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労働組合

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働組合及び労働組合員の状況

本ページでは、労働組合とはそもそも何を指すのか、労働組合にはどのような種類があるのか、労働組合は歴史上どのように発達を遂げてきたのか、我が国における労働組合の組織の現状はどのようなものかという点につき、解説致します。最近の傾向としては、企業内に労働組合が組織されない中小企業も存在することから、所属する職場や雇用形態の垣根を越えて、地域や業種ごとに労働組合を結成しようとする動きも増えています。

労働組合とは

労働組合の意義を知るには、労働組合法1条1項の規定が最も参考になります。1条1項は、その根本目的として、「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」を掲げています。労働組合とは、この「労使対等」の実現のために、団体交渉を助成する労働者の団体のことをいいます。

労働組合 労働組合の意義

日本の労働組合の状況

全国的な組織率

厚生労働省の令和元年令和元年6月30日時点における労働組合数(支部の労働組合は含まない。)は2万4057組合、労働組合は1008万8000人であり、推定組織率は16.7%であるとされています。

産業的な組織率

産業別に労働組合員数をみますと、令和元年6月30日時点において、「製造業」が266万1000人(全体の26.6パーセント)と最も多く、次いで、「卸売業、小売業」146万5000人(同14.6パーセント)、「運輸業、郵便業」が84万7000人(全体の8.5パーセント)となっています。

また、産業別に推定組織率をみますと、「電気・ガス・熱供給・水道業」のようなインフラ事業者が59.3パーセントと高く、「農業、林業、漁業」が1.4パーセント、「不動産業、物品賃貸業」が2.6パーセントと低くなっています。

中小企業と大企業との組織率の差

企業規模別に労働組合の組織率をみますと、やはり大企業のほうが組織率は高く、令和元年6月30日時点において、雇用者数が1000人以上の企業における推定組織率が40.8パーセントである一方、雇用者数が99人以下の企業における推定組織率は、僅か0.8パーセントにすぎません。

パートタイム労働者の組織率

パートタイム労働者の労働組合員数は、令和元年6月30日時点で、133万3000人となっており、全労働組合員に占める割合は13.3パーセントとなっており、推定組織率は、8.1パーセントとなっています。正社員の労働者数と比較しますと、パートタイム労働者の労働組合組織率は低い傾向にあります。

法的に守られる労働組合とそうでない労働組合

労働組合法は、労働組合が法的な保護を受ける要件として、①主体、②自主性、③目的、④団体性、⑤民主性の各観点から、要件を設けています。このうち、労働組合法及び憲法上の法的保護を全て受けることができる労働組合は、労働組合法設けられた上記①ないし⑤の要件を全て満たすものに限られます。

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労働組合 法適合組合

組合員の範囲

職業別組合(※古典的な労働組合)

歴史的には、労働組合の原初的な組織形態は、熟練した技能工(職人)が技能にかかる利益を守るために、同一職業内で企業の枠を越えて組織する「職業別組合」というものでした(例えば大工組合、印刷工組合など)。具体的な活動内容としては、技能に応じた賃金率を設定し、どの使用者に対しても、設定した賃金率を下回る場合に労働を拒否することで、賃金率を守らせる運動を行いました。

産業別組合(※同一産業に属する労働組合:欧米で主流の組合)

その後、産業革命によって、大規模工場で大量生産に従事する非熟練労働者が増加すると、労働組合の組織形態として、同一産業内の労働者を、企業の枠や職種の枠を越えて組織する「産業別組合」が一般化しました。産業別組合は、当該産業内で使用者団体や大企業等と交渉を行い、企業横断的な賃金・労働時間等の最低労働基準を設定する活動を行っており、現在でも欧米諸国において主流の組織形態となっています。

企業別組合(※我が国で一般的な労働組合)

欧米諸国と異なり、日本では、企業内での長期雇用慣行と年功序列の処遇という雇用システムが一般的であったことから、企業又は事業場単位で、企業の従業員である労働者を職種とは無関係に組織する「企業別組合」という形態による労働組合の組織が一般的です。日本の民間部門の労働組合の9割以上は企業別組合であり、労働組合員の9割近くが企業別組合に組織されています。

地域労組(※最近増加・組合のない中小企業の労働者/派遣労働者が加入する傾向)

近年、我が国では、企業内で労働組合が組織されていない場合において、当該企業の労働者が、職種や産業とは無関係に、地域ごとに組織化する事例が増加しています。このような労働組合の例としては、地域合同労組や管理職ユニオン、派遣ユニオンなどがあり、企業別組合でカバーされない労働者を救済する役割を果たしています。

組合員の構成について

単位組合(※我が国では企業単位で構成されることが主流)

労働者個人が構成員となって労働組合を組織する場合、その労働組合は「単位労働組合」と呼ばれます。我が国では、企業ごとに、労働者個人が構成員となって単位労働組合が組織され、各事業場に支部等の下部組織が置かれることが主流です。

連合組合(※単位組合が産業規模で結集、「連合」など)

単位労働組合に対して、労働組合の構成員として、労働組合が加入する場合(労働組合同士が結合する場合)、その労働組合は、一般に「連合組合」と呼ばれます。例えば、企業単位の単位労働組合が産業レベルで結合する産業別の連合組合(全国単産)や、企業グループ内の企業別組合が結集した連合組合(企業グループ労組)などがあります。

また、構成員が労働者個人と労働組合の双方である組合を「混合組合」といいます。

「労働者」性について

労働組合法上の「労働者」とは、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」のことであるとされています(労働組合法3条)。この定義は、労働基準法上の「労働者」(労働基準法9条)とは異なる定義であることに留意が必要です。

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労働組合 労働組合法上の労働者性
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