初回1時間電話・来所法律相談無料

0120-630-807

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません 会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

人事・労務・労働問題を法律事務所へ相談するなら会社側・経営者側専門の弁護士法人ALGへ

外国人雇用の労働関係法規・社会保険の適用に関する法律上の定め

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

外国人労働者を雇用した際、労働関係法規や社会保険は、日本人労働者と同じように適用されるのか、あるいは適用されないのか、日本人労働者とは違ったかたちで適用されるのか、それぞれに複雑な仕組みがあり、事業主として適切に対応するのは難しいことかと思います。

このページでは、外国人労働者を雇用した際の労働関係法規や社会保険の適用について、事業主が知っておくべき法制度や仕組みを解説します。

外国人労働者への労働関係法規の適用

労働基準法3条は、労働者の国籍や信条、社会的身分を理由に、労働条件で差別をすることを禁じています。これに基づき、外国人労働者にも、労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法、最低賃金法、健康保険法、厚生年金法など、労働関係法規が適用されます。

その他外国人雇用関連法規

出入国管理及び難民認定法(入管法)

「出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)」は、外国人の出入国・滞在・就労、難民認定について取り決めている法律です。日本に在留して就労しようとする外国人は、この法律に基づいて一定の在留資格を得る必要があります。

在留資格は、活動内容に伴う資格(報道、教育、介護、技能、留学等)と、身分または地位に基づく資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)があります。活動内容に伴う在留資格で在留している外国人は、その資格に適合する業務にのみ就くことができるか、また、資格によっては業務に就くことができません。一方、身分または地位に基づく資格を得て在留している外国人は、就労できる仕事に制限はありません。

労働施策総合推進法

「労働施策総合推進法」は、少子高齢化時代を見据え、労働者の職業安定と経済の発展を推進することを目的として制定された法律ですが、外国人の雇用管理改善や、再就職の促進等の措置についても定められています。

この法律に基づいて、事業主が外国人を雇用する際に講じる必要がある措置について、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」が厚生労働省により定められています。

該当の指針は厚生労働省ウェブサイトの以下のページに掲載されていますので、ご参照ください。

外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(抄)

外国人技能実習法

外国人技能実習制度は、日本での就労を通じて外国人に技能を身につけてもらい、帰国後に経済発展を担う人材を育成するための制度です。この制度を適切に実施するために定められているのが、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(通称:外国人技能実習法)」です。

外国人技能実習法は、実習計画の策定や、受入れ先となる事業者が講じなければならない措置について定めています。

外国人研修、技能実習生については以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

外国人研修・技能実習生について

外国人差別への取扱い

1 外国人労働者への労働関係法規の適用>で述べたように、労働基準法3条により、外国人労働者にも日本人労働者と同様、労働関係法規が適用されます。また、この条項は国籍を理由にした労働条件差別(賃金を含む)を一律に禁じています。

国籍による労働条件差別の禁止に関しては、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

国籍による労働条件差別の禁止

外国人労働者の厚生年金・健康保険

厚生年金保険と健康保険の両方に加入義務がある事業所を、「強制適用事業所」といいます。強制適用事業所で雇用されている労働者は、国籍にかかわらず厚生年金保険・健康保険への加入義務があるため、外国人労働者も加入することになります。

強制適用事業所とは、次の(1)と(2)のどちらかを充たす事業所です。(2)により、株式会社など法人の事業者はすべて強制適用事業所となります。

(1)次の事業を行い、常時5人以上の従業員を使用する事業所
製造業・土木建築業・鉱業・電気ガス事業・運送業・貨物積卸業・清掃業・物品販売業・金融保険業・保管賃貸業・媒介周旋業・集金案内広告業・教育研究調査業・医療保健業・通信報道業・社会福祉更生保護業

(2)常時、従業員を使用する、国、地方公共団体又は法人の事業所

社会保障協定による適用法令の調整

産業のグローバル化に伴い、複数の国で就労する労働者の社会保険料の二重払いや、年金の受給資格が問題となっています。この問題を解決するため、二国間で加入すべき社会保障制度を調整するとともに、年金の受給資格を適切に得られるように定められた国際条約が、社会保障協定です。

2020年10月現在、日本は以下の国と協定を結んでいます。

ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、イタリア(署名済未発効)、スウェーデン(署名済未発効)、フィンランド(署名済未発効)

厚生年金の脱退一時金

日本で就労し、厚生年金保険料を支払っている外国人労働者が帰国することになった際、それまでに支払っていた保険料が掛け捨てになってしまうことがあります。

そのような事態を防ぐため、日本を出国した後に請求すれば、日本の事業所で就労して厚生年金保険料を支払っていた期間に応じて、一時金が支払われる制度があります。これを「脱退一時金」といいます。

脱退一時金を受給することができる要件は、次のすべてを充たす場合です。

  • ①日本国籍を有しないこと
  • ②厚生年金保険等の被保険者期間の合計が6ヶ月以上あること
  • ③日本に住所を有していないこと
  • ④これまで年金(障害手当金を含む)を受ける権利を持ったことがないこと

なお、脱退一時金を受給した場合、厚生年金保険料を支払っていた期間は、社会保障協定に基づく年金加入期間に算入されません。

外国人労働者の被扶養家族の健康保険

日本の健康保険に加入している外国人労働者の家族は、被扶養家族として健康保険に加入することが可能です。2020年4月に施行された改正健康保険法等によって、健康保険上の被扶養者となることができるのは、国内在住者(日本に居住し、住民票のある者)に限定されることになりました。

ただし、例外として、当該被扶養者が以下のいずれかである場合は、海外に居住していても健康保険上の被扶養者とみなされます。

  • (ア)外国において留学をする学生
  • (イ)外国に赴任する被保険者に同行する者
  • (ウ)観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
  • (エ)被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
  • (オ)上記のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

外国人労働者の雇用保険

以下の加入条件を充たしている場合、外国人労働者でも雇用保険の被保険者となります。加入条件は、次の2点を両方充たしていることです。

(1)31日以上の雇用が見込まれること
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上であること

以上を充たす場合、外国人労働者を含め、すべての労働者は雇用保険への加入が必要となります。事業主は、当該労働者が被保険者となった旨をハローワークに届け出なければなりません。

雇用保険の適用除外

雇用保険法6条は、雇用保険の適用除外について定めています。次のいずれかに当てはまる場合、雇用保険の加入適用者からは除外されます。

①1週間の所定労働時間が20時間未満の場合
②同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない場合
③季節的に雇用される場合で、次のいずれかに該当する場合
  ・4ヶ月以内の期間を定めて雇用される
  ・1週間の所定労働時間が30時間未満
④学校教育法で規定される学校・専修学校・各種学校の学生または生徒(昼間学生)である場合

また、大学や専門学校、その他の全日制教育機関の留学生であって資格外活動の許可を得ている外国人や、在留資格「特定活動(ワーキングホリデー)」で就労する外国人も、雇用保険加入の対象外となります。

外国人雇用状況の届出

雇用対策法28条では、外国人を雇用したり、雇用していた外国人が離職したりする際には、事業主はハローワークに、外国人雇用状況として当該外国人の氏名、在留資格、在留期間などを届け出なければならないと定められています。

外国人雇用状況の届出については以下のページで詳しく解説していますので、ご参照ください。

外国人雇用状況の届出

外国人労働者の労災保険

従業員を1人以上雇用している会社は、必ず労災保険に加入しなければなりません(従業員が5人未満の農林水産業を除く)。労災保険はパートタイマーやアルバイトも含めたすべての労働者が適用の対象となり、外国人労働者も例外ではありません。在留資格に応じて就労する外国人労働者だけでなく、資格外活動の許可を得てパートタイマーやアルバイトとして働く外国人労働者も労災保険の適用対象です。

不法就労の外国人労働者

日本に不法入国した者や、在留期限の切れた状態で就労している者、又は就労資格に適合しない就労をしている者など、いわゆる不法就労者の就労が発覚した場合、退去強制などの処分が下されます。また、これらの不法就労者を雇い入れた事業者も不法就労助長の罪に問われ、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。

ただし、「外国人の不法就労等に係る対応について(昭和63年1月26日基発50号)」では、不法就労の外国人労働者であっても、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法等の労働関係法規は適用されるものであるとしており、不法就労者であっても労災保険は適用されることになります。

労災保険に未加入の事業主に対する費用徴収制度

従業員を1人以上雇用している事業主は、原則として労災保険の適用事業主となります。

パートタイマー・アルバイトも含め、外国人労働者を雇用した場合も日本人労働者と同様、10日以内に保険関係成立届を労働基準監督署に届け出ることによって、労災保険の加入手続を行わなければなりません。

事業主がこの手続を怠っていた期間中に労災事故が発生した場合、労働者又はその遺族に給付される労災保険金は、事業主から全部または一部の費用が徴収されます。労働基準監督署から指導を受けていたにもかかわらず加入手続をしていなかった場合は故意に手続を怠ったものとみなされ、保険給付額の全額が、また、指導は受けていなかったものの雇用してから1年以上手続をしていなかった場合は重大な過失とみなされ、保険給付額の40%にあたる費用が事業主から徴収されます。

退職時の注意点

外国人労働者が退職する際には、日本人労働者のケースと同様、雇用保険の離職票の交付、源泉徴収票の交付、健康保険の被保険者証の回収、住民税で支払うべき残高手続(残高がある場合)、労働保険・社会保険の資格喪失手続などの各種手続が必要になります。

雇用保険被保険者資格喪失の届出

外国人労働者が退職する際には、「雇用保険被保険者資格喪失届」の外国人に係る事項に記入し、ハローワークに届出をする必要があります。離職の翌日から起算して10日以内が提出期限とされています。

なお、外国人が離職した際に事業主が届け出なければならない「外国人雇用状況の届出」は、「雇用保険被保険者資格喪失届」によって代えることができます。

退職証明書

労働基準法22条1項では、退職した労働者から請求があった場合、事業主は遅滞なく退職証明書を交付することと定められています。外国人の場合、転職や起業に際して、地方出入国在留管理局での在留資格の変更や、就労資格証明書の交付申請において添付する必要がある書類なので、求められた場合、遅滞なく交付するよう努めましょう。

退職する外国人本人が行う手続

入管法19条の16では、就労ビザで働いていた外国人労働者が離職した際には、所轄する地方出入国在留管理局へ、原則として当該外国人労働者本人が「契約(所属)機関に関する届出」を提出することを義務づけています。

この届出を怠ったまま転職等をすると、在留資格の更新等で在留可能期間が短くなる等、不利になってしまうおそれがあります。外国人労働者本人がこの制度を十分に知らないケースも考えられるため、退職する際にはこの手続について事業主から説明することが望ましいでしょう。

帰国予定のある外国人にも社会保険加入は必要か

外国人労働者が事業主に対して帰国の予定があることを告げている場合にも、加入要件を充たしていれば各種社会保険の加入手続を進める必要があります。

また、帰国の予定が決まっている外国人労働者には、厚生年金保険の脱退一時金制度について説明し、受給を希望する場合は帰国後に速やかに申請できるよう、対応することが望ましいでしょう。

外国人アルバイトの社会保険

外国人がアルバイトやパートタイマーの仕事に就く場合でも、加入要件を充たしていれば、各種社会保険加入の適用対象となります。

ただし、資格外活動の場合、行うことができる労働は週28時間以内とされており、健康保険・厚生年金保険の加入要件を充たさないため、適用はされません。また、全日制教育機関に所属している留学生は雇用保険の対象外となります。これは、昼間部の学生は「学業が本分」とみなされ、雇用保険の必要がないと判断されているためと考えられます。

なお、外国人労働者のアルバイト雇用に関しては以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

外国人アルバイト・パートの雇用について

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 電話・来所法律相談無料

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

0120-630-807

受付時間:平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

0120-630-807タップで電話開始

平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

※初回1時間無料、1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます