優遇制度は、以下のページでも詳しく解説しています。

希望退職・早期退職優遇制度の運用と注意点

「自己都合退職」との相違点

自己都合退職は、労働者自身の都合によって離職することです。また、労働者が自主的に労働契約の終了を申し出たものを指します。
理由としては、妊娠や育児、引っ越し、転職などが代表的です。

失業保険給付

失業保険給付とは、離職者の生活の安定を図るために支給されるお金です。正確には、雇用保険の基本手当といいます。

失業保険を受給する場合、会社都合退職の方が労働者にとってメリットが大きいといえます。例えば、以下のようなメリットがあります。

  • 失業手当を早く受け取れる
  • 受給要件(被保険者期間の通算)が緩やかである
  • 給付期間が長いため、より高額な手当を受給できる

例えば、失業保険の支給日についてです。
自己都合退職だと7日+2ヶ月の給付制限がありますが、会社都合退職であれば7日の待機期間を経てすぐに支給されます。

ただし、失業保険は労働者の再就職を支援するための制度ですので、転職活動をしない場合(専業主婦など)は受給できません。

退職金支給

退職金も、退職理由によって金額が異なる可能性があります。
具体的な金額は会社の就業規則(退職金規定)によって様々ですが、一般的に、会社都合退職の方が自己都合退職よりも高額になるケースが多いです。

平成30年の平均調査によると、大学・大学院卒で約650万円、高卒で約900万円もの金額差があるとされています。

なお、企業年金基金や確定拠出年金については、離職理由による減額はありません。
もっとも、確定拠出年金は基本的に定年まで引き出すことができないため、転職先の制度や個人型確定拠出年金に移換するのが一般的です。

有期労働契約と会社都合退職

有期雇用労働者については、基本的に契約期間中に解雇することはできません。また、労働者も、契約期間中に退職を申し出ることはできません(民法628条)。
よって、有期雇用労働者は契約満了のタイミングで退職するのが一般的です。

このとき、会社都合退職となるのは以下の者です。

  • 契約更新が1回以上、雇用期間が3年以上だった者
  • 契約が更新されることが明示されていたにもかかわらず、当該労働契約が更新されなかった者
  • 本人が契約更新を希望しているにもかかわらず、当該労働契約が更新されなかった者(契約の更新について記載はあるが、更新の確約まではない場合に限る)

一方、労働者本人が契約更新を希望しなかった場合は、自己都合退職となります。

有期雇用労働者の取扱いについては、以下のページもご覧ください。

有期労働契約の途中解雇する際の注意点

会社都合退職における注意点

会社都合退職とする場合、事業主はどんなことに注意すべきでしょうか。
また、労働者の退職に伴い、どのような手続きが必要なのでしょうか。

以下で具体的にみていきます。

解雇予告義務

労働者を解雇する場合、解雇日の30日前までに、当該労働者へ解雇する旨を通知しなければなりません(労働基準法20条)。これを解雇予告義務といいます。

解雇予告期間を空けずに解雇する場合、それぞれの賃金額に応じた解雇予告手当を支払う必要があります。

例えば、即日解雇の場合、“30日分の賃金”を解雇予告手当として支払います。
また、20日後に解雇する場合、30日に満たない“10日分の賃金”が解雇予告手当となります。

具体的な計算方法などは、以下のページをご覧ください。

従業員への解雇予告|通知と解雇手当について

有給休暇の消化

会社都合退職であっても、有給休暇は在職中に消化させる必要があります。よって、退職後に取得させることはできません。

引き継ぎなどが忙しく、退職日までにすべて消化できない場合、退職日の変更有給休暇の買取りを検討するのも良いでしょう。
法律上、有給休暇の買取りは禁止されていますが、退職時の買取りなどは例外的に認められています。

ただし、これらの対応は義務ではないので、会社が任意で行うことができます。
具体的には、「有給休暇の買取りに応じるかどうか」「いくらで買い取るか」などは会社が自由に決めることができます。
もっとも、就業規則に規定がある場合、それに従うのが基本です。

退職時の有給休暇の取扱いは、以下のページでも解説しています。

退職時の有給休暇の消化

離職票の虚偽

離職票に虚偽の記載を行うことは違法であり、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(雇用保険法83条)。

例えば、労働者のためを思い、本来自己都合退職だが会社都合退職にしたというケースです。
この点、虚偽の申告によって失業保険を受給することは不正行為にあたり、事業主も連帯して責任を負うことになります。具体的には、受給した失業保険の返還や納付を命じられることがあります。
また、刑法上の詐欺行為にあたり、処罰される可能性もあります。

反対に、本来会社都合退職だが、自己都合退職と偽るケースもあります。これは、会社都合退職だと、会社は一部の助成金を受給できなくなるためです。

この場合、労働者は失業保険の受給などで不利益を受けるため、会社に対して異議を申し出ることができます。また、会社は労働者に対して損害賠償責任を負う可能性もあります。

離職票・退職証明書等の発行

労働者が退職したら、会社は離職票を交付する必要があります。

離職票とは、労働者が失業保険を申請するために必要な書類です。
まず、会社がハローワークに離職証明書を提出し、発行された離職票を労働者に交付するという流れです。

また、労働者から求められた場合、退職証明書解雇理由証明書も交付する必要があります(労働基準法22条)。

退職証明書は、労働者が国民健康保険や国民年金に加入するために必要な書類です。本来は離職票で足りますが、離職票がなかなか発行されない場合に用いられることがあります。

 

また、解雇理由証明書とは、どのような理由で労働者を解雇したのか記載する書類です。
ただし、労働者に請求されていない項目について記載することは禁止されています。

退職時の手続きや解雇理由証明書については、以下のページもご覧ください。

退職証明書・解雇理由証明書

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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